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健康づくり

国は昭和63年に「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(THP指針)を策定し、心身両面にわたる健康保持増進対策を推進しています。

昨今の産業構造の変化や高齢化の一層の進展、働き方の変化、医療保険者との連携等の観点から、令和2年以降、指針が何度か改正され、今に至っています。また、THP指針に基づく取り組みの参考となるよう、事業場の取組事例や指針のポイントをとりまとめた「職場における心とからだの健康づくりのための手引き」が公表されています。

健康保持増進措置は、労働者が自主的・自発的に取り組むことですが、その自助努力を支援する制度や、適切な生活習慣が継続して行える環境づくりなど、事業者の積極的な健康管理を推進する取り組みが必要となります。そこで、THP指針では、事業場内の健康保持増進措置を適切かつ有効に行うための基本となる実施方法と留意すべきポイントを示しています。

  1. (1)THPの推進には、中長期的な視点で安全衛生計画を立て、事業者による方針表明から結果評価までをPDCAサイクルに沿って取り組むことが重要です【図1】。この際、衛生委員会等に計画を付議し、推進体制を整備することが望まれます。
    衛生委員会等の活用による取り組み

    図1 THPの進め方

  2. (2)措置内容は「健康指導」と「それ以外の取り組み」の大きく2つに分けられます。「健康指導」は、「労働者の健康状態の把握」と「把握した労働者の健康状態を踏まえて実施される運動指導や保健指導などの実施」の2ステップで行います【図2】。
    健康保持増進措置における「健康指導」の例

    図2 健康保持増進措置における「健康指導」の例

  3. (3)対象者については、健康障害を起こす危険因子を有する労働者を特定して健康状態の改善を目指す「ハイリスクアプローチ」だけではなく、対象を集団全体に広げて危険因子の有無に関係なく事業場全体の健康状態の改善を目指す「ポピュレーションアプローチ」を組み合わせて行うことが効果的である。
  4. (4)健康づくりに無関心な人にも参加してもらうような環境づくりや仕組みづくりの工夫が大事。
  5. (5)労働者の高齢化を見据えた若年期からの運動の習慣、歯・口腔の健康維持等の健康保持増進に取り組むことが有効である。
  6. (6)健康情報を含む労働者の個人情報は「要配慮個人情報」として慎重に扱うことが極めて重要。
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