化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針を定める件

 労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成二十四年厚生労働省令第九号)の施行に伴い、並びに労働
安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第二十四条の十六の規定に基づき、及び労働安全衛生法
(昭和四十七年法律第五十七号)を実施するため、化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(平成四
年労働省告示第六十号)の全部を次のように改正し、平成二十四年四月一日から適用する。


   化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針

  (目的)
第一条 この指針は、危険有害化学物質等(労働安全衛生規則(以下「則」という。)第二十四条の十四第
 一項に規定する危険有害化学物質等をいう。以下同じ。)及び特定危険有害化学物質等(則第二十四条の
 十五第一項に規定する特定危険有害化学物質等をいう。以下同じ。)の危険性又は有害性等についての
 表示及び通知に関し必要な事項を定めるとともに、労働者に対する危険又は健康障害を生ずるおそれの
 ある物(危険有害化学物質等並びに労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第十八条各
 号及び同令別表第三第一号に掲げる物をいう。以下「化学物質等」という。)に関する適切な取扱いを
 促進し、もって化学物質等による労働災害の防止に資することを目的とする。

  (譲渡提供者による表示)
第二条 危険有害化学物質等を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、当該容器又は包
 装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供する場合にあっては、その容器。以下この条にお
 いて同じ。)に、当該危険有害化学物質等に係る次に掲げるものを表示するものとする。ただし、その
 容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
 一 次に掲げる事項
  イ 名称
  ロ 人体に及ぼす作用
  ハ 貯蔵又は取扱い上の注意
  ニ 表示をする者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号
  ホ 注意喚起語
  ヘ 安定性及び反応性
 二 則第二十四条の十四第一項第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める標章(平成二十四年厚生労
  働省告示第百五十一号)において定める絵表示
2 前項の規定による表示は、同項の容器又は包装に、同項各号に掲げるもの(以下「表示事項等」とい
 う。)を印刷し、又は表示事項等を印刷した票箋を貼り付けて行わなければならない。ただし、当該容
 器又は包装に表示事項等の全てを印刷し、又は表示事項等の全てを印刷した票箋を貼り付けることが困
 難なときは、該表示事項等のうち同項第一号ロからヘまで及び同項第二号に掲げるものについては、こ
 れらを印刷した票箋を当該容器又は包装に結びつけることにより表示することができる。
3 危険有害化学物質等を第一項に規定する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、表示事項
 等を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付するものとする。
4 危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供した者は、譲渡し、又は提供した後において、当該危険有害
 化学物質等に係る表示事項等に変更が生じた場合には、当該変更の内容について、譲渡し、又は提供し
 た相手方に、速やかに、通知するものとする。
5 前四項の規定にかかわらず、危険有害化学物質等に関し表示事項等の表示について法令に定めがある
 場合には、当該表示事項等の表示については、その定めによることができる。(譲渡提供者による通知
 等)

第三条 特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付又は相手方の事業者が承諾し
 た方法により当該特定危険有害化学物質等に関する次に掲げる事項(前条第三項に規定する者にあって
 は、表示事項等を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知するものとする。ただし、主として
 一般消費者の生活の用に供される製品として特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する場合につ
 いては、この限りではない。
 一 名称
 二 成分及びその含有量
 三 物理的及び化学的性質
 四 人体に及ぼす作用
 五 貯蔵又は取扱い上の注意
 六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
 七 通知を行う者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号
 八 危険性又は有害性の要約
 九 安定性及び反応性
 十 適用される法令
 十一 その他参考となる事項
2 前条第四項の規定は、前項の通知について準用する。

  (事業者による表示及び文書の作成等)
第四条 事業者(化学物質等を製造し、又は輸入する事業者及び当該物の譲渡又は提供を受ける相手方の
 事業者をいう。以下同じ。)は、容器に入れ、又は包装した化学物質等を労働者に取り扱わせるときは、
 当該容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装した化学物質等を労働者に取り扱わせる場合にあっては、
 当該容器。以下第三項において「容器等」という。)に、表示事項等を表示するものとする。
2 第二条第二項の規定は、前項の表示について準用する。
3 事業者は、前項において準用する第二条第二項の規定による表示をすることにより労働者の化学物質
 等の取扱いに支障が生じるおそれがある場合又は同項ただし書の規定による表示が困難な場合には、次
 に掲げる措置を講ずることにより表示することができる。
 一 当該容器等に名称を表示し、必要に応じ、第二条第一項第二号の絵表示を併記すること。
 二 表示事項等を、当該容器等を取り扱う労働者が容易に知ることができるよう常時作業場の見やすい
  場所に掲示し、若しくは表示事項等を記載した一覧表を当該作業場に備え置くこと、又は表示事項等
  を、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、当該容器等を取り扱う作業
  場に当該容器等を取り扱う労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
4 事業者は、化学物質等を第一項に規定する方法以外の方法により労働者に取り扱わせるときは、当該
 化学物質等を専ら貯蔵し、又は取り扱う場所に、表示事項等を掲示するものとする。
5 事業者(化学物質等を製造し、又は輸入する事業者に限る。)は、化学物質等を労働者に取り扱わせる
 ときは、当該化学物質等に係る前条第一項各号に掲げる事項を記載した文書を作成するものとする。
6 事業者は、第二条第四項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により通知を受けたとき、
 第一項の規定により表示(第二項の規定により準用する第二条第二項ただし書の場合における表示及び
 第三項の規定により講じる措置を含む。以下この項において同じ。)をし、若しくは第四項の規定によ
 り掲示をした場合であって当該表示若しくは掲示に係る表示事項等に変更が生じたとき、又は前項の規
 定により文書を作成した場合であって当該文書に係る前条第一項各号に掲げる事項に変更が生じたとき
 は、速やかに、当該通知、当該表示事項等の変更又は当該各号に掲げる事項の変更に係る事項について、
 その書換えを行うものとする。

  (安全データシートの掲示等)
第五条 事業者は、化学物質等を労働者に取り扱わせるときは、第三条第一項の規定により通知された事
 項又は前条第五項の規定により作成された文書に記載された事項(以下この条においてこれらの事項が
 記載された文書等を「安全データシート」という。)を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備
 え付ける等の方法により労働者に周知するものとする。
2 事業者は、労働安全衛生法(第四項において「法」という。)第二十八条の二第一項又は第五十七条の
 三第一項の調査を実施するに当たっては、安全データシートを活用するものとする。
3 事業者は、化学物質等を取り扱う労働者について当該化学物質等による労働災害を防止するための教
 育その他の措置を講ずるに当たっては、安全データシートを活用するものとする。
4 法第十七条第一項の安全委員会、法第十八条第一項の衛生委員会又は法第十九条第一項の安全衛生委
 員会(以下この項において「委員会」という。)を設置する事業者は、当該事業場において取り扱う化
 学物質等の危険性又は有害性その他の性質等について、事業者、労働者その他の関係者の理解を深める
 とともに、化学物質等に関する適切な取扱いを行わせるための方策に関し、委員会に調査審議させ、及
 び事業者に対し意見を述べさせるものとする。

(細目)
第六条 この指針に定める事項に関し必要な細目は、厚生労働省労働基準局長が定める。

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