半導体産業をはじめとして、医療、精密機械加工、食品産業などでクリーンルームが設置・利用されている。本書は中央労働災害防止協会が委員会を設けてクリーンルーム施設で労働する作業者の安全衛生の状態について昭和63年から平成2年にかけて調査した結果をまとめたものである。委員会では調査項目を定め、クリーンルームを使用している可能性の高い事業場宛てに533通の調査票を送付し、その回答の中から135通の有効な回答について集計した。
調査項目は業種分類、事業所規模、クリーンルームの清浄度や空気循環などの制御の種類、クリーンルームの温・湿度、照明、騒音などの設備条件、安全衛生組織や防災対策などの運営、クリーンルーム使用に関する規程、クリーンルーム使用者の特別教育、作業者の健康状態、健康障害の事例、事故の事例である。
清浄度の高いクリーンルームの使用は半導体産業が最も多く、また災害の発生率は清浄度がクラス10以下のスーパークリーンルームでは清浄度の低いクリーンルームより有意に高かった。産業分野別の災害発生率は半導体産業が他の産業より高かった。クリーンルーム使用に関する規程では、メンテナンス後に社内点検を行う規程、防災体制の整備、非常時の避難経路の確保などは、比較的高率で整備されていたが、未整備の事業所での早急な対策が指摘されている。
クリーンルームを使用して作業する作業者に関する調査項目として、作業者数、使用時間、出入者の制限とチェック、平均在室時間、着替え、無塵衣の種類、保護具の種類、空気シャワーとシャワーの使用、食事・休憩・用便時の更衣、化粧の制限、物品持ち込み制限、安全衛生教育などがある。
クリーンルーム作業の管理の項目として、作業環境調査、有害ガス除去設備、疾病異常の発見、精神・神経学的影響、精神衛生面への影響、安全衛生対策上の留意 点について調査された。また過去3年間の災害事例を収集した。
これらの全ての項目についての集計結果を、事業場の規模別、産業別、その他の分類によって分析した結果を示している。
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