石油製品・石炭製品製造業
事業場では、石炭ボイラー(蒸発量300トン/時間)で使用する石炭の運搬を図1のようにベルトコンベヤーで搬送している。このベルトに付着した石炭をかき落とすために、先端にチップの付いたベルトクリーナーがある(図2)。
クリーナーチップの摩耗が進展すると、ベルトに対する加圧力が弱まり、クリーナーの機能が低下する。さらにベルトに付着した石炭がコンベヤー下部に落ちる。そのため、2週間に1回コンベヤーを停止して各点検口を開放し、クリーナー加圧力の手動調整、クリーナーチップの摩耗量測定、クリーナーチップの交換等をコンベヤー内部に立ち入って作業していた。
また、ベルトコンベヤー下部に落ちた石炭を各点検口からかき出す清掃作業は1回当たり3時間かかっていた(図3)。
これらの作業は、いわゆる4K(暗い、汚い、きつい、危険)作業の代表的なものであった。
ベルトクリーナーの加圧力調整の自動化、クリーナーチップの磨耗量の外部からの目で見る管理、クリーナーチップ交換の延長を図った。しかしわずかずつベルトコンベヤー下部に石炭が溜まるため、周期的には長くなったものの、落炭の清掃は必要であった。
そこで、点検口を開放せず、ウインチを回すことによりブルドーザーを稼働させ、落炭を簡単に回収する改善を実施した。
改善の内容は以下のとおりである。
- ① ベルトクリーナーの加圧力調整方法を、コンベヤー内部に潜り、クリーナーの加圧力を測定しながら外部から加圧調整ボルトで、適正加圧に調整するやり方から、加圧調整ウエイトを設置し、常に一定加重がかかるように変更した。
- ② クリーナーチップの材質を、超硬合金鋼からセラミックに変更し、取替周期を大幅に延長した(年2回→変更後2年間取替なし)(図4)。
- ③ コンベヤー内部で確認していたクリーナーチップの摩耗量を、外部から確認できるようにした。
- ④ コンベヤー下部の点検口を開けケーシング外へ落炭をかき出す方法から、ウインチでブルドーザーを移動して落炭を簡単に回収できる方法にした(図5)。
- 有形効果
- ① クリーナーの加圧力調整回数がゼロに
24回/年→0回/年 - ② クリーナーチップ取替保全費削減
50万円/年→0円/年(2年間取替なし) - ② ベルトコンベヤーケーシングを開放してのかき出しが作業ゼロに
400時間/年→0時間/年
- ① クリーナーの加圧力調整回数がゼロに
- 無形効果
- ① コンベヤー内部に潜る4K作業がなくなり、安全性および作業環境の向上が図れた。
- ② 落炭清掃作業およびクリーナーの点検調整作業から解放され、精神的にも楽になった。
平成7年4月〜平成8年3月
10万円/材料一式(手作り)
無し