合成樹脂や界面活性剤は、暮らしや産業界で幅広く役立っており、必要不可欠のものとなっている。従って、合成樹脂、界面活性剤は多量に生産されているが、製造過程における未規制化学物質の使用を含めた労働環境の実態は把握されていないのが現状である。今後の化学物質管理に資するため、これら未規制化学物質の製造過程および未規制化学物質を原材料とした合成樹脂等の製造過程における労働環境の実態を把握することは重要なことである。
平成10年度「未規制化学物質に係る労働環境の実態調査」委員会では、検討を重ねた結果、合成樹脂および界面活性剤の製造過程で使用されている未規制化学物質のうち、アルカリフェノール類、ビスフェノールA、フタル酸エステル類を調査対象物質として選定し、これら化学物質の製造する事業場を対象に、用途、生産量、取扱状況、労働衛生対策の実施状況、ばく露調査の事前調査のため、アンケート調査およびヒアリング調査を実施し、報告を行った。
平成11年度は、調査対象物質をビスフェノールAに限定し、製造から加工までの労働環境の実態を把握することにした。ビスフェノールAを原料として使用する加工事業場を対象に、二次製造製品の用途、ビスフェノールAの使用量、取扱状況、製造工程、製造従事者数、および労働衛生対策等を把握するためにアンケート調査を実施した。さらに、ビスフェノールAの取扱作業場の作業環境の実態を把握するために、ビスフェノールAの製造事業場、原料としてのビスフェノールAの使用量が多いポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂を製造する事業場を対象に作業環境の実 態調査を実施した。これらの調査結果よりビスフェノールAの製造および加工における労働環境の実態が把握できたと報告されている。
また、参考資料として、アンケート調査票、事業場別測定値一覧、DFG(Deutsche Forshungsgemeinshaft)が勧告している、ビスフェノールAのMAK(maximale Arbeits-platz Konzentration)値の提案理由書の翻訳、文献等が添付されている。
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