医療支出の増大に伴い、長期入院を適正化する必要性が生じている。在宅医療の推進もその対策の一環である。また、療養型入所施設も同様の趣旨から運営されている。在宅医療あるいは療養型入所施設どちらにおいても、その活動の中心は介護である。介護を必要とするものが年々増加する中、介護者の心身に大きな負担が掛かれば、その介護を主体とする在宅医療、療養型入所施設を維持することは困難となる。
本研究は、このような介護者の負担を調査し、その適正化について考察を行い、 介護者が無理な心身的負担を受けないような環境を提言することを目的としている。まず、平成6年度においては、ランダムサンプリングした老人保健施設に対し、調査票を利用した介護作業現場実態調査を行い、次いで平成7年度では、家庭環境における介護作業現場の実態調査を行った。平成8年度では、これらの資料を基にベッド周囲の介護のモデルとして、体幹前屈位における腰部脊柱起立筋の筋電図を積分分析し、ベッド及びベッド周囲の環境について考察、適正な環境への提言を行った。
本報告書は、腰痛に関する基礎知識、体幹前屈姿勢における筋電図積分法による解析、理想的な介護用ベッドの一試案の三部構成になっている。
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