安全衛生情報センター
労働衛生行政の推進につきましては、日頃から格別のご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。 蛇紋岩は、基礎工事や石垣用等の石材や砕骨材等として、国内で年間2万6千トン(平成27年資源エネル ギー庁鉱物資源課調べ)が採石されていますが、その成分として、クリソタイルやトレモライト等を含む ことがあります。これらは、繊維状を呈していない場合は労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)上規制さ れている石綿ではありませんが、各種取扱い作業等に伴って繊維状を呈すると、同法において製造等が禁 止されている石綿となります。 クリソタイルやトレモライト等を含んでいる岩石(これらの成分が繊維状を呈していないもの)を、石材 や砕骨材等として利用することは労働安全衛生法上の問題はありませんが、採石業や造園業等において、 これらの破砕等の作業を行う場合には、クリソタイルやトレモライト等が繊維状を呈し、石綿の粉じんが 生じることがあります。 しかしながら、今般、蛇紋岩を取り扱う可能性がある関係事業主団体からヒアリング等を行ったところ、 岩石の破砕等を行う事業者等においては、それに伴って石綿の粉じんが発生するおそれがあることが、必 ずしも十分に認識されていないことが分かりました。 このため、貴会におかれては、下記の留意点について御了知いただくとともに、傘下の会員はじめ関係 事業者に対する注意喚起をいただくようお願いいたします。
1 蛇紋岩は、その成分としてクリソタイルやトレモライト等(※)を含むことがあり、蛇紋岩の破砕、粉 砕、裁断、研磨等(以下「破砕等」という。)に伴いそれらが繊維状を呈し、労働安全衛生法において製 造等が禁止されている石綿の粉じんが発散する場合があること。 なお、塊状の岩石がクリソタイルやトレモライト等を含有していても、それらが繊維状を呈していな ければ同法上規制されている石綿ではないため、同法に基づく製造、輸入、譲渡、提供又は使用(以下 「製造等」という。)の禁止対象には該当しないこと。 (※)蛇紋岩以外の岩石等で、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシ ドライト又はトレモライトを含むものも、以下同様であること。 2 岩石の破砕等に伴い石綿の粉じんが生じる場合であっても、当該粉じんを使用等せずに廃棄するので あれば、労働安全衛生法上禁止されている製造等には該当しないが、岩石の破砕等の作業は、粉じんに 石綿が含まれるか否かを問わず、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」と いう。)に定める粉じん作業に該当するため、事業者は、労働者の健康確保の観点から、粉じん則に基 づく措置を講じなければならないこと。また、粉じん作業に係る業務に従事していた労働者の離職の際 等には、じん肺健康管理手帳制度の周知を行うこと。 なお、こうした破砕等を屋内で行う場合は、粉じん則に基づき作業環境測定を実施するとともに、局 所排気装置の設置等の措置を講じる必要があることに留意すること。加えて、粉じん則に基づき労働者 に呼吸用保護具を使用させるときは、電動ファン付き呼吸用保護具が望ましいこと。 3 蛇紋岩及び上記※の岩石等について、石材等の加工を行っている事業者に譲渡(販売)等を行うときは、 当該譲渡先等に対しても、上記1及び2の内容を周知いただきたいこと。 4 石綿対策や粉じん対策に関しては、厚生労働省ホームページなどで様々な情報を提供しているので、 御不明な点があれば最寄りの労働基準監督署に御相談いただきたいこと。 【厚生労働省ホームページアスベスト(石綿)情報】 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/ 【(独)労働者健康安全機構ホームページアスベスト関連疾患・石綿対策や粉じん対策】 http://www.research.johas.go.jp/asbesto/index.html https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx 関係法令(抄)