安全衛生情報センター
労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第340号。以下「改正政令」という。)及び労 働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第193号。以下「改正省令」という。)が令和 2年12月2日に公布され、令和3年1月1日から施行することとされたところである。改正政令及び改正省令 の趣旨、要点等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。 併せて、本通達記載の内容については、別添のとおり、関係事業者等団体の長宛て傘下会員事業者への 周知等を依頼したので了知されたい。
第1 改正の趣旨 1 改正政令の趣旨 本改正は、「令和2年度第2回化学物質のリスク評価に係る企画検討会」(令和2年9月4日開催)の議 論を踏まえ、ベンジルアルコールを以下の(1)から(3)までの措置の対象となる物質(以下「対象物質」 という。)として追加するため、必要な改正を行うものである。 (1) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条第1項の規定による化学物質 の名称等の表示(ラベル表示) (2) 法第57条の2第1項の規定による化学物質の名称等の通知(安全データシート(SDS)の交付) (3) 法第57条の3第1項の規定による化学物質の危険性又は有害性等の調査等(リスクアセスメントの 実施等) 2 改正省令の趣旨 本改正は、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づく分類を踏まえ、労働 安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)別表第2において、ベンジルアルコー ルを含有する製剤その他の物に係る裾切値(対象物質を含有する製剤その他の物中の当該対象物質の 含有量がその値未満の場合、名称等の表示義務等の対象とならない値)を設定するものである。 第2 改正の要点 1 施行期日及び経過措置 施行期日は令和3年1月1日としたこと。ただし、改正政令の施行の際現に存在するベンジルアルコ ールについては、名称等の表示義務に係る法第57条第1項の規定は、令和3年6月30日まで適用しない こととしたこと。 2 改正政令関係 (1) 基本的事項 ア 改正の基本的な内容 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)別表第9に「ベンジルアル コール」を追加したこと。 なお、「ベンジルアルコール」は、当該化学物質による労働災害事案が多発していることから 追加したものであること。 イ 事業者が実施すべき事項についての基本的な考え方 ベンジルアルコールについて事業者が実施すべき事項に係る基本的な考え方は、本通達による ほか、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行について」(平成12年3 月24日付け基発第162号)及び「労働安全衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政 令等の施行について(化学物質等の表示及び危険性又は有害性等の調査に係る規定等関係)」(平 成27年8月3日付け基発0803第2号)等によるべきものであること。 ウ 留意事項等 ベンジルアルコールは、職業性疾病(慢性)に関して安全に使用するための基準が示されている 物質である一方、令別表第9に掲げる物以外の物質には危険有害性が不明なものがあるため、事 業者に対して、対象物質以外であっても危険有害性が不明な物質への代替を推奨するものではな いことに留意すること。 (2) 細部事項 ア 塗料の剥離及びかき落とし作業について 「剥離剤を使用した塗料の剥離作業における労働災害防止について」(令和2年8月17日付け基 安化発0817第2号(令和2年10月19日一部改正)。以下「課長通知」という。)の記の2(2)に則った ばく露防止のための措置を行うこと。 イ ベンジルアルコールを含有する剥離剤の取扱い作業において講ずべき措置 剥離剤にベンジルアルコールが含有されている場合は、課長通知の記の3(1)イに則った措置を 講ずること。 3 改正省令関係 ベンジルアルコールのCAS番号及び裾切値は別紙のとおりであること。