中央労働災害防止協会が(社)日本ペストコントロール(P.C.O.)協会に依頼した調査の報告書であり、P.C.O.協会が委員会を設置して、ねずみ・害虫駆除業務に携わる9事業場の実態調査を行った結果報告である。事務所、店舗、イベント開催場及び大規模団地などの近代化したビルの消毒や害虫・ねずみの駆除の作業を行っている事業所について、事業所数と事業所の規模・形態、防除の対象、使用する薬剤・機材、ペストコントロール業務に関連する資格などの事業概要の調査を行い、労働安全衛生上の問題点を列挙している。
主な問題点として毒物・劇物を含む有害薬品の使用、噴霧器やねずみ捕獲用トラップなどの危険な機材の使用、車両による長距離移動、高所や狭所の作業、重量物取扱い、深夜・休日作業、夏期が忙繁期となること、ハチなどの危険動物を含む防除対象、不特定多数の顧客が挙げられている。
P.C.O労働災害実態調査の結果が引用されており、昭和62年度の労働災害の発生件数、発生場所、作業の種類別の災害発生件数が示されている。それによれば有害薬剤による急性中毒はないが、作業者の不安全行動による一般的な労働災害が多く、最も災害発生件数の多い業務はビルメンテナンスとなっている。
P.C.O.協会の労働安全衛生対策として、協会の安全衛生委員会の設置、会員の教育・訓練のための資格認証制度、安全衛生管理規程の運用がある。会員事業場の労働安全衛生の実態として、従業者の構成、就業時間と1回の作業時間、通勤の方法、保護具や照明器具などの使用状況、更衣室の有無、機材と薬剤の使用状況、作業対象の場所の分類、安全衛生管理組織、教育などについて調査した結果を集計している。この結果から現状の問題点を指摘し、今後の対応を提言している。参考として米国におけるペストコントロールの事情を引用している。
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