安全衛生教育の推進に当たって留意すべき事項について |
改正履歴
基発第148号
昭和59年3月26日
都道府県労働基準局長 殿
労働省労働基準局長
安全衛生教育の推進については、昭和59年2月16日付け基発第76号により新たに「安全衛生教育推進要
綱」を定め、これに基づいて安全衛生教育の推進を図ることとしたが、これが推進に当たっては、日頃か
ら広く機会にとらえ、関係者に対しその趣旨の周知に努めるとともに、下記事項に留意のうえ一層効果的
な推進を図られたい。
なお、昭和49年4月3日付け基発第176号「安全衛生教育の推進について」の通達の廃止に伴い、これ
に関連する各種の通達については、「昭和49年4月3日付け基発第176号」を「昭和59年2月16日付け基
発第76号」と読み替えるものとする。
記
1. 安全衛生教育の区分について
(1) 就業前における安全衛生教育
① 学校教育における安全衛生教育関係
学校教育における安全衛生教育の推進については、今後、必要な安全衛生講座の設定又は教科の
整備等を図り、その実効を期するものとする。また、実業高校の卒業予定者に対し、就業前の安全
衛生教育を当面昭和51年2月20日付け基発第217号「安全衛生教育の推進について」に基づきその
進を図ること。このため、教育委員会及び学校当局との連絡を密にすること。
② 職業訓練における安全衛生教育関係
イ 職業訓練法<編注:現・職業能力開発促進法>による職業訓練を修了した者に係る労働安全衛
生法令関係の資格等の取扱いについては、引き続き適正な運用に努めること。なお、運用に当た
っては、昭和57年7月23日付け基安発第13号「職業訓練修了者に対する労働安全衛生法令に基づ
く資格等の取扱いについて」によることとすること。
ロ 職業訓練を修了した者に係る「雇入れ時等」及び「特別教育」の免除等の措置については、昭
和47年9月18日付け基発第601号の1及び昭和48年3月19日付け基発第145号の通達によること。
③ 出稼ぎ労働者に対する安全衛生教育関係出稼ぎ労働者に対する送出地における安全衛生教育につ
いては、関係機関と連携のうえ、教育に必要な災害統計その他の資料の提供を行うこと。
(2) 就業時における安全衛生教育
① 雇入れ時等の安全衛生教育関係
イ 雇入れ時等教育の実施体制が十分でない中小企業等における当該教育は、系列構外下請に属す
る事業場及び構内下請事業場については親企業又は元方事業者を中心にその実施を促進するもの
とし、講師としては、中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実施する「新入者安全衛生
教育トレーナーコース」又はRST講座等「職長等教育講師養成講座」修了者等を充てること。
ロ 工業団地、事業協同組合、地域別又は業種別の団体等(以下、「集団」という。)の構成員で、
当該教育を自ら実施することが困難であるものについては、集団所属の教育を担当する者(以下、
「中小企業安全衛生指導員」という。)を活用し、共同して当該教育の実施を図らせること。
なお、中小企業安全衛生指導員については、中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実
施する「中小企業安全衛生指導員コース」修了者を充てること。
② 特別教育等関係
イ 安全衛生団体が行う特別教育等については、引き続きその適正化が図られるよう実施内要、方
法等について必要な指導を行うこと。特に当該教育を担当する講師(以下、「インストラクター」
という。)については、十分な知識、能力、経験等を有する者を当てさせること。また、資質の
向上については必要に応じ特別教育等に必要な知識等を付与するための研修(特別教育インスト
ラクター養成講座)を安全衛生教育センター又は安全衛生団体の本部が主体となって実施するこ
ととする。なお、企業自らが実施する場合の教育担当者についても、当該研修に積極的に参加す
るよう勧奨すること。
ロ 「特別教育」に準じた教育については、その業務の種類ごとにカリキュラム、実施方法等によ
り実施するものとする。
ハ チェーンソー以外の振動工具取扱作業者に対する安全衛生教育については、昭和58年5月20日
付け基発第258号に基づきその推進を図ること。なお、この場合「トレーナー講習」とあるのを
「インストラクター講習」と読み替えるものとする。
ニ 特に業務内容の変化が著しい業務にかかる「実務向上教育」については、その業務の種類ごと
に新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。「実務向上教育」にかかる
一定期間ごとは、特別教育等修了後、概ね5〜7年度をいうこと。
ホ 当該教育を担当するインストラクターについては必要に応じ「実務向上教育」に必要な知識等
を付与するための研修(インストラクター実務向上研修)を安全衛生教育センター又は安全衛生
団体の本部において新たに実施することとする。なお、企業自らが実施する「実務向上教育」に
ついても、教育を担当するものが当該研修に積極的に参加するよう勧奨すること。
ヘ 特別教育の免除等措置については、昭和47年9月18日付け基発第601号の1「労働安全衛生規
則の施行について」等関係通達によること。
③ 特殊技能者(作業主任者を除く、以下本項において同じ。)に対する教育関係
イ 指定教育機関が行う技能講習の講師の資質の向上については、監査指導等を通じ、日頃より担
当科目に関する各種の安全技術に関する講習会等への参加等によりその研鑚に努めるよう指導す
ること。
ロ 特に業務の内容の変化が著しい業務に係る「技能向上教育」については、その業務の種類ごと
に新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。「技能向上教育」に係る一
定期間ごとは、免許試験及び技能講習の資格取得後、概ね5〜7年程度をいうこと。当該教育を
担当する講師については、必要に応じ、「技能向上教育」に必要な知識等を付与するための研修
(技能向上教育担当講師研修)を安全衛生団体の本部において新たに実施することとする。
ハ <削除>
ニ <削除>
(3) 高年齢労働者に対する安全衛生教育
イ 高年齢労働者に対する安全衛生教育については、年齢別の災害発生状況、高年齢者の安全衛生
対策に関する好事例等に関して集団・個別指導等の機会をとらえ、事業者に対し啓発を行うこと。
また、教育の実施に当たっては安全衛生に関する専門家等の活用に配慮すること。
ロ 職務の配置転換等に伴う「作業内容変更時教育」の実施に際しては教育対象者が高年齢労働者
であることを考慮して教育内容が十分習得されるものであるように事業者に対し指導すること。
(4) 経営首脳者、管理監督者等に対する安全衛生教育
① 経営首脳者に対する啓発関係
経営首脳者に対する啓発については、安全衛生団体本部の行う「経営首脳者安全衛生セミナー」
を中心に行うものとし、実施に当たって波及的効果をあげるため、業種別、地区別等の開催に配慮
することとする。特に中小企業の経営首脳者に対しては、上記セミナーの受講を勧奨するとともに
、昭和51年2月20日付け基発第217号「安全衛生教育の推進について」に基づき促進すること。
② 安全・衛生管理特別指導事業場の経営首脳者等に対する安全衛生教育関係
安全・衛生管理特別指導事業場の経営首脳者に対しては、新たに示すカリキュラム、実施方法等
により必要な安全衛生教育を実施するものとする。また、実施に当たっては安全衛生教育センター、
安全衛生サービスセンター等の活用に配慮すること。
なお、当該教育には「災害多発事業場の経営首脳者」も含める趣旨であること。
③ 総括安全衛生管理者等に対する安全衛生教育関係
統括安全衛生責任者に対する安全衛生教育については、昭和52年2月21日付け基発第91号「安全
衛生教育の推進について」に基づき引き続き実施するものであること。
④ 安全・衛生管理者等に対する安全衛生教育関係
イ 安全管理者に対する選任段階における安全衛生教育(実務教育)については、当面昭和51年2
月20日付け基発第217号「安全衛生教育の推進について」に基づく実務研修の内容により実施す
ること。なお、この場合「実務研修」を「実務教育」と読み替えるものとし、当該教育は安全衛
生団体が業種別、地区別等に開催すること。
ロ 教育対象は新たに選任された者はほか選任されて間もない者を含む趣旨であること。
ハ <削除>
ニ 安全推進員及び労働衛生管理員<編注:現・安全衛生推進者等>に対する安全衛生教育につい
ては、 昭和49年3月4日付け基発第112号「安全推進員制度及び労働衛生管理員制度の推進につ
いて」に基づき引き続き実施すること。
なお、教育対象者は新たに選任された者のほか選任されて間もない者を含む趣旨であること。
⑤ 作業主任者等に対する安全衛生教育関係
イ 指定教習関係が行う作業主任者に係る技能講習の講師については、1.(2)[3]イによること。
ロ 特に変化の著しい業務に係る作業主任者の「実務向上教育」については、その業務の種類ごと
に新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
「実務向上教育」に係る一定期間ごととは、免許試験又は技能講習の資格取得後、概ね5〜7
年程度をいうこと。当該教育を担当する講師については、必要に応じ、「実務向上教育」に必要
な知識等を付与するための研修(実務向上教育担当講師研修)を安全衛生団体の本部において新
たに実施することとする。
ハ <削除>
ニ <削除>
ホ <削除>
へ 昭和54年5月2日付け基発第212号「安全衛生教育の推進について」に基づく「沿岸荷役主任
者」については、引き続き実施するものであること。
ト 作業指揮者等に対する安全衛生教育については、その業種の種類ごとに新たに示すカリキュラ
ム、実施方法等により実施するものとする。
チ 「車輛系荷役運搬機械等の作業指揮者」の安全衛生教育については、昭和53年9月18日付け基
発第515号「安全衛生教育の推進について」に基づき当該作業指揮者等に対する教育として引き
続き実施すること。
⑥ 職長等に対する安全衛生教育関係
イ 職長等教育を担当する講師については、労働者数100人以上の規模の事業場において対象職長
等の教育を行うのに必要な数を自ら確保することとする。
ロ 講師の養成講習としては、「職長等教育講師養成講座」又は「職長・安全衛生責任者教育講師
養成講座」があること。
ハ 安全衛生団体が行う職長等教育又は職長・安全衛生責任者教育は当該教育の講師未充足の事業
場及び労働者数100人未満の事業場を対象として実施することとする。
なお、対象者としては、新たに選任される者のほか、選任されて間もない者を含める趣旨であ
ること。
また、業種別、地区別等の開催に努めるとともに、講師として「職長等教育講師養成講座」又
は「職長・安全衛生責任者教育講師養成講座」修了者を充てること。
ニ ビル管理業及び清掃業については、職長等教育に準じた教育を実施することとしており、この
場合の講師としてはそれぞれ中央労働災害防止協会安全衛生教育センターが実施する「ビル管理
業職長等教育トレーナーコース」及び「清掃業職長等教育トレーナーコース」修了者を充てるこ
と。
⑥−2 安全衛生責任者に対する安全衛生教育関係
安全衛生責任者に対する安全衛生教育については平成12年3月28日付け基発第179号「建設業
における安全衛生責任者に対する安全衛生教育の推進について」(平成13年3月26日付け基発第
178号により改正)により実施すること。
⑦ 計画参画者等に対する安全衛生教育関係
イ 建築業に係る計画の作成に参画する者に対する安全衛生教育については、引き続き「計画作成
参画者」により実施すること。
ロ 法第88条第5項の規定に基づき労働災害の防止に関する計画の作成に参画する者以外の者で事
前評価を担当する者(以下、「アセスメント参画者」という。)に対する安全衛生教育について
は、その業種の種類ごとに新たに示すカリキュラム、実施方法等により実施するものとする。
⑧ 救護技術管理者に対する安全衛生教育関係
救護技術管理者として選任される者に対する安全衛生教育については、引き続き「ずい道等救護
技術管理者研修」により実施すること。
⑨ 生産技術管理者等に対する安全衛生教育関係
イ 当該教育の対象者は、ラインの安全管理担当者、現場の生産技術者、現場の技術管理責任者等
とするものであること。
ロ 化学工業及び建設業に係る生産技術管理者に対する安全衛生教育については、昭和52年2月21
日付け基発第91号「安全衛生教育の推進について」に基づき引き続き実施すること。なお、この
場合、「生産技術者」とあるのを「生産技術管理者」に、「化学工場」とあるのを「化学工業」
と読み替えるものとすること。
ハ 当該教育の修了者は、安全管理者選任の段階における教育(ただし、安全管理者として資格を
有する者に限る。)及び安全推進員の選任時の教育を修了したものとみなすものであること。
ニ 当該教育は、安全衛生教育センターの「特定業種の生産技術管理者研修」により行うものとす
る。
⑩ 設計技術者等に対する安全衛生教育関係
イ 設計技術者に対する教育の対象者は、当面、動力プレス機械、木材加工用機械、建設機械、荷
役運搬機械、ボイラー、クレーン等の設計技術者、建設工事に係る設計技術者等とすること。
ロ 工作を担当する者に対する教育の対象者は、当面、ボイラー、クレーン等の工作責任者、検定
対象機械の工作責任者とすること。
ハ 設計技術者等に対する安全衛生教育については、その業務の種類ごとに新たに示すカリキュラ
ム、実施方法等により実施するものとする。
ニ 「クレーン等の設計技術者」に対する安全衛生教育は、昭和55年8月11日付け基発第424号
「クレーン等の設計技術者に対する安全衛生教育について」に基づき引き続き実施すること。な
お、当該教育は、クレーン等の工作責任者に必要な教育も含まれているものであり、当該教育の
修了者はクレーン等の工作責任者の教育を必要としないものであること。
ホ 「動力プレス機械の設計技術者」に対する安全衛生教育は昭和58年8月1日付け基発第417号
「動力プレス機械設計技術者に対する安全衛生教育について」に基づき引き続き実施すること。
ヘ 当該教育は、安全衛生団体の本部の「設計技術者等教育」により行うものとする。
⑪ 定期自主検査者等に対する安全衛生教育関係
イ 定期自主検査者を担当する者の安全衛生教育については、その業務の種類ごとに新たに示すカ
リキュラム、実施方法等により実施するものとする。
ロ 特定自主検査を担当する者の「実務向上教育」の一定期間ごとは、研修により資格を取得した
者にあっては取得後、それ以外の者にあっては当該業務に就いた後、概ね5〜7年程度をいうこ
と。
ハ 機械設備等の整備を担当する者とは、特定機械、建設機械、仮設機材等については、点検・検
査等の結果に基づき保守管理する者をいうこと。当該教育は業務の種類ごとに新たに示すカリキ
ュラム、実施方法等により実施するものとする。
⑫ 作業環境測定士等に対する安全衛生教育関係
作業環境測定士等に対する安全衛生教育については、作業環境測定、測定結果の評価、局所排
気装置等に関する事項等環境管理技術に関し、技術の進歩、発展の状況に従い実施するものとす
る。
2 実施体制関係
安全衛生教育の推進に当たって、各種の教育を担当する者として、労働安全コンサルタント、労働衛
生コンサルタント、安全・衛生管理士の積極的活用を図ること。
3 <削除>
別紙(平成13年3月26日 基発第179号により削除)