電気機械器具製造業
亜鉛メッキ鋼板を抵抗溶接(スポット溶接)によって溶接する場合は、先ず、表面亜鉛メッキを溶融除去しなくてはならない。このとき、加圧力によって溶融亜鉛および母材の表面部分が溶球となり四方八方に飛散する。この溶球を現場ではチリと称するが、ここでは一般的に、スパッタとよぶことにする。
溶接作業に伴い、スパッタが作業者の目に入ったり、火傷を負う場合があり、また、設備・施設の汚損の原因にもなり、スパッタの飛散防止方法の検討が急務であった。従来作業者は保護眼鏡を装着し、装置の周辺には衝立などを設置して、飛散防止対策を講じてきたが、十分とはいえず、抜本的な対策が望まれていた。 検討の結果、スパッタの発生源対策が最も効果的と判断して、ほん防止器具を考案した。
スパッタ飛散防止器具は、絶縁ナイロンホルダと、特殊スプリングにより構成され、上ホルダ上昇中はワークと電極との位置関係はスプリング巻のピッチが大きいので確認でき打点(電極を下降したとき)と同時にスパッタ飛散部をスプリングの座巻部が局部的に覆う構造とした。
改善後の作業の様子を写真に示す。
- 作業者自身への被ばく防止のみならず、周辺作業者および設備・施設などへの飛散も防ぐことができ、火災などの防止効果が高まった。
- スパッタの発生源で、しかも、局部的に飛散を防止する構造としたことから、防御用に設置した衝立などが排除でき職場を広く使用できるようになった。
- 作業の段取りが簡単になり、生産効率も高まった。
昭和62年1月〜3月
2,700円(一式)
有り