機械器具設置工事業
従来、発電所などの建物内の上部(天井下)に配管ブロック等の重量物を据え付ける場合は、作業現場にレールを敷き、配管ブロック等を載せた台枠とレールの間にコロを入れ、ウインチによりコロ引き運搬後、4台以上のチェーンブロックによりつり上げた後、仮設足場を設けて開先合わせ作業を行っていた。この作業方法では、以下のような危険があるほか、正確な配管場所への調整が困難で作業能率が悪かった。
- ① コロ引きによる運搬時:転倒や挟まれ
- ② 重量物のつり上げ時:つり荷の落下
- ③ 仮設足場:作業床不足による墜落
上記のような問題点を改善するため、リフトアップ台車を作成した。
- 機構と構造
リフトアップ台車は、台車部と荷台部から構成され、以下のような構造になっている。また、運転は、リモコンで行う(図1参照)。- ① 台車部
走行方向を変更する場合は、車輪の向きを変えることにより行い、横走行、小回りする場合はリガージャッキで台車を持ち上げ、車輪の向きを変えることにより行う。
また、牽引できるように牽引バーを取り付けてあり、移動時はサイレンで警報を発する。なお、非常停止ボタンが車体周囲の4カ所に設けられている。 - ② 荷台部
昇降機構:パンダグラフ式のリンク機構を油圧シリンダで駆動することにより荷台を1,200mmの範囲で昇降できる。 スライド機構:荷台上にスライド板を設け、油圧により前後左右に100mm範囲でスライドさせることができる。
- ① 台車部
- 作業方法(図2)
- ① 配管ブロックを台車に載せ、据え付け位置の真下まで移動させる。移動距離が長い場合は、牽引専用の駆動車両を用いて台車を牽引する。
- ② リガージャッキで台車を浮かせて固定する。
- ③ 昇降機構により荷台を据え付け位置まで上昇させる。
- ④ スライド機構により水平方向の位置調整を行う。
- ⑤ 開先合わせ作業を行い作業を終了する。
上記の考案により、以下のような効果が得られた。
- コロ引き作業による転倒、挟まれ等の危険の防止
- 重量物のつり荷の落下による危険の防止
- 作業床を確実に確保することができることによる、墜落の危険の防止
- コロ引きレールが不要になることによる、通路の確保および作業スペースの改善
平成5年4月〜平成6年11月
2200万円
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