陸上貨物取扱業
玉掛けステップの中で一番危険な巻き上げ時のワイヤ保持では、切板製品を直接タッチするため、挟まれ災害やワイヤの掛かり具合の不備による製品転落事故など災害、事故の防止が必要である。また、玉掛け者の省力、サイクルタイムの短縮による作業能率の向上も目指し、電動吊り具の導入を全体の60%まで進めてきた。しかし、電動吊り具の軽量化や、コンパクト化に限界があるため、電動吊り具の利用に制約があり、いまだワイヤによる玉掛け作業が残っていた。手鈎の使用によって間接タッチも推進したがそれだけでは玉掛けステップの安全化を図ることができなかった。
そこで、巻き上げ時のワイヤの保持が維持でき、安全かつ能率的に作業できるように玉掛け用ワイヤ緊張保持装置付き吊り具を作成した。
- ① ワイヤ緊張保持装置機構は、荷重を受ける簡易吊り具部の上に羽根型のプレートを取り付け、その羽根部に市販品のスプリングバランサーを吊り下げている。スプリングバランサーの張力とチェーンの自重を利用することにより、玉掛け者がワイヤが緊張するまでワイヤを保持しなくても製品からワイヤが外れない機構となっている。しかも、玉掛け者がワイヤの製品への掛け外しをスムーズに行える。
- ② スプリングバランサーのフックを直接玉掛け用ワイヤに掛けることができないのでチェーンと、カップリング、フックを利用して緊張保持装置機能を可能とした。
- ③ 製品にワイヤを掛けただけの無荷重の状態では、ワイヤはチェーンを介してスプリングバランサーの張力で保持されている。巻き上げ時においては、ワイヤからチェーンを介し簡易吊り具部に製品荷重がかかり、スプリングバランサーには直接荷重が掛からないように設計した。
- ④ 強度計算、市販品のパーツ選択をすべて自社で実施し、簡易吊り具の自重を200kgと軽量でコンパクトな設計が可能となった。また、簡易吊り具を数タイプ製作し、さまざまな製品サイズに対応可能とした。
- ワイヤの振り分けにおいて、ワイヤ緊張保持装置により手鈎による振り分けが容易になり、ワイヤ保持の必要がなくなり、安全かつ能率的に作業が進められるようになった。
- ワイヤの緊張から地切りにおいても、緊張保持装置によりワイヤ保持の必要がなくなった。
- ワイヤ外しから微動巻き上げにおいても、緊張保持装置によりワイヤが製品に引っかかりにくくなり安全に作業ができるようになった。
平成3年9月〜平成5年3月
400,000円/1式
無し