鉄鋼業
クレーン約320台の電装品の保全作業中、接触器接点の消耗品の取替作業の占める割合はおよそ1/3と高い。
しかも、高所の狭い通路上での作業を余儀なくされている。
従来、この接触器の接点取替え作業は、正面のスプリング部を指先で強く押し込んだ状態でセットピンを抜き、スプリング部を分解して、接点の取替を行っていた。
スプリング部の分解作業には、次のような災害発生要因がある。
- ① スプリング力が強く、片手指先でスプリングを押し込むことに大変力が必要であり、しかも5〜6分その状態で保持する必要があった。
- ② 作業中、接触器のほとんどが作業者の目の高さにあり、目の前で作業するため、スプリングが飛び出して顔面に当たりそうになる。目に当たれば失明する危険性がある。
そこで、スプリングの飛び出しがなく、楽に作業ができる方法の検討を行った。
手元の狂いによるスプリングの飛び出し防止ができ、しかも、安定した状態で、かつ、ワンタッチでスプリングを押し込むことができる治具を考案した。
本治具の特徴は次の通りである。
- ① ジュラルミン製のため軽量で丈夫である。
- ② 先端部を筒型でスプリング受け皿にして、飛び出しを防止した。
- ③ セットピンの抜き取りが簡単にできるように、支持ピンの案内をする中ぐりを施し、奥行きをつけ、さらに、中ぐりに溝をつけてピンがスムーズに出てくるようにした。
- ④ 無理な力が加わらないように、手に優しくフィットするように局面をつけた。
- 接触器接点取替え時のセットピン抜き取り作業がワンタツチで容易に、しかも安定した状態で行うことができ、重大災害に結びつく危険な作業をなくすことができた。
- 従来の作業時間と比較して、1/3(6分→2分/回)に短縮できた。
昭和62年10月〜昭和63年2月
3,000円/個
不明