製鉄・製鋼・圧延業
焼結プロセスに置いては、粉鉄鉱石、粉コークス等の原料をミキサーにより混合、調湿造粒し、これをサージホッパー下部の切り出しゲートから焼結パレットに一定の層厚で装入する。このパレット上の焼結原料は上部より着火され、コークスの燃焼により部分的に溶融が生じて粉状が塊状(焼結鉱)になる。
この後、この塊は高炉使用に適した粒度範囲にするため破砕機により砕かれ、スクリーンで整粒された後、高炉へと供給される。しかし、時にはサージホッパー下部の切り出しゲートに原料塊が詰まり、パレット上原料層に不均一を生じさせることがある。
これを防ぐため、従来はサージホッパー上流部に塊状物除去装置を設置していた。この原料塊を一定期間ごとに除去する必要があったが、このとき次のような問題があった。
- ① 除去作業の際、大塊の流出があり、清掃治具で身体を強打しそうになった。
- ② 大塊を除去する際、1人では相当な重筋作業となることがある。
- ③ エアーパイプにより原料塊の付着清掃をする際、跳ね反りがあり顔面にあたる。
- ④ 原料温度が40〜60℃あるため夏は高温多湿、冬は蒸気により視界が悪い。
- ⑤ 粉じん職場である。
これらの問題を解決するため、次のような塊状物除去装置を考案した。
装置の塊取り刃の一端が固定グリズリーのスリットの隙間を通過可能な間隔で櫛刃状に配列固定され、一方が開放端となっている。
また、待機位置と固定グリズリーの間を往復できる移動機構と固定グリズリーの隙間を下方から上方に向かって塊取り刃が通過するような昇降および回転機構を有するものである。
塊状物除去のプロセスは以下のとおりである。
- ① 装置が前進し、固定グリズリーの隙間に塊取り刃が入る。
- ② 塊取り刃が上昇する。このとき塊状物が固定グリズリーから除去される。
- ③ 装置が後退し、排出シュートに原料塊を排出する。
- ④ ①〜③を一定周期に行う。
- 塊状物の除去が無人化されたことにより、前述した問題点をすべてクリアできた。
- 安定した操業の継続、焼結鉱強度の向上返鉱原単位の低減による焼結歩留の約1%向上が図れた(焼結歩留の向上による焼結鉱製造コストの合理化額は約1.0億/年である)。
平成5年10月〜平成6年10月
1400万円/基
有り