電気機械器具製造業
300tプレスにより打ち抜かれた加工物(鋼材)の搬送を、従来は図27に示すように傾斜したコンベヤーにより落下させ、ため込み、さらにクレーン、フォークリフトを使用して実施していた。しかし、加工物(φ470〜670、4〜7kgの鋼材)の落下または転がり音は最大105dBにも達し、しかもほとんど絶え間なく騒音が発生する状況にあった。そのうえ、フォークリフトの運転のできる通路まで、クレーンによって運搬する必要があった。そこで、騒音の低減化とクレーン作業の解消を図るための具体的な作業方法の改善が望まれていた。
抜き板を水平に落下させるための案内棒、内部が見える透明な遮音板(アクリル製)を開口部側に取り付けた。また、打ち抜き板を容易に押し出せるように搬送コンベヤーを水平に型内まで取り付け、専用の押し棒で押し出す構造とした。なお、あらかじめ抜き板を一枚セットしておくと、舞い落ちる感じとなり落下音がさらに小さくなる。
従来の傾斜搬送のコンベヤーおよびため込み運搬治具(図27参照)を廃止し、プレス型内から抜き板を容易に水平移行できるストックコンベヤーをフォークリフト用の通路まで延長した。コンベヤーにはベアリングを利用した方向転換装置(写真26)、大きさの異なる鋼材に対応可能な安全柵の調整機構(写真29、30)が取り付けられている。
- プレス型内の改良および遮音板の取り付けにより、打ち抜き落下音が105dBから85dBに低下した。
- 水平コンベヤーの運搬方法の導入により、コンベヤー上の転がり音(85dB)と収納治具への落下音(100dB)がなくなった。
- クレーンによるプレス間での運搬作業がなくなり、玉掛け作業等の危険性を除くことができた。
昭和61年6月〜8月
5万円(一式)
無し