その他の建築工事業
コンクリート等にエアーブレーカーを用いて、はつり、粉砕等の作業を行う場合に、多量の粉じんが発生するため、作業環境が悪化し労働衛生上の問題が生じていた。これまでは、ほうきを濡らして作業個所近傍に水をかけていたが、この方法だとほうきで水をかけた瞬間のみ多少の効果があるが、継続的な効果が期待できない上に3人作業(はつり者、はつったガレキをよける者、ほうきで水をかける者)となっていた。そこで、それらの課題を克服するために、自動散水防じん装置を考案した。
自動散水粉じん装置は、送水タンク(減圧弁付き)、ホース、ノズル等によって構成され、エアーブレーカーの動力源であるコンプレッサーが持っている余剰圧力をあらかじめ市水を貯水してある送水タンクに送り、これを動力源として市水を噴出する装置である。エアーブレーカーの作動スイッチと同時にコンプレッサーの余剰圧力がかかり、送水タンクから市水が給水されるシステムとした。
また、この送水タンクには減圧弁が設けてあり、通常9,800Pa(1kg/cm2・G)の圧力で使用できるようにできている。送水タンクの乾燥時の重量は30kgである。水量はエアーブレーカーの持ち手の側にある調節コックで自由に調節することができるが通常は0.5〜1l/min程度の水を流して使用しているので、1時間程度の作業なら市水の補給なしに連続で使用できる。送水タンクには、キャスターを取り付けてあり、移動が可能となっている。
ノズルにはφ4.0mmの銅パイプを使用し、エアーブレーカーの胴体部分にホースクランプで固定してある。エアーブレーカー使用時の振動による銅パイプの変位は、ゴムをホースクランプと銅パイプの間に挟むことにより解消した。また、噴出口を少しつぶして、水の噴出範囲を広げており、さらに銅パイプの先を少し曲げることにより、噴出位置がはつり位置に的確に当たるようにした(写真)。
以前までのほうきを使った作業と、改善後の自動散水を行った作業との空気中の粉じん含有率を比較してみると、測定結果報告書を見れば分かるとおり、改善前の含有率の約1/16(15.8mg/m3だったものが1.0mg/m3)に粉じんの発生を抑制できたことが分かる。そのうえ改善前では3人作業だったが、今回の改善により2人作業(水をかける者が不必要となった)できるようになった。
平成4年4月〜平成5年3月
約50万円
有り