近年のサービス経済化の進展等により、いわゆる第三次産業に属する事業場の増加、拡大に伴って、従事労働者数も年々増加の傾向にあり、労働災害も、また、漸増の傾向がみられる。ここ数年来、第三次産業の労働災害は、全産業の労働災害の約3分の1を占めており、今後も更に増加することが憂慮されている。
中央労働災害防止協会では、これらの傾向に鑑み、数年前より、第三次産業の労働災害防止を重点施策の一つとして取り上げ、具体的な対策等の検討を進めてきた。今回卸・小売業のうちから家具、建具卸・小売業を対象として「家具、建具卸・小売業における労働災害防止対策調査研究委員会」を設置して検討を行い、その結果を労働災害防止のための総合的なガイドラインとして取りまとめた。
まず、昭和60年の1年間に発生したこの業種の労働災害763件について、事例分析を行った。その内容は、事業場の規模、被災者の職種・作業の種類・性・年齢、起因物、事故の型、不安全状態・不安全行動等で、統計分析を行い労働災害の発生状況を明らかにしている。
これらの結果等を基に、災害防止を進める上での問題点を指摘している。 さらに、具体的な労働災害防止対策として、規模別の安全衛生管理体制の確立や 実体に応じた施設・設備の安全化及び安全な作業方法の確立等について検討を行っている。
また、この業種における健康管理対策、安全衛生教育のあり方や非常災害防止のための日常的措置等についても言及し、総合的なガイドラインとなっている。
なお、ここで取り上げた業務範囲は、荷としての家具、建具の保管、出荷、集荷、 配送、取り付け等の作業を中心としており、木工機械を使った加工作業ついては割愛されている。また、特製建具の取り扱い及び室内装飾関連作業については基本的事項のみを取り上げている。
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