日高地区には、約1,400の牧場があるが、家族労働のみで経営しているものから、労働者を100人近く使用して経営しているものまで、千差万別である。概して、零細牧場が多い。年間約9,000頭の新馬(全国の約80%)が生産されているが、バブル経済の崩壊による馬主の購入手控え、外国産馬の優性等により経営環境は悪化している。牧場には、繁殖雌馬を所有して新馬を生産する生産牧場(種付料を支払い、2歳まで育成して競りに出す。)と種雌馬を併せて所有し、生産から育成・初期調教までを一貫して行う一貫牧場がある。また、半公営の「門別トレーニングセンター」のほか、民間(共同も多い)トレーニングセンター並びにスタリオンセンター(種付場)がある。さらに、預託馬のみを預かり育成している牧場もある。
このような中で、日高地区軽種馬産業における労働災害の発生率は高く、例年、所轄する浦河労働基準監督署管内の全労働災害の50%前後を占めるという異常な状態にあり、対策の樹立が必要とされている。
以上のような状況を踏まえ、本調査研究では、同業界の安全に重点をおいた安全衛生管理の実態調査を行い、その対策を取りまとめたものである。
本報告書の主要な構成事項は次のとおりである。
・労働災害の現況
・日高地区軽種馬産業における死亡災害事例
・実態調査からみた安全衛生管理上の実態と問題点
・軽種馬産業における安全衛生管理対策
・牧場安全衛生管理規定
・軽種馬産業労働災害防止マニュアル
Copyright(C) Japan Advanced InformationCenter of Safety and Health. All Rights Reserved.