この報告書は、中央災害防止協会(以下、中災防と記す)東北安全衛生サービスセンターが中災防の調査研究部の指導の基に、宮城県における水産食料品製造業の労働災害を防止するために、調査研究を行った結果をまとめたものである。
宮城県の製造業で発生する労働災害は、その約20%が「水産食料品製造業」で発生し、他の製造業で発生する労働災害を大きく上回っている。これは、宮城県が世界3大漁場の一つである金華山沖を間近にひかえ、水産物の集積漁港として有名な気仙沼、石巻、塩釜をもつ全国屈指の水産加工生産県であることによる。
調査は、平成4年と5年の2年間に仙台、石巻及び気仙沼の労働基準監督署に提出された労働者死傷病報告のうち水産食料品製造業に係わるもの400件を分析、調査して、労働災害の発生原因を明らかにし、更に労働災害防止対策を検討したものである。
水産食料品製造業を次の5つの業種に分類し、「労働者の年齢」「障害の程度」「事故の型」「起因物」「作業形態」などの20項目について分析した。(1)水産かん詰・びん詰製造業、(2)水産練製品製造業、(3)冷凍水産物製造業、(4)干物・切身・海草・貝加工業、(5)その他の水産食料品製造業
その結果、宮城県の水産食料品製造業においては、「水産練製品製造業」「冷凍水産物製造業」「干物・切身・海草・貝加工業」の3つの業種において、「切れ、こすれ」「挟まれ、巻き込まれ」「転倒」の3つの災害が特に多く、これで全体の7割を占めることが明らかになった。
Copyright(C) Japan Advanced InformationCenter of Safety and Health. All Rights Reserved.