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工夫・改善事例

電動機の回転子脱着用治具

業種

鉄鋼業

動機

当事業場では、電動機(出力5〜100kW、重量90〜1.070Kg)の点検・修理の際、作業者2名で回転子の抜き取り作業を行っている。

この作業は、従来、回転子の抜き取り側の回転軸に、ホイストクレーンで玉掛けワイヤロープをかけ、作業者Aがホイストクレーンを運転して回転子をつり上げて浮かし、作業者Bが回転軸の抜き取り側を手で支えながらAがホイストクレーンを走行させて、回転子を固定子から抜き取る方法で行っていた。組立ては、以上の逆の手順により行っていた。

ホイストクレーンでつり下げている回転子に直接触れながら引き抜くので、はさまれ・激突されの危険が大きいほか、回転子を一本づりにするため、バランスを失って回転子が落下し、Bが下敷きになったり、回転子・固定子を損傷するおそれもあった。このような重心の片寄っている重量物の玉掛け作業による災害の未然防止を目指し、作業方法の改善を図っていくことにしたものである。

内容

ホイストクレーンによる回転子の玉掛け作業時に、吊り荷に直接触れる必要のないように、作業方法の改善を進めた結果、玉掛けを行うことなく回転子が脱着できる治具を考案したものである。

この治具は、支持金具つき油圧ジャッキ2台、ジャッキ架台、ローラテーブル及び敷鉄板からなっている。

油圧ジャッキは最大使用荷重10トン、治具各部の安全率は3以上で設計した。

作業方法は、電動機をローラテーブル上の敷鉄板にのせ、油圧ジャッキにより回転子を支え、ローラテーブル上の固定子を移動させて、回転子を移動させて、回転子の抜取り又は挿入を行う。

この作業の手順は次のとおりである。

  1. ① ローラテーブル上に敷鉄板をのせる。
  2. ② 電動機を敷鉄板にのせる。
  3. ③ 回転軸に支持パイプを取り付け、両端を油圧ジャッキと支持金具で受ける。
  4. ④ 油圧ジャッキを操作し回転子を浮かす。
  5. ⑤ 固定子を移動方向にスライドさせる。
  6. ⑥ ホイストクレーンで回転子をつり、支持パイプを軸から取り外す。
  7. ⑦ 回転子と固定子を夫々所定の点検修理台に移す。
  8. ⑧ 点検修理が終わった後は、逆の手順によって、組立て作業を行う。

効果

  1. 回転子の抜き取り作業における、はさまれ・激突、回転子の落下による下敷きの危険性がなくなり、安全に作業できるようになった。
  2. 回転子を安定した状態で抜き取れるようになり、電動機の損傷がなくなった。
  3. 従来、2〜3人で行っていた抜き取り作業が1人で行えるようになり、作業時間が1/3程度に短縮できた。

期間

昭和62年3月〜10月

費用

17万円

特許・実用新案申請の有無

無し

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