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石綿障害予防規則 第二章 石綿等を取り扱う業務等に係る措置(第三条−第十五条)

石綿障害予防規則 目次

第一節 解体等の業務に係る措置

(事前調査及び分析調査)
第三条 事業者は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込
 め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者
 の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る
 部分に限る。以下「解体等対象建築物等」という。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければ
 ならない。
 前項の規定による調査(以下「事前調査」という。)は、解体等対象建築物等の全ての材料について
 次に掲げる方法により行わなければならない。
 一 設計図書等の文書(電磁的記録を含む。以下同じ。)を確認する方法。ただし、設計図書等の文書
  が存在しないときは、この限りでない。
 二 目視により確認する方法。ただし、解体等対象建築物等の構造上目視により確認することが困難な
  材料については、この限りでない。
 前項の規定にかかわらず、解体等対象建築物等が次の各号のいずれかに該当する場合は、事前調査は、
 それぞれ当該各号に定める方法によることができる。
 一 既に前項各号に掲げる方法による調査に相当する調査が行われている解体等対象建築物等 当該解
  体等対象建築物等に係る当該相当する調査の結果の記録を確認する方法
 二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成三十年法律第六十一号)第四条第一項の有害
  物質一覧表確認証書(同条第二項の有効期間が満了する日前のものに限る。)又は同法第八条の有害
  物質一覧表確認証書に相当する証書(同法附則第五条第二項に規定する相当証書を含む。)の交付を
  受けている船舶 当該船舶に係る同法第二条第六項の有害物質一覧表を確認する方法
 三 建築物若しくは工作物の新築工事若しくは船舶(日本国内で製造されたものに限る。)の製造工事
  の着工日又は船舶が輸入された日(第七項第四号において「着工日等」という。)が平成十八年九月
  一日以降である解体等対象建築物等(次号から第八号までに該当するものを除く。) 当該着工日等
  を設計図書等の文書で確認する方法
 四 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を
  含む。以下この項において同じ。)であって、平成十九年十月一日以降にその接合部分にガスケット
  が設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認す
  る方法
 五 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成二
  十一年四月一日以降にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの 当該新築
  工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法
 六 平成十八年九月一日以降に製造工事が開始された潜水艦であって、平成二十一年四月一日以降にガ
  スケット又はグランドパッキンが設置されたもの 当該製造工事の着工日及び当該ガスケット又はグ
  ランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法
 七 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業の用に供する施設(次号において「化学
  工業施設」という。)の設備であって、平成二十三年三月一日以降にその接合部分にグランドパッキ
  ンが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該グランドパッキンの設置日を設計図書等の文書
  で確認する方法
 八 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業施設の設備であって、平成二十四年三月
  一日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該ガスケット
  の設置日を設計図書等の文書で確認する方法
 事業者は、事前調査については、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために
 必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。ただし、石綿等が
 使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物以外の工作物の解体等の作業に係
 る事前調査については、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に係る
 ものに限る。
5 事業者は、事前調査を行ったにもかかわらず、当該解体等対象建築物等について石綿等の使用の有無
 が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無について、分析による調査(以下「分析調査」と
 いう。)を行わなければならない。ただし、事業者が、当該解体等対象建築物等について石綿等が使用
 されているものとみなして労働安全衛生法(以下「法」という。)及びこれに基づく命令に規定する措
 置を講ずるときは、この限りでない。 
 事業者は、分析調査については、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者と
 して厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。
 事業者は、事前調査又は分析調査(以下「事前調査等」という。)を行ったときは、当該事前調査等
 の結果に基づき、第一号から第十号まで及び第十二号前段に掲げる事項(第三項第三号から第八号まで
 の場合においては、第一号から第四号までに掲げる事項に限る。)の記録を作成し、当該記録並びに第
 十一号及び第十二号後段に掲げる書類を事前調査を終了した日(分析調査を行った場合にあっては、解
 体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のうちいずれか遅い日)(第
 三号及び次項第一号において「調査終了日」という。)から三年間保存するものとする。
 一 事業者の名称、住所及び電話番号
 二 解体等の作業を行う作業場所の住所並びに工事の名称及び概要
 三 調査終了日
 四 着工日等(第三項第四号から第八号までに規定する方法により事前調査を行った場合にあっては、
  設計図書等の文書で確認した着工日及び設置日)
 五 事前調査を行った建築物、工作物又は船舶の構造
 六 事前調査を行った部分(分析調査を行った場合にあっては、分析のための試料を採取した場所を含
  む。)
 七 事前調査の方法(分析調査を行った場合にあっては、分析調査の方法を含む。)
 八 第六号の部分における材料ごとの石綿等の使用の有無(第五項ただし書の規定により石綿等が使用
  されているものとみなした場合は、その旨を含む。)及び石綿等が使用されていないと判断した材料
  にあっては、その判断の根拠
 九 事前調査を行った者の氏名
 十 第二項第二号ただし書に規定する材料の有無及び場所
 十一 第四項の事前調査を行った場合においては、当該事前調査を行った者が同項の厚生労働大臣が定
  める者であることを証明する書類の写し
 十二 分析調査を行った場合においては、当該分析調査を行った者の氏名及び当該者が前項の厚生労働
  大臣が定める者であることを証明する書類の写し 
 事業者は、解体等の作業を行う作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示するとともに、次条第
 一項の作業を行う作業場には、前項の規定による記録の写しを備え付けなければならない。
 一 調査終了日
 二 前項第六号及び第八号に規定する事項の概要
 第二項第二号ただし書に規定する材料については、目視により確認することが可能となったときに、
 事前調査を行わなければならない。

(作業計画)
第四条 事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第五項ただし書の規定により石綿
 等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等
 作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画
 を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。
 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
 一 石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序
 二 石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法
 三 石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法
 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させな
  ければならない。

(事前調査の結果等の報告)
第四条の二 事業者は、次のいずれかの工事を行おうとするときは、あらかじめ、電子情報処理組織(厚
 生労働省の使用に係る電子計算機と、この項の規定による報告を行う者の使用に係る電子計算機とを電
 気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して、次項に掲げる事項を所轄労働基準監督
 署長に報告しなければならない。
 一 建築物の解体工事(当該工事に係る部分の床面積の合計が八十平方メートル以上であるものに限
  る。)
 二 建築物の改修工事(当該工事の請負代金の額が百万円以上であるものに限る。)
 三 工作物(第三条第四項ただし書の厚生労働大臣が定める工作物に限る。)の解体工事又は改修工事
  (当該工事の請負代金の額が百万円以上であるものに限る。)
 四 船舶(総トン数二十トン以上の船舶に限る。)の解体工事又は改修工事
 前項の規定により報告しなければならない事項は、次に掲げるもの(第三条第三項第三号から第八号
 までの場合においては、第一号から第四号までに掲げるものに限る。)とする。
 一 第三条第七項第一号から第四号までに掲げる事項及び労働保険番号
 二 解体工事又は改修工事の実施期間
 三 前項第一号に掲げる工事にあっては、当該工事の対象となる建築物(当該工事に係る部分に限る。)
  の床面積の合計
 四 前項第二号又は第三号に掲げる作業にあっては、当該工事に係る請負代金の額
 五 第三条第七項第五号、第八号、第九号、第十一号及び第十二号に掲げる事項の概要
 六 前条第一項に規定する作業を行う場合にあっては、当該作業に係る石綿作業主任者の氏名
 七 材料ごとの切断等の作業(石綿を含有する材料に係る作業に限る。)の有無並びに当該作業におけ
  る石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法及び当該作業を行う労働者への石綿等の粉じん
  のばく露を防止する方法
 第一項の規定による報告は、様式第一号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出することをもっ
 て代えることができる。
 第一項各号に掲げる工事を同一の事業者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを
 一の契約で請け負ったものとみなして、同項の規定を適用する。
 第一項各号に掲げる工事の一部を請負人に請け負わせている事業者(当該仕事の一部を請け負わせる
 契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負
 契約における注文者とする。)があるときは、当該仕事の作業の全部について、当該事業者が同項の規
 定による報告を行わなければならない。

(作業の届出)
第五条 事業者は、次に掲げる作業を行うときは、あらかじめ、様式第一号の二による届書に当該作業
 に係る解体等対象建築物等の概要を示す図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならな
 い。
 一 解体等対象建築物等に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材(第六
  条の三において「石綿含有仕上げ塗材」という。)を除く。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業
 二 解体等対象建築物等に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能
  を有する被覆材をいう。)等(以下「石綿含有保温材等」という。)の除去、封じ込め又は囲い込み
  の作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれがあるものに限る。)
 前項の規定は、法第八十八条第三項の規定による届出をする場合にあっては、適用しない。

(吹き付けられた石綿等及び石綿含有保温材等の除去等に係る措置)
第六条 事業者は、次の作業に労働者を従事させるときは、適切な石綿等の除去等に係る措置を講じなけ
 ればならない。ただし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りでない。
 一 前条第一項第一号に掲げる作業(囲い込みの作業にあっては、石綿等の切断等の作業を伴うものに
  限る。)
 二 前条第一項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものに限る。)
 前項本文の適切な石綿等の除去等に係る措置は、次に掲げるものとする。
 一 前項各号に掲げる作業を行う作業場所(以下この項において「石綿等の除去等を行う作業場所」
  という。)を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離すること。
 二 石綿等の除去等を行う作業場所にろ過集じん方式の集じん・排気装置を設け、排気を行うこと。
 三 石綿等の除去等を行う作業場所の出入口に前室、洗身室及び更衣室を設置すること。これらの室の
  設置に当たっては、石綿等の除去等を行う作業場所から労働者が退出するときに、前室、洗身室及び
  更衣室をこれらの順に通過するように互いに連接させること。
 四 石綿等の除去等を行う作業場所及び前号の前室を負圧に保つこと。
 五 第一号の規定により隔離を行った作業場所において初めて前項各号に掲げる作業を行う場合には、
  当該作業を開始した後速やかに、第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の排気口からの石綿等
  の粉じんの漏えいの有無を点検すること。
 六 第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の設置場所を変更したときその他当該集じん・排気装
  置に変更を加えたときは、当該集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点
  検すること。
 七 その日の作業を開始する前及び作業を中断したときは、第三号の前室が負圧に保たれていることを
  点検すること。
 八 前三号の点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに前項各号に掲げる作業を中止し、
  ろ過集じん方式の集じん・排気装置の補修又は増設その他の必要な措置を講ずること。
 事業者は、前項第一号の規定により隔離を行ったときは、隔離を行った作業場所内の石綿等の粉じん
 を処理するとともに、第一項第一号に掲げる作業(石綿等の除去の作業に限る。)又は同項第二号に掲
 げる作業(石綿含有保温材等の除去の作業に限る。)を行った場合にあっては、吹き付けられた石綿等
 又は張り付けられた石綿含有保温材等を除去した部分を湿潤化するとともに、石綿等に関する知識を有
 する者が当該石綿等又は石綿含有保温材等の除去が完了したことを確認した後でなければ、隔離を解い
 てはならない。 

(石綿含有成形品の除去に係る措置)
第六条の二 事業者は、成形された材料であって石綿等が使用されているもの(石綿含有保温材等を除く。
 第三項において「石綿含有成形品」という。)を建築物、工作物又は船舶から除去する作業においては、
 切断等以外の方法により当該作業を実施しなければならない。ただし、切断等以外の方法により当該作
 業を実施することが技術上困難なときは、この限りでない。
 事業者は、前項の作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、切断等以外の方法
 により当該作業を実施する必要がある旨を周知させなければならない。ただし、同項ただし書の場合は、
 この限りでない。
 事業者は、第一項ただし書の場合において、石綿含有成形品のうち特に石綿等の粉じんが発散しやす
 いものとして厚生労働大臣が定めるものを切断等の方法により除去する作業を行うときは、次に掲げる
 措置を講じなければならない。ただし、当該措置(第一号及び第二号に掲げる措置に限る。)と同等以
 上の効果を有する措置を講じたときは、第一号及び第二号の措置については、この限りでない。
 一 当該作業を行う作業場所を、当該作業以外の作業を行う作業場所からビニルシート等で隔離するこ
  と。
 二 当該作業中は、当該石綿含有成形品を常時湿潤な状態に保つこと、除じん性能を有する電動工具を
  使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずること。
 三 当該作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、前二号に掲げる措置を講ずる
  必要がある旨を周知させること。

(石綿含有仕上げ塗材の電動工具による除去に係る措置)
第六条の三  前条第三項の規定は、事業者が建築物、工作物又は船舶の壁、柱、天井等に用いられた石
 綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業に労働者を従事させる場合及び当該作業の一部を
 請負人に請け負わせる場合について準用する。

(石綿等の切断等の作業を伴わない作業に係る措置)
第七条 事業者は、次に掲げる作業に労働者を従事させるときは、当該作業場所に当該作業に従事する労
 働者以外の者(第十四条に規定する措置が講じられた者を除く。)が立ち入ることを禁止し、かつ、そ
 の旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
 一 第五条第一項第一号に掲げる作業(石綿等の切断等の作業を伴うものを除き、囲い込みの作業に限
  る。)
 二 第五条第一項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものを除き、除去又は
  囲い込みの作業に限る。)
 特定元方事業者(法第十五条第一項の特定元方事業者をいう。)は、その労働者及び関係請負人
  (法第十五条第一項の関係請負人をいう。以下この項において同じ。)の労働者の作業が、前項各号
  に掲げる作業と同一の場所で行われるときは、当該作業の開始前までに、関係請負人に当該作業の実
  施について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならない。

(発注者の責務等)
第八条 解体等の作業を行う仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文し
 ている者をいう。次項及び第三十五条の二第二項において同じ 。)は、当該仕事の請負人に対し、当
 該仕事に係る解体等対象建築物等における石綿等の使用状況等を通知するよう努めなければならない。
2 解体等の作業を行う仕事の発注者は、当該仕事の請負人による事前調査等及び第三十五条の二第一項
 の規定による記録の作成が適切に行われるように配慮しなければならない。

(建築物の解体等の作業等の条件)
第九条 解体等の作業を行う仕事の注文者は、事前調査等、当該事前調査等の結果を踏まえた当該作業等
 の方法、費用又は工期等について、法及びこれに基づく命令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を
 付さないように配慮しなければならない。

第二節 労働者が石綿等の粉じんにばく露するおそれがある建築物等における業務に係る措置

第十条 事業者は、その労働者を就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置され
 た工作物(次項及び第五項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿
 含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露する
 おそれがあるときは、当該吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め、囲い込み等
 の措置を講じなければならない。
 事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置さ
 れた工作物(第五項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保
 温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれ
 があるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない。
 事業者は、前項のおそれがある場所における作業の一部を請負人に請け負わせる場合であって、当該
 請負人が当該場所で臨時に就業するときは、当該請負人に対し、呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を
 使用する必要がある旨を周知させなければならない。
 労働者は、事業者から第二項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
 法第三十四条の建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた二以上の事業者が共用する廊下の壁等に
 吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発
 散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、第一項に規定する措置を講じなけ
 ればならない。

第三節 石綿等を取り扱う業務に係るその他の措置

第十一条 削除

(作業に係る設備等)
第十二条 事業者は、石綿等の粉じんが発散する屋内作業場については、当該粉じんの発散源を密閉する
 設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、当該粉じんの発散
 源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨
 時の作業を行うときは、この限りでない。
 事業者は、前項ただし書の規定により石綿等の粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又
  はプッシュプル型換気装置を設けない場合には、全体換気装置を設け、又は当該石綿等を湿潤な状態
  にする等労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講じなければならない。

(石綿等の切断等の作業等に係る措置)
第十三条 事業者は、次の各号のいずれかに掲げる作業に労働者を従事させるときは、石綿等を湿潤な状
 態のものとすること、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石綿等の粉じんの発散を防
 止する措置を講じなければならない。 
 一 石綿等の切断等の作業(第六条の二第三項に規定する作業を除く。)
 二 石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の解体等の作業(石綿使用建築物等解体等作業を含み、
  第六条の三に規定する作業を除く。)
 三 粉状の石綿等を容器に入れ、又は容器から取り出す作業
 四 粉状の石綿等を混合する作業
 五 前各号に掲げる作業、第六条の二第三項に規定する作業又は第六条の三に規定する作業(以下「石
  綿等の切断等の作業等」という。)において発散した石綿等の粉じんの掃除の作業
 事業者は、石綿等の切断等の作業等を行う場所に、石綿等の切りくず等を入れるためのふたのある容
 器を備えなければならない。
 事業者は、第一項各号のいずれかに掲げる作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に
 対し、石綿等を湿潤な状態のものとすること、除じん性能を有する電動工具を使用することその他の石
 綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずる必要がある旨を周知させなければならない。

第十四条 事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に呼吸用保護具
 (第六条第二項第一号の規定により隔離を行った作業場所における同条第一項第一号に掲げる作業(除
 去の作業に限る。次項及び第三十五条の二第二項において「吹付石綿等除去作業」という。)に労働者
 を従事させるときは、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具若しくは防毒機能を有する電動
 ファン付き呼吸用保護具であつて防じん機能を有するもの又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸
 器、酸素呼吸器若しくは送気マスク(次項及び第三十五条の二第二項において「電動ファン付き呼吸用
 保護具等」という。)に限る。)を使用させなければならない。
 事業者は、石綿等の切断等の作業等の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、呼吸
 用保護具(吹付石綿等除去作業の一部を請負人に請け負わせるときは、電動ファン付き呼吸用保護具等
 に限る。)を使用する必要がある旨を周知させなければならない。
 事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に作業衣を使用させな
 ければならない。ただし、当該労働者に保護衣を使用させるときは、この限りでない。
 事業者は、石綿等の切断等の作業等の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、作業
 衣又は保護衣を使用する必要がある旨を周知させなければならない。
 労働者は、事業者から第一項及び第三項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなけれ
 ばならない。

(立入禁止措置)
第十五条 事業者は、石綿等を取り扱い(試験研究のため使用する場合を含む。以下同じ。)、若しくは
 試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、当該作業場において作業
 に従事する者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方
 法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該作業場が立入禁止である旨を
 見やすい箇所に表示しなければならない。