その他の電気機械器具製造業
金属バスケット中に多数配列したベアリング部品(以下「ワーク」という)を、連続浸炭炉を通して熱処理した後、炉外に出たワークをバスケットから取り出す手作業を行っている。
この作業は、7段に積み重ねたワーク入りバスケットを、人力で1個ずつ製品缶に逆向きに投入し、ワークを排出すると同時に、空バスケットと敷網を取り除くものである。
7段のバスケットは30分ごとに炉から出てくるので、1日の作業総重量は約7.5tになり、腰痛発生の要因になっていた。また、約170℃の高温ワークによる火傷の危険性、およびバスケット等による挟まれ災害の危険性もあった。
そこで、これらの問題点の解決を目指して、ワーク排出作業の全自動化を図ることとした。
この装置は、7段積みのバスケットが搬入テーブル上にセットされると、起動ボタンを押すことによって始動する。
各部の作動は次の通りである。
- ① 搬入ロボットにより、搬入テーブル上のバスケットを上部から1個持ち上げ、搬入コンベヤー上に移動する。
- ② 搬入コンベヤーにより、バスケットを反転機内へ搬送する。
- ③ 反転機を90°回転する。
- ④ 反転機下面に付属する「網押し出しシリンダー」の作動により、バスケット内の敷網を押し出し、ワークを製品缶に落下させる。この場合に、上面中央に付属する「センター押さえシリンダー」の作動により、バスケットを支持するとともに、敷網の落下を防ぐ。
- ⑤ 上面側方に付属する「網戻しシリンダー」の作動により、敷網をバスケット内へ戻す。
- ⑥ 反転機の位置を復元する。
- ⑦ 搬出コンベヤーにより、反転機内の空バスケットを取り出す。
- ⑧ 搬出ロボットにより、搬出コンベヤー上の空バスケットを搬出テーブル上に移動する。
以上の作動を7回繰り返した後、7段積みの空バスケットを搬出テーブルから移動して1サイクルが終了する。
このように、この装置は全自動化されているので、制御系統に異常を生じた場合の対策として、各工程、各作動ごとにインターロック装置を備えており、異常を検知すると、サイクルを全停止して、作業者に通報するシステムになっている。また、機械的にも各部分にオーバーラン防止装置を備えている。
さらに装置部には全面に安全カバーが取り付けてあり、稼働中は装置内に作業者が入れない構造になっている
- ワーク排出作業の全自動化により、従来の重量物手作業による肉体的負担から解放され、腰痛発生の要因が排除された。
- 同時に、高温物取り扱いによる火傷、挟まれ災害の要因も排除された。
- 排出作業の省力化が作業能率の向上にもつながった。
平成元年4月〜8月
1,000万円/台
無し