自動車・同付属品製造業
圧縮エアを利用する工具の使用に当たり、作業位置に従い、エア供給口に対し工具(エアチャック付きホース)を着脱する作業が必要である。この作業工程でエアチャックを供給口から切り離す際に、ホース内のエアが大きな音とともに勢いよく吹き出す現象が起こる。これは、エア供給源となるコンプレッサー側ではエアは止まる機構になっているものの、ホース側では、チャックが筒状のために、そのままストレートに残留している圧縮エアが吹き出すためである。従来より、
- ① ホース内のエアが勢いよく大きな音を出して吹き出すのでヒヤリとする。
- ② エアの吹き出す勢いにより、チャック部が飛び上がり、顔などに当たる危険がある。
- ③ 吹き出すエアにより、床面のゴミなどが飛び上がり、目に入る恐れがある。
などの問題点が指摘されていた。
問題は、ホースを離脱する際にエアが勢いよく吹き出すので、その勢いをいかに弱めるかということであった。そこで、ホース側のエアチャック内にボールを入れ、エアの吹き出しを弱めるように工夫した。
構成部品は、ホース金具、エルボ、金属製ボール、クイックジョイントからなっている。本考案のポイントは、ホースを接続する金具のボールの当たる側を十字に溝を切ったこと、また、エアチャックのジョイント部分において、ボールとは金属同士のため、わずかにエアが通る仕組みとしたことである。すなわち、接続時には、エアがボールを押し上げ、十字溝を通って流れる。また、離脱時にはエアがボールを押さえ、エアが止まり、吹き出しを防止できる。なお、エルボはいわゆるボールが移動する部屋のことで、60°に角度をつけたのは、ホース接続時の床面への突き出しを少なくするためである。
作業工程上、ゴミの詰まりが懸念されるが、まずコンプレッサー側では、フィルターを通じてエアが供給されるので問題はなく、またホース側においてもシールドが施されているので心配はない。
考案した治具を使用することにより、エアの突発的な吹き出しを解消することができ、次のような安全性が確保できた。
- エアの勢いでチャック部が飛び上がり、顔等に当たる危険性がなくなった。
- 床面等のゴミが飛散することがなくなり、目に入る心配がなくなった。
- チャックを外す時の音が小さくなり、精神的ヒヤリがなくなった。
- ホース内のエアが徐々に抜け、未使用時の危険がなくなった。
平成2年12月〜平成3年1月
500円/個
無し