貨物取扱業
貨物を積載したコンテナを「スプレッター付きトップアップリフト」(以下「フォークリフト」という)で吊り上げ作業中、コンテナが落下する事故が発生した。
「フォークリフト」でコンテナを吊り上げるには、コンテナの上部の4隅の穴にツイストロックピンを「アンロック」の状態で挿入したのち、ツイストロックピンを90度回転させることにより、「ロック」」状態としなければならない。なお、ツイストロックピンは、4本がコンテナ上部の4隅の穴に確実に入った状態(「着床」という)でないと回転できないような、インターロック方式になっている。また、「フォーク」を上下に動かす「リフトレバー」は、ツイストロックピンが「アンロック」の状態か「ロック」の状態のときでないと操作できないようなインターロック方式を採用しているが、フォークリフトの機能テストおよびメンテナンスのときのほか、歪んだコンテナの上部の4隅の穴にツイストロックピンを挿入するときなど、インターロックを解除し、「アンロック」または「ロツク」の状態でなくても、リフトレバーを操作しなくてもリフトレバーを操作しなければならない場合もある。そのために「インターロック解除スイッチ」が設けられている。
落下事故が発生したときは、ツイストロックピンが「半ロック」の状態になっていたものと想像される。
次のような構造・システムに改良した。
- ① ツイストロックピンの操作レバーを「自動中立復帰型」から「セレクタースイッチ型」に変更した。
これにより、運転者は、ロックまたはアンロックのいずれかの二者択一となり、半ロック状態にすることができない。 - ② インターロック解除スイッチを「キー型スイッチ」から「自動復帰型押しボタンスイッチ」に変更した。
これにより、運転者が押しボタンを押している間だけ、インターロックを解除できる構造となり、キー型スイッチの切り忘れによる危険を防止することができる。 - ③ ツイストロックピンが半ロック状態だと2秒後には運転室内のブザーが鳴る電気回路とした。
- ④ インターロック解除のための電気回路が絶縁不良等で短絡した場合にも、運転室内のブザーが鳴る電気回路とした。
フォークリフトの運転者のウッカリ、ボンヤリの操作、作動結果の確認の見落とし操作ミス等であっても、また、機器の経年劣化等による電気回路の短絡、インターロック解除回路の不良であっても、ブザーの警報により半ロックの状態にならない二重の安全装置とした。
万一、何らかの原因で半ロック状態になった場合は、ブザーにより運転者に警告を発するようになっている。 (ブザーの警報を2秒後とした理由は、通常のツイストロックピンのレバー操作の都度、ブザーが鳴ることを防ぐためである。)
以上の改善により、運転者の操作ミス、機器の不良、いずれの場合においても半ロック状態によるコンテナの落下事故は防止できるものと思われる。
平成4年2月〜5月
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無し