自動車・同付属品製造業
新車開発の試作車のための部品準備として、ディスクホイールにチューブレスタイヤを組み込み、所定の圧力の空気を充填し、タイヤのバランスを取る作業を担当している(写真1〜3)。
空気を圧入してタイヤが膨らんで行く際には、ホイールの段差にタイヤの内側が引っかかり、傾いた状態となる。そのまま圧入を続けていくと、大音響とともにタイヤが飛び跳ねたり、場合によっては破断する「ヒヤリ」が発生することがあった。
そこで、協力タイヤメーカーでの作業方法の確認や材料について情報の収集などを行い、検討した結果、軽くて、適当の硬さのある「安全リング」を用いることを考案した。
考案された作業方法は、発泡ウレタン製のリングを、ホイールの外側にはめ込み、その上からタイヤに空気を圧入するというものである(写真4)。
空気の圧入が進んでゆくと空気圧でリングが下方へ移動しはじめる。タイヤはリングの効果により、空気漏れもなく、従来あった傾きも矯正されながら水平に挿入が行われる。
空気の充填が終了し、タイヤとホイールが完全に密着した後、リングは、自動的に押し出されてホイールから抜け落ちる。
このように、発泡ウレタンの弾力性を利用することにより、タイヤとホイールとを無理なく密着させ、タイヤの組み付けが容易に行えるようにしたものである。
考案以前は、いつ大音響が発生するのか、また、いつタイヤが破断するのかと従業員が不安がり、作業の効率も悪かった。
しかし、リングを使用することにより、安心してタイヤの組み付け作業ができるようになり、これら一連の問題も解消された。
さらに、作業時間が従来の約半分にまで短縮ができ、1本当たり5分程度にまですることができるようになった。
平成6年1月〜2月
5,000円/本 程度
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