1. ホーム >
  2. 法令・通達(検索) >
  3. 法令・通達
 

騒音障害防止のためのガイドラインの解説

 本解説は、「騒音障害防止のためのガイドライン」の趣旨、運用上の留意点及び内容の説明を記したも
のである。
  
1 「2 騒音作業」について
  「騒音作業」とは、別表第1及び別表第2に掲げる作業場における業務をいい、騒音を発する機械、
 工具等を操作する業務に限らず、当該作業場において行われるその他の業務を含むものである。
  別表第1は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第588条及び第590条の規定に基づき、6月
 以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定することが義務付けられている屋内作業場を掲げたも
 のであり、別表第2は、労働安全衛生規則上の義務付けはなされていないが、等価騒音レベルが85dB以
 上になる可能性が大きい作業場を掲げたものである。

2 「5 労働衛生管理体制」について
 (1) 騒音障害防止対策の管理者
   騒音障害防止対策の管理者として選任できる者には、衛生管理者、安全衛生推進者のほか、ライン
  管理者、職長等が含まれる。
 (2) 元方事業者が行う指導・援助
   元方事業者が行う「指導・援助」とは、例えば、関係請負人が使用する機械・工具は低騒音なもの
  を選定するよう促す、工事現場において関係請負人へ支給・貸与する設備等の騒音によるばく露を低
  減するための措置を講ずる、聴覚保護具の使用が求められる関係請負人の労働者に対してその着用を
  促す、関係請負人に対する教育や健康診断に関する情報提供や受講・受診機会を提供するよう配慮す
  ること等がある。

3 「6 作業環境管理」について
 (1) 用語
 ア 騒音レベル
   音は音圧で表すことができ、騒音レベルは、特定の時間tにおける、A特性音圧の実効値の2乗を基
  準の音圧の2乗で除した値の常用対数の10倍で、次の式による(JIS Z8731:2019)。
   騒音レベルは、デシベル(dB)で表す。
式
     PA(t):A特性音圧の実効値(Pa)
     PO:基準の音圧(20μPa)
 イ 等価騒音レベル
   等価騒音レベルは、ある時間T(t1〜t2)について、変動する騒音の騒音レベルをエネルギー的な平
  均値として表した量で、次の式による(JIS Z8731:2019)。
   等価騒音レベルは、デシベル(dB)で表す。
式
    PA(t):A特性音圧の瞬時値(Pa)
    PO:基準の音圧(20μPa)
   等価騒音レベルの物理的意味は、図1に示すように、時間とともに変動する騒音(LA(t))がある場
  合、そのレベルを、ある時間(T=t2−t1)の範囲内でこれと等しいエネルギーをもつ定常騒音の騒音
  レベルで表現する(図1の斜線部)ということである。
   等価騒音レベルは、一般環境や作業環境における騒音の大きさを表す代表値として広く用いられて
  いる。
	                 図1 等価騒音レベルの意味
図1

 (2) 等価騒音レベルの測定
  ア 等価騒音レベルの測定については、特に測定の実施者を定めていないが、測定結果が対策の基礎
   となることから、適正に行う必要がある。このため、当該測定は、作業環境測定士や衛生管理者等、
   事業場における労働衛生管理の実務に直接携わる者に実施させるか、又は作業環境測定機関に委託
   して実施することが望ましい。
  イ 等価騒音レベルは、積分型騒音計を用いれば直接求めることができるが、普通騒音計を用いて、
   実測時間全体にわたって一定時間間隔冲ごとに騒音レベルを測定し、その結果から次の式により
   求めることもできる。
式
                  n:測定値の総数
  ウ 作業環境測定について、A測定は、単位作業場所の平均的な作業環境を調べるのが目的であるの
   で、作業が定常的に行われている時間に行う必要がある。また、時間の経過に伴う作業環境の状態
   の変化も同時に調べるために、測定点ごとに測定時刻をずらして行うのが望ましい。
    しかし、単位作業場所によっては、平均的な作業環境状態からは予測しにくい大きい騒音にさら
   される危険がある。B測定は、このような場合を想定し、音源に近接する場所において作業が行わ
   れる単位作業場所にあっては、その作業が行われる時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思
   われる時間に、当該作業が行われる位置における等価騒音レベルを測定するものである。
  エ 等価騒音レベルの推計で用いる音響パワーレベルは、機械等に貼付されたシールや銘板、カタロ
   グ、取扱説明書、ウェブサイト等で表示されていることがある。
    また、音響パワーレベルではなく、特定位置における音圧レベルが表示されている場合もある。
   この場合は、式Lp=Lw−20log10r−8のLpに音圧レベルを、rに特定位置までの距離を代入するこ
   とにより、音響パワーレベル(Lw)の概算値を求めることができる。
  オ 「騒音源が移動する場合等」とは、例えば、手持動力工具を使用する場合等が想定される。手持
   動力工具を使用する業務を行う作業場については、別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベル
   の測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことが望ましい。
  カ 屋外作業場においては、日々作業内容が変わることが考えられるが、「施設、設備、作業工程又
   は作業方法を変更した場合」とは、例えば、基礎工事から仮設工事に作業工程が移行する場合等、
   大きな工程の変更があった場合が想定される。また、関係請負人が騒音源となる機器を作業場に持
   ち込む度に測定を行う必要はなく、騒音源となる機器に着目し、6月以内に他の工事現場等で実施
   した測定結果又は推計結果がある場合は、当該結果を準用できるものとする。
  キ 別表第2に掲げる作業場であって、「第T管理区分に区分されることが継続している」及び「等
   価騒音レベルが継続的に85dB未満である」とは、測定の結果、単に第T管理区分に区分される又
   は等価騒音レベルが85dBを下回るだけでなく、毎日の機械等の運転状況や様々な作業状況に照らし
   て、継続して第T管理区分に区分される又は等価騒音レベルが85dB未満である可能性が非常に高い
   場合に限られるものである。
 (3) 結果に基づく措置
  ア 施設、設備、作業工程等における騒音発生源対策及び伝ぱ経路対策並びに騒音作業に従事する労
   働者に対する受音者対策の代表的な方法は表1のとおりである。
    なお、これらの対策を講ずるに当たっては、改善事例を参考にするとともに、労働衛生コンサル
   タント等の専門家を活用することが望ましい。
                 表1 代表的な騒音対策の方法
分類 方法 具体例
1 騒音発生源対策 発生源の低騒音化
発生原因の除去
遮音
消音
防振
制振
運転方法の改善
低騒音型機械の採用
給油、不釣合調整、部品交換等
防音カバー、ラギング等の取り付け
消音器、吸音ダクト等の取り付け
防振ゴムの取り付け
制振材の装着
自動化、配置の変更等
2 伝ぱ経路対策 距離減衰
遮蔽効果
吸音
指向性
配置の変更等
遮蔽物、防音塀等の設置
建屋内部の消音処理
音源の向きの変更
3 受音者対策 遮音
作業方法の改善
耳の保護
防音監視室の設置
作業スケジュールの調整、遠隔操作化等
耳栓、耳覆いの使用
  イ 第U管理区分又は第V管理区分に区分された作業場について、「標識によって、(中略)明示する
   等」とは、第U管理区分又は第V管理区分に区分された場所とそれ以外の場所を、区画物に標識を
   付し、又は床上に白線、黄線等を引くことにより区画することをいう。なお、屋内作業場の入り口
   等に、騒音レベルの高い屋内作業場である旨を掲示すること等の措置を講ずることでも差し支えな
   い。
    また、第U管理区分及び第V管理区分に区分された場所が混在する場合には、これらの場所を区
   別することなく、ひとつの場所として明示しても差し支えない。
  ウ 「手持動力工具」とは可搬型の動力工具を指し、騒音性難聴の新規労災認定者が扱っていた手持
   動力工具としては、バイブレーター、ブレーカー、グラインダー、チェーンソー、インパクトレン
   チ、チッパー、電動ドリル、丸のこ等がある。
 (4) 測定結果等の記録
  ア 作業環境測定(別紙1「作業環境測定による等価騒音レベルの測定」)
   a 「②測定方法」とは、測定器の種類、形式等をいう。
   b 「③測定箇所」の記録は、測定を行った作業場の見取図に測定箇所を記入する。
   c 「④測定条件」とは、測定時の作業の内容、稼働していた機械、設備等の名称及びその位置、
    測定結果に最も影響を与える騒音源の名称及びその位置のほか、マイクロホンの設置高さ、窓な
    どの開閉状態等をいう。
   d 「⑤測定結果」については、A測定の測定値、その算術平均値及びB測定の測定値を記録する。
   e 「⑧評価結果」については、第T管理区分から第V管理区分までの各区分のうち、該当する区
    分を記録する。
  イ 定点測定(別紙2「定点測定による等価騒音レベルの測定」)
   a 「②測定方法」とは、測定器の種類、形式等をいう。
   b 「④測定箇所」の記録は、測定を行った作業場の見取図に測定箇所を記入する。
   c 「⑤測定条件」とは、測定時の作業の内容、稼働していた機械、使用していた工具等の名称及
    びその位置、測定結果に最も影響を与える騒音源の名称及びその位置のほか、マイクロホンの設
    置高さ、坑口からの距離等をいう。
  ウ 個人ばく露測定(別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」)
   a 「②測定方法」とは、測定器の種類、形式等をいう。
   b 「④測定箇所」の記録は、測定を行った作業場の見取図に測定箇所を記入する。
   c 「⑤測定条件」とは、測定時の作業の内容、周辺の建物や壁等の状況、稼働していた機械、使
    用していた工具等の名称及びその位置、測定結果に最も影響を与える騒音源の名称及びその位置
    のほか、測定機器の取付位置等をいう。
  エ 推計(別紙4「等価騒音レベルの推計」)
    「⑤推計条件」とは、使用する機械等の名称及び音響パワーレベル、騒音源からの距離及びその
   計測方法等をいう。

4 「7 作業管理」について
 (1) 聴覚保護具の使用
   聴覚保護具の使用に当たっては、次の点に留意する必要がある。
  ア 聴覚保護具は、騒音発生源対策、伝ぱ経路対策等による騒音レベルの低減化を十分に行うことが
   できない場合に、二次的に使用するものであること。
  イ 聴覚保護具には耳栓と耳覆い(イヤーマフ)があり、耳栓と耳覆いのどちらが適切であるかは、作
   業の性質や騒音の特性で決まるが、非常に強烈な騒音に対しては耳栓と耳覆いとの併用が有効であ
   ること。
  ウ 耳栓を使用する場合、人によって耳の穴の形や大きさが異なるので、その人に適したものを使用
   すること。
  エ 聴覚保護具は、装着の緩みや隙間があると十分な効果が得られないので、正しく使用すること。
   また、作業中、緩んだ場合には、その都度装着し直すこと。
  オ 騒音作業を有する作業場では、会話によるコミュニケーションが阻害される場合が多いが、聴覚
   保護具の使用はさらにこれを増大させる可能性があるので、適切な意思伝達手段を考える必要があ
   ること。また、非常の際の警報には音響ではなく、赤色回転灯などを用い二次災害の防止に配慮す
   ること。
 (2) 作業時間の管理
   本ガイドラインの表「等価騒音レベル(A特性音圧レベル)による許容基準」は、日本産業衛生学会
  の「許容濃度等の勧告(2022年度)」の中の、VI.騒音の許容基準にある、「表V1-2.騒音レベル(A特
  性音圧レベル)による許容基準」に基づくものであり、この基準以下であれば、1日8時間以内のばく
  露が常習的に10年以上続いた場合にも、騒音性永久閾値移動を1,000ヘルツ以下の周波数で10dB以下、
  2,000ヘルツで15dB以下、3,000ヘルツ以上の周波数で20dB以下にとどめることが期待できるとされ
  る。このため、85dB以上の騒音へのばく露時間は、同表に示された時間数よりも可能な限り短くする
  ことが求められる。
   なお、「1日のばく露時間」の算出は以下によって行う。
  ① 1日のばく露が連続的に行われる場合には、同表の「等価騒音レベル」に対応する「1日のばく露
   時間」を用いること。
  ② 1日のばく露が断続的に行われる場合には、騒音の実効休止時間を除いた1日のばく露時間の合計
   を、連続ばく露の場合と等価なばく露時間とみなして、同表の「等価騒音レベル」に対応する「1
   日のばく露時間」を用いること。なお、実効休止時間とは騒音レベルが80dB未満にとどまっている
   時間をいう。	 

5 「8 健康管理」について
 (1) 騒音健康診断の目的
   騒音健康診断の目的は、以下の2つに大別できる。
  ① 騒音作業に従事する労働者の聴力の程度、変化、耳鳴り等の症状及び騒音ばく露状況を調べ、個
   人の聴覚管理を進める資料とすること。
  ② 集団としての騒音の影響を調べ、騒音管理を進める資料とすること。
 (2) 健康管理の体系
   健康管理の体系は、図2のとおりである。
	                   図2 健康管理の体系
図2
 (3) 騒音健康診断の種類
  ア 雇入時等健康診断
    騒音作業に常時従事する労働者を新たに雇い入れ、又は当該業務へ配置転換するとき(以下「雇
   入れ時等」という。)に実施する聴力検査の検査結果は、将来にわたる聴覚管理の基準として活用
   されることから極めて重要な意味を持つものである。このため、雇入時等健康診断においては、定
   期健康診断の選別聴力検査に代えて、250ヘルツから8,000ヘルツまでの聴力の検査を行うことと
   したものである。
    したがって、雇入れ時等以前に、既に中耳炎後遺症、頭頸部外傷後遺症、メニエール病、耳器毒
   (耳に悪影響を及ぼす毒物)の使用、突発性難聴等で聴力が低下している者、あるいは過去に騒音作
   業に従事してすでに騒音性難聴を示している者、日常生活においてヘッドホン等による音楽鑑賞を
   行うことにより聴力障害の兆候を示す者については、周波数ごとの正確な聴力を把握することが特
   に重要となる。
  イ 定期健康診断
    騒音作業に従事する労働者の聴力の経時的変化を調べ、個人及び集団としての騒音の影響をいち
   早く知り、聴覚管理の基礎資料とするとともに、作業環境管理及び作業管理に反映させることが重
   要である。聴力低下のごく初期段階を把握するため、4,000ヘルツにおける検査の音圧を、40dBか
   ら25dB及び30dBに変更した。
    本ガイドラインに基づく定期健康診断は6月以内ごとに1回、定期に行うことが原則であるが、労
   働安全衛生規則第44条又は第45条の規定に基づく定期健康診断が6月以内に行われた場合(オージオ
   メータを使用して、1,000ヘルツについては30dB、4,000ヘルツについては25dB及び30dBの音圧で
   の選別聴力検査が行われた場合に限る。)には、これを本ガイドラインに基づく定期健康診断(ただ
   し、オージオメータによる1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査の項目に限る。)と
   みなして差し支えない。
  ウ 離職時等健康診断
    離職時又は騒音作業以外の作業への配置転換時(以下「離職時等」という。)の聴力の程度を把握
   するため、離職時等の前6月以内に本ガイドラインに基づく定期健康診断を行っていない場合には、
   同じ項目の検査を行うことが望ましい。
 (4) 検査の方法
  ア 既往症・業務歴の調査及び自他覚症状の有無の検査
    聴力検査を実施する前に、あらかじめ騒音のばく露歴、特に現在の騒音作業の内容、騒音レベル
   及び作業時間について調査するとともに、耳栓、耳覆い等の聴覚保護具の使用状況も把握しておく。
   さらに、現在の自覚症状として、耳鳴り、難聴の有無あるいは最近の疾患などについて問視診によ
   り把握する。
  イ 250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、6,000ヘルツ及び8,000ヘ
   ルツにおける聴力の検査
    オージオメータによる気導純音聴力レベル測定法による。
    なお、250ヘルツにおける検査は省略しても差し支えない。
  ウ 1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査
    検査音の聴取に影響を及ぼさない静かな場所で行う。
  エ 二次検査
    騒音作業終了後、半日以上が経過した後に実施する。
 (5) 聴力検査の担当者
  ア 250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、6,000ヘルツ及び8,000ヘ
   ルツにおける聴力の検査については、医師のほか、医師の指示のもとに、本検査に習熟した保健師、
   看護師、言語聴覚士等が行う。
  イ 選別聴力検査については、医師のほか、医師の指示のもとに、本検査に習熟した保健師、看護師、
   言語聴覚士等が行うことが適当である。
 (6) 健康診断結果の評価
  ア 評価及び健康管理上の指導は、耳科的知識を有する産業医又は耳鼻咽喉科専門医が行う。評価を
   行うに当たっては、異常の有無を判断し、異常がある場合には、それが作業環境の騒音によるもの
   か否か、障害がどの程度か、障害の進行が著明であるかどうか等を判断する。
    なお、耳科学と産業医学の両方の専門的知識を有する医師として、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学
   会が騒音性難聴担当医を認定している。
  イ 250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、6,000ヘルツ及び8,000ヘ
   ルツにおける聴力の検査を行った場合には、会話音域の聴き取り能力の程度を把握するため、次の
   式により3分法平均聴力レベルを求めて記載しておく。
     3分法平均聴力レベル=(A+B+C)×1/3
      A:500ヘルツの聴力レベル
      B:1,000ヘルツの聴力レベル
      C:2,000ヘルツの聴力レベル
 (7) 健康診断結果に基づく事後措置
   健康診断結果に基づく事後措は、聴力検査の結果から表2に示す措置を講ずることを基本とするが、
  この際、耳科的既往歴、騒音業務歴、現在の騒音作業の内容、聴覚保護具の使用状況、自他覚症状等
  を参考にするとともに、さらに、生理的加齢変化、すなわち加齢性難聴の影響を考慮する必要がある。
                 表2 聴力レベルに基づく管理区分
聴力レベル 区分 措置
高音域 会話音域
30dB未満 30dB未満 健常者 一般的聴覚管理
30dB以上
50dB未満
要観察者
(前駆期の症状が認められる者)
第U管理区分に区分された場所又は等価騒音レベルが85dB以上90dB未満である場所においても聴覚保護具を使用させることその他必要な措置
50dB以上 40dB未満 要観察者
(軽度の聴力低下が認められる者)
40dB以上 要管理者
(中等度以上の聴力低下が認められる者)
聴覚保護具の使用、騒音作業時間の短縮、配置転換その他必要な措置
  備考
  1 高音域の聴力レベルは、4,000ヘルツ及び6,000ヘルツについての聴力レベルのうち、聴力低下が
   より進行している周波数の値を採用する。
  2 会話音域の聴力レベルは、3分法平均聴力レベルによる。
 (8) 健康診断結果の報告
   健康診断の結果報告については、「指導勧奨による特殊健康診断結果報告書様式」を用いる。
   本報告書の第一次健康診断欄の受診者数には本ガイドラインに基づく定期健康診断の受診者数を、
  有所見者数には二次検査(選別聴力検査を省略した場合を含む。)の有所見者数を記入し、第二次健康
  診断欄及び健康管理区分欄は空欄とする。

6 「9 労働衛生教育」について
 (1) 管理者に対する労働衛生教育
  ア 教育の講師は、既に選任されている管理者、労働衛生コンサルタント等、騒音についての知識並
   びに騒音対策の実務についての知識及び経験を有する者とする。
  イ 教育は、本ガイドラインに示された科目ごとに、表3に掲げる範囲及び時間で実施する。
          表3 騒音障害防止対策の管理者に対する労働衛生教育
科目 範囲 時間
1 騒音の人体に及ぼす影響 (1) 影響の種類
(2) 聴力障害
30分
2 適正な作業環境の確保と維持管理 (1) 騒音の測定と作業環境の評価
(2) 騒音発生源対策
(3) 騒音伝ぱ経路対策
(4) 改善事例
80分
3 聴覚保護具の使用及び作業方法の改善 (1) 聴覚保護具の種類及び性能
(2) 聴覚保護具の使用方法及び管理方法
(3) 作業方法の改善
40分
4 関係法令等 騒音作業に係る労働衛生関係法令及び本ガイドライン 30分
                                       (計3時間)
 (2) 騒音作業に常時従事する労働者に対する労働衛生教育
  ア 教育の講師は、当該作業場の管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、ライン管理者、職長等、騒
   音についての知識を有する者とする。
  イ 科目のうち、「騒音の人体に及ぼす影響」の範囲は、影響の種類、聴力障害、「聴覚保護具の使
   用」の範囲は、聴覚保護具の種類及び性能、聴覚保護具の使用方法及び管理方法とする。
  ウ 時間は表3の該当科目の時間を目安とするが、短縮しても差し支えない。