第三次産業を構成する業種は多種多様であり、労働災害の発生態様は業種によってそれぞれ異なる。第三次産業における労働災害の防止対策を進めるには、それぞれの業種の実態を踏まえた防止対策を策定し、実行する必要がある。映画・テレビ番組等の撮影現場においても、複数の企業が混在しての作業が多いこと、制作対象及び作業の進行に応じて作業内容が変化すること、短時間で完了する作業が多くその標準化が難しいこと等、業界特有の状況がある。この本は、このような作業現場における労働災害の現状及びアンケート調査による労働災害事例を加えて、労働災害防止のためのガイドラインを取りまとめたものである。
第1章、労働災害の現状では、まず平成3〜8年度における労災保険給付資料の中から「映画の制作、演劇等の事業」について、休業4日以上の労働災害の発生状況を事業規模別、年齢階層別、事故の型別、起因物別から分析している。次に、このような職場での災害の特徴を更に詳しく把握するために、関係事業場にアンケート調査を実施し、その分析結果が示されている。
第2章では、労働災害防止のためのガイドラインを示している。その内容は、(1)安全衛生管理体制の整備、(2)安全衛生連絡協議会の設置、(3)制作作業に使用する設備等の設置及び点検、(4)交通労働災害防止措置の実施、(5)安全衛生活動、教育の実施、(6)部門別及び撮影場所別の災害防止措置実施上の留意事項からなっている。
第3章は、アンケート調査による災害事例を1件当たりA4 2ページに、災害発生状況、被災者の内容、災害発生原因、再発防止対策、災害状況図にまとめられている。
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