安全衛生情報センター
1 労働者の安全確保のための対策 (1) 足場等からの墜落・転落防止対策 建設業における死亡災害のうち、墜落・転落災害が4割以上を占めていることから、事業者は、引 き続き、墜落・転落災害防止に係る労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」と いう。)の遵守徹底を図るとともに、足場からの墜落・転落災害を防止するために「足場からの墜落 ・転落災害防止総合対策推進要綱」(平成24年2月9日付け基安発0209第2号、平成27年5月20日一部改 正)に基づく「より安全な措置」等の措置を適切に講じること。 (2) はしご等からの墜落・転落防止対策 建設業における墜落・転落災害による死傷者数のうち、はしご等からの墜落・転落が約3割と最も 多くなっている。事業者は、「リーフレット「はしごを使う前に/脚立を使う前に」を活用した墜落 ・転落災害防止の徹底について」(令和3年3月17日付け基安安発0317第2号)に基づく措置を適切に講 じること。 特に脚立からの墜落・転落については、令和3年に5件の死亡事故が生じており(※)、そのすべての 事案において、被災者は、保護帽(ヘルメット)を未着用もしくは墜落時に脱げた状態であったことか ら、労働者に脚立を使用させる場合には、適正な保護帽の着用を確認すること。 (※) 令和4年3月速報時点。脚立から脚立を設置する地面に落ちた事案のみ(不安定な高所で脚立 を使用し、高所から落ちた事案は含まない)。 (3) 墜落制止用器具の適切な使用 厚生労働省は、事業者に対して、平成31年2月1日に施行された墜落制止用器具に係る改正安衛則等 について、リーフレット等を活用して改正内容の周知を図るともに、令和4年1月1日に経過措置期間 が終了した「墜落制止用器具の規格」(平成31年厚生労働省告示第11号)に適合した墜落制止用器具の 使用を指導する。 事業者は、フルハーネス型墜落制止用器具の使用について、改正安衛則を踏まえた「墜落制止用器 具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日付け基発0622第2号)に基づく措置を適切 に講じるとともに、「墜落制止用器具の規格」に適合した墜落制止用器具の使用を徹底する。 (4) 建設工事の現場等における荷役災害防止対策 荷役作業中の災害を防止するためには、荷主等の立場となる事業者(以下「荷主等」という。)の協 力も必要となることから、厚生労働省は、製造業等の荷主等を対象として安全設備の設置等について、 「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発0325第1 号)に基づく荷主等による取組の必要性を説明し、同取組の促進を図る。 荷主等は、リーフレット「荷役作業の安全確保が急務です!」(令和3年1月18日付け基安安発0118第 2号)に示す取組を実施する等により、建設工事の現場等における荷役災害防止対策を適切に講じるこ と。 (5) 転倒災害の防止 転倒災害は業種問わず最も多い災害の型であるため、事業者は、「今後の転倒災害防止対策の推進 について」(令和元年6月17日付け基安発0617第1号)に基づき、「STOP!転倒災害プロジェクト」(同 通達別添)に定める措置を適切に講じること。特に、転倒災害の特徴として、①高年齢労働者が多く 被災する、②降雪地帯で冬季に多く発生するといったことが挙げられることに留意するとともに、降 雪が多い地域においては、降雪等が本格化する前に、冬季に向けた転倒災害防止対策について事前に 準備を進めること。 また、厚生労働省と消費者庁は、日本転倒予防学会と協力して、10月10日の「転倒予防の日」を契 機に、国民に対する転倒予防の呼びかけを行った。上記取組は、転倒災害が多い小売業等に重点的に 対象にして実施しているところであるが、建設業の事業場においても上記取組を活用しつつ、転倒予 防の取組に努めること。 なお、転倒災害防止用の視聴覚教材を厚生労働省ホームページに公開しているので、事業者は、安 全衛生教育を実施する機会等に活用すること。 (6) 交通労働災害防止対策 事業者は、「交通労働災害防止のためのガイドライン」(平成25年5月28日付け基発0528第2号、平 成30年6月1日最終改正)に基づく措置を適切に講じること。 とりわけ、建設資材等の運搬を発注する際は、過積載運行にならないよう実際に荷を運搬する事業 者に協力すること。 (7) 建設工事の現場等で交通誘導等に従事する労働者の安全確保 厚生労働省は、建設工事の現場等において、交通誘導等に従事する警備業等の労働者が死傷する労 働災害が発生していることを踏まえ、令和元年度に作成した警備業の未熟練労働者への安全衛生教育 に活用できるマニュアルについて周知する。 事業者は、建設工事の現場等で交通誘導等に従事する労働者に対する安全衛生教育を実施する場合 には、同マニュアルを活用すること。 (8) 車両系建設機械等を運転中の墜落・転落防止対策 車両系建設機械を運転中に機械と一緒に墜落・転落し、運転者が死亡した災害が、令和3年に8件発 生している(※)。すべての災害が不安定の場所から崖下、河川、調整池等に墜落・転落したものであ った。 事業者は、労働者に車両系建設機械を使用させる場合は、安衛則に基づき、運行経路等を示した作 業計画を定め、関係労働者に周知するとともに、転倒又は転落により労働者に危険が生じるおそれの ある場合は、誘導者を配置するなど、必要な安全対策を講じること。 (※) 令和4年3月速報時点。 (9) 専門工事業者等の安全衛生活動支援事業 建設業における労働災害の被災者の約9割は、店社で規模が30人未満のものに所属していることを 踏まえ、厚生労働省は、建設業労働災害防止協会(以下「建災防」という。)に対して、中小の建設会 社(以下「専門工事業者等」という。)におけるパトロール、視聴覚教材や冊子の作成等の安全衛生活 動を支援するための事業への補助を実施する。 専門工事業者等は、上記事業を活用する等により、自主的に安全衛生活動を行うこと。 (10)高年齢労働者等の労働災害の防止 厚生労働省は、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月16日付け基 安発0316第1号)(以下「エイジフレンドリーガイドライン」という。)に基づき事業場を指導する。 また、「エイジフレンドリー補助金」により、働く高年齢労働者が安心して安全に働く職場環境の整 備に意欲のある中小企業における取組を引き続き、支援する。 事業者は、各事業場における高年齢労働者の就労状況や業務の内容等の各事業場の実情に応じて、 エイジフレンドリーガイドラインを参照し、厚生労働省、建災防等による支援も活用して、実施可能 なものから積極的に高年齢労働者の労働災害防止対策に取り組み、職場環境の改善を図ること。 (11)外国人労働者に対する労働災害防止対策 厚生労働省は「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」 (平成19年8月3日厚生労働省告示第276号)、「外国人労働者に対する安全衛生教育の推進等について」 (平成31年3月28日付け基発0328第28号)、「外国人の日本語の理解力に配慮した技能講習の実施につ いて」(令和2年3月31日付け基発0330第43号)により、外国人労働者の労働災害防止のための安全衛 生教育の実施方法等について示している。 また、厚生労働省は、外国人労働者が教育内容を理解できるよう、外国語教材を作成し、「職場の あんぜんサイト」及び厚生労働省ホームページにおいて公表している。 事業者は、外国人労働者に対する安全衛生教育を行う場合には、これらの教材を活用しつつ、外国 人労働者がその内容を確実に理解できる方法で実施すること。 また、事業者は、外国人労働者が労働災害に被災した場合に労働者死傷病報告(安衛則様式第23号) を提出する際、被災労働者の国籍・地域及び在留資格を、在留カード等により確認し、記入すること。 (12)一人親方等の安全衛生対策 厚生労働省は、引き続き、建設業に従事する一人親方等の死亡災害の把握に努めるとともに、令和 4年度委託事業により建設業の一人親方に対する安全衛生教育に係る支援として、全国で研修会を開 催するとともに、建設現場において、引き続き、一人親方に対し技術指導を行う。 (13)自然災害の復旧・復興工事における労働災害防止対策 日本各地で地震、豪雨、台風等による大規模な自然災害が発生しているが、復旧・復興工事におけ る労働災害を防止するためには、工事の進捗状況を踏まえて、現場の実態に即した労働災害防止対策 を講じることが必要となる。 このため、建災防が、厚生労働省補助事業として安全衛生専門家による復旧復興工事の巡回指導等 を行う。 自然災害に係る復旧・復興工事では重機による災害や墜落・転落災害等の発生が懸念されることか ら、事業者は、当該災害に着目した労働災害防止対策を適切に講じること。 (14)伐木等作業の安全対策 令和2年8月に施行されたチェーンソーによる伐木等作業における特別教育に係る安衛則の一部を改 正する省令(平成31年厚生労働省令第11号)及び令和2年1月31日付けで改正した「チェーンソーによ る伐木等作業の安全に関するガイドライン」(平成27年12月7日付け基発第1207第3号、令和2年1月31 日付け基発0131第1号改正)について、令和4年度も引き続き、委託事業により、安全衛生推進者等を 対象に、伐木等作業の安全対策の理解を深めるための安全対策講習会を全国7会場で開催する。 伐木等作業を行う建設事業者においても、集団指導、安全対策講習会等への参加に留意するともに、 伐木作業等における安全対策を適切に講じること。 (15)安全な建設機械の普及 建設機械による災害を防止するためには、近年の技術の進展に伴い開発されている事故防止技術の 活用の促進が重要であることから、厚生労働省は、安全な建設機械の導入を積極的に勧奨する。特に 中小建設事業者等に対しては、本年度創設した「高度安全機械等導入支援補助金」の活用等を積極的 に周知する。 (16)建設職人基本法・基本計画に基づく取組等 厚生労働省は、「建設工事関係者連絡会議の設置について」(平成26年4月11日付け基安発0411第1 号)により、工事の安全衛生に配慮した発注、安全衛生経費の確保、統括安全衛生管理の徹底のため の相互パトロール、安全衛生教育等について、発注者、施工者及び安全衛生行政関係者により協議を し、必要な取組を行う。 (17)建設職人基本法・基本計画に基づく取組等 厚生労働省は、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律第111号) に基づき、都道府県計画を策定する都道府県及び策定された計画に基づき実行する都道府県に対し、 他の都道府県の好事例等を紹介するなど、取組を支援する。また、都道府県労働局から管内の労働災 害発生状況の分析結果、実施する施策等に係る情報について積極的に提供するなど、都道府県との連 携の強化を図る。 2 労働者の健康確保のための対策、化学物質等による労働災害防止対策 (1) 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策 元方事業者はじめ、施工に携わるそれぞれの事業者は、各関係団体において作成された「業種ごと の感染拡大予防ガイドライン」(※)等を実践する際に、厚生労働省において作成した「職場における 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(令和3年2月12日最終改正。以 下「感染防止チェックリスト」という。)等を活用し、労使協力の下、職場の状況に応じた感染防止 対策の徹底を図ること。 なお、感染防止対策の検討に際しては、国土交通省ホームページにおいて建設現場の「3つの密」 回避等の取組事例及び新型コロナウイルス感染予防対策に伴う熱中症リスク軽減等のための取組事例 等が公開されていることから、これらも参考にすること。 (※) 建設業については、「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」(令和2 年5月14日国土建第18号(令和3年5月12日改訂))が策定され、建設現場やオフィスにおける感染 予防対策の基本的事項が示されている。 (2) 熱中症対策 厚生労働省は、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」(5月から9月まで、準備期間:4月、重 点取組期間:7月)を実施する。また、熱中症に関する資料やオンライン講習動画等を掲載しているポ ータルサイトを運営する。 事業者は、初期症状の把握から緊急時対応までの体制整備、暑熱順化が不足していると考えられる 者の把握、暑熱順化や休憩時間の確保を考慮した作業計画の策定、WBGT値の実測とその結果を踏まえ た対策の実施、休憩場所の確保、定期的な水分・塩分の摂取徹底、健康診断結果を用いた就業上の措 置、作業開始前の健康状態の確認、作業を管理する者や労働者に対する労働衛生教育、緊急時の早め の搬送等を実施すること。 (3) じん肺予防対策 ア 厚生労働省は、ずい道等建設工事の切羽付近における作業環境等を将来にわたってよりよいもの とする観点から、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及びずい道等建設工事における粉 じん対策に関するガイドラインを改正している。また、これらの改正に伴い、建災防策定の「ずい 道等建設工事における換気技術指針」についても改正された。 事業者は粉じん濃度の測定、換気装置等による換気の実施等、また、発注者は必要な経費の積算 等、第9次粉じん障害防止総合対策に基づき適切にずい道等建設工事における粉じん対策を講じる こと。 イ 厚生労働省は、平成30年度から令和4年度を期間とする「第9次粉じん障害防止総合対策」の重点 事項として、①屋外における岩石・鉱物の研磨作業又はばり取り作業及び屋外における鉱物等の破 砕作業に係る粉じん障害防止対策、②ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策、③呼吸用保 護具の使用の徹底及び適正な使用の推進、④じん肺健康診断の着実な実施、⑤離職後の健康管理等 を掲げている。 事業者は、当該防止総合対策に基づく措置を適切に講じること。また、解体作業等において、法 令上必要であるにもかかわらず現場監督など事業者側の判断により防じんマスクを外させることな く、労働者に防じんマスクを確実に使用させること。 ウ ずい道等建設工事を対象として、粉じん作業に従事する労働者のじん肺健康診断等の情報を管理 するために建災防が運用している「ずい道等建設労働者健康情報管理システム」について、建災防 と労働基準監督署が連携の上、未登録事業場に対する登録依頼を実施する予定であるため、登録依 頼を受けた事業場においては、関係労働者に対する承諾手続等を計画的に行うなど、健康情報等の 確実かつ円滑な登録に努めること。 (4) 騒音障害防止対策 建設業においては、ずい道工事や土木工事に従事していた労働者などに依然として騒音性難聴の発 生がみられることから、7月を目途に「騒音障害防止のためのガイドライン」(平成4年10月1日付け基 発第546号)の改正を予定している。事業者は、屋内作業場に限らず、騒音レベルの把握とその結果に 応じた騒音ばく露防止対策を講ずること。 (5) 建設業におけるメンタルヘルス対策の推進 建設業においても精神障害が多く発生しており、建設業の事業場におけるメンタルヘルス対策の取 組割合が43.0%と低調であることから、事業者は、ストレスチェック制度の実施を徹底するとともに、 労働災害を防止する上でもメンタルヘルス対策が有効との調査結果(建災防実施)もあることから、建 災防とも連携して、建設工事の現場等におけるメンタルヘルス対策を適切に講じること。なお、元方 事業者は、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえ、専門家の指導に基づき、職場環境改善 計画を作成し、計画に基づき職場環境の改善を実施した場合に、「職場環境改善計画助成金(建設現 場コース)」も活用できるものであること。 (6) 化学物質による健康障害防止対策 ア 厚生労働省は、塗膜の剥離や掻き落とし作業について、鉛等有害物の有無等により工事に要する 安全衛生経費・工期は大きく変わることから、発注者に対し、有害物の有無、剥離剤等作業で使用 する製剤等に応じた必要な安全衛生経費の積算等、必要な対応を行うよう求める。 事業者は、鉛、六価クロム、PCB等の有害物は上塗りから下塗りまでの塗膜に含有しうることに も留意し、有害物の含有状況や作業内容に応じて適切なばく露防止対策(剥離剤等作業で使用する 製剤に対する対策も含む)を講じること。 また、事業者は、研磨材の吹き付け(ブラスト)や研磨材を用いた手持ち式動力工具(ディスクサ ンダー)による鋼構造物の研磨等においては、塗膜中の有害物の有無にかかわらず、粉じん障害防 止規則に基づき、労働者に対して、呼吸用保護具(送気マスク等)を使用させる等の措置を講じるこ と。 イ 建設業においても、塗装や作業に使用する製剤など多くの化学物質を用いていることから、厚生 労働省は、特定化学物質障害予防規則や有機溶剤中毒予防規則の徹底を図るとともに、使用前にラ ベル・SDSを確認し、その情報に基づいて化学物質を用いる作業に応じたリスクアセスメント及び 当該結果に基づく措置等を実施するよう周知・指導する。 事業者は、作業者に対して、ラベル等により作業に用いる化学物質の危険性・有害性や適切な保 護具の使用について周知するようにすること。 ウ 厚生労働省は、金属アーク溶接等作業で発生する溶接ヒュームにばく露することによる神経障害 等の健康障害を防止するため、特定化学物質障害予防規則の改正内容について周知・指導する。 (7) 石綿健康障害予防対策 ア 厚生労働省は、石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年7月1日厚生労働省令第134号) を公布しており、一部の規定を除き令和3年4月1日から施行されていることから、改正後の石綿障 害予防規則に基づく措置等を実施するよう地方公共団体とも連携して周知・指導を行う。 また、建築物の解体・改修工事について、適切に対象選定を行い、遵法意識の確保のための予告な しの立入りを行う。 イ 厚生労働者は、建築物の解体・改修作業の発注者への対応について、改正後の石綿障害予防規則 に規定する発注者の責務等について、必要な周知啓発を図り、解体・改修工事の契約締結後に事前 調査を行う場合において当該調査結果に応じた費用・工期の変更を認めないような適切でない契約 の排除を図る。 ウ 事業者は、改正後の石綿障害予防規則に基づき、解体・改修工事前の石綿含有の有無の事前調査、 石綿事前調査結果報告システムを用いた事前調査結果等の報告、写真等による作業の実施状況の記 録の作成及び保存などの措置を徹底するとともに、令和5年10月1日から施行される建築物の事前調 査を実施するために必要な知識を有する者を確保するため、建築物石綿含有建材調査者講習の受講 を計画的に行うこと。 (8) 危険有害な作業を行う場合の請け負わせる一人親方等への措置 厚生労働省は、事業者が危険有害な作業を行う場合に作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所 で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護を図る観点から、安衛則等を改正する 予定である。同改正については、令和5年4月から施行する予定であり、改正内容をまとめたリーフレ ット等を作成し、関係者に対する周知をする。 事業者は、改正内容について、理解を進めるとともに同改正で義務付けられる請け負わせる一人親 方等への周知の方法等について、あらかじめ検討し、円滑な施行に向け準備をすること。 3 その他の安全衛生に係る対策 (1) 労働安全衛生マネジメントシステムの普及と活用 厚生労働省は、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格(ISO45001)、日本産業規格 (JIS Q 45001及びJIS Q 45100)を踏まえて改正した「労働安全衛生マネジメントシステムに関する 指針」(平成11年労働省告示第53号、令和元年7月1日最終改正)について周知を図る。 また、同指針に準拠した建設業労働安全衛生マネジメントシステムを導入した企業の労働災害の減 少幅は大きく、労働災害防止に効果があることから、事業者は、建設工事現場の実態を踏まえたシス テムである「ニューコスモス」、「中小事業者向けのコンパクトコスモス」の導入・活用に留意する こと。 (2) 建設業における安全衛生教育の推進 ア 職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育の推進 事業者は、「建設業における職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育について」 (平成29年2月20日付け基発0220第3号)に基づき、建設業における職長等及び安全衛生責任者を対 象に、概ね5年ごとに及び機械設備等に大幅な変更のあった場合に、労働災害の防止に係る当該教 育を受講させること。 イ 建設従事者教育の推進 事業者は、「建設工事に従事する労働者に対する安全衛生教育について」(平成15年3月25日付け 基安発第0325001号)に基づき、建設工事に従事する労働者を対象に、建設現場で働く労働者が守ら なければならない労働安全衛生法令の遵守事項等の基本的事項について教育を受講させること。 (3) 各種ガイドライン等に基づく安全衛生対策の推進 厚生労働省は、建設業の安全衛生対策を推進するために、各種のガイドライン等を発出しているこ とから、現場での活用のための周知等を通じて、ガイドライン等に基づく安全衛生対策を推進する。 事業者は、当該ガイドライン等に基づく安全衛生対策を適切に措置すること。(参考)