安全衛生情報センター
第三次産業のうち特に労働災害発生件数の多い小売業、社会福祉施設及び飲食店については、「第三次 産業における労働災害防止対策の推進について」(平成23年7月14日付け基安発0714第2号)に基づき取組を 行ってきたところであり、また、第12次労働災害防止計画(以下「12次防」という。)においても重点業種 として労働災害防止対策の推進を図っているところである。しかしながら、これらの業種における労働災 害は増加傾向であり、12次防における労働災害削減目標の達成は、今後相当の努力をしなければ極めて困 難な状況となっている。 これらの業種の労働災害発生状況を見ると、複数の店舗、施設を展開する企業傘下の事業場での災害も 多く見られており、また、店舗や施設の安全衛生の取組を見ると安全衛生担当者がいないなど体制が脆弱 であることから、本社等主導による企業全体の効果的な取組として水平展開することが有効である。この ようなことから、当該業種の安全衛生水準の全体的な底上げを図るためにも、まずは多店舗展開企業等に おける取組を推進する必要がある。 このため、12次防の最終年度である平成29年度に向けて、当該業種の本社等主導の取組を推進するため、 関係団体とも連携し自主的安全衛生活動を推進するための運動の展開及び多店舗展開企業等の本社等に対 する指導を下記のとおり実施することとしたので、その適切な実施に遺憾なきを期されたい。
1 「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」の実施 12次防の最終年度における取組の促進を図るため、平成29年1月より、「働く人に安全で安心な店舗・ 施設づくり推進運動」(以下「安全推進運動」という。)を展開する。 (1) 安全推進運動の趣旨等について 安全推進運動は、小売業、飲食店における多店舗展開企業及び多くの社会福祉施設を展開する法 人(以下「多店舗展開企業等」という。)の本社及び法人本部(以下「本社等」という。)の自主的安全 衛生活動を促進することにより、企業・法人全体の安全意識を高め、安全衛生水準の向上を図ること を目的とするものであること。 安全推進運動の実施事項等については、別添1の「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運 動実施要綱」(以下「実施要綱」という。)のとおりであること。 (2) 多店舗展開企業等への安全推進運動の周知について ア 多店舗展開企業等の本社等への周知 管内の主要な多店舗展開企業等の本社等に対し、集団指導、直接訪問又は文書等により安全推進 運動の周知を図ること。周知に当たっては、別途送付するリーフレットのほか、実施要綱の6の実 施者の実施事項について、別添2のチェックリストの活用を図ること。 イ 店舗及び施設への周知 当該業種の店舗及び施設には、各種集団指導、個別指導、労働者死傷病報告書の受理時等あらゆ る機会を捉え、リーフレットを活用して、安全推進運動の周知を行うこと。 ウ 関係業界団体等と連携した周知等の実施 別添3及び別添4により関係業界団体、労働災害防止関係団体等に対し、周知を依頼しているので、 都道府県労働局においても地域の業界団体、社会福祉関係協議会等に対して、会員等への周知を依 頼すること。 また、都道府県等の社会福祉担当部署、食品衛生担当部署など当該業種を所管する部署に対し、 引き続き協力依頼するなど連携した取組を行うこと。 エ 「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動特設サイト」の開設 多店舗展開企業等の本社等での具体的な取組事項(チェックリストを含む。)、店舗、施設におけ る取組の好事例、利用可能なサービス等の情報を取りまとめた特設サイトを厚生労働省ホームペー ジの「職場のあんぜんサイト」に開設するので、関係者に広く周知と活用の働きかけを行うこと。 オ 重点周知期間 「STOP!転倒災害プロジェクト」の重点取組期間としている2月及び6月には、当該プロジェクト の周知と連動して、安全推進運動の重点的な周知を図ること。 2 多店舗展開企業等の本社等に対する指導の実施 (1) 多店舗展開企業等のうち、企業等の全体として労働災害件数が多いものについては、本社等が主導 し、同種災害の防止対策の取組を店舗、施設で水平展開を図ることが効果的であることから、平成28 年度第4四半期から平成29年度にかけて、多店舗展開企業等の本社等に対する指導を実施すること。 (2) (1)の指導にあたっては、多店舗展開企業等が傘下の店舗、施設の労働災害発生状況、安全衛生管 理活動の状況を別添2のチェックリストを活用して把握し、改善が必要となる事項について、計画的 な取組を図るよう指導すること。 3 中央労働災害防止協会との連携 安全推進運動を主唱する中央労働災害防止協会においては、①安全推進運動の周知啓発、②事業場の 安全衛生対策への指導援助、③KY訓練、転倒災害防止、腰痛予防対策に資する研修等の開催、教育支援、 ④教育用テキスト、周知啓発資料等の提供、⑤転倒防止のための防滑靴、切創防止手袋、火傷予防手袋 等の有効な保護具の普及促進等の対策に取り組むこととしているので、技術的事項の支援を求める企業 等に対して、これらの紹介を行うこと。 なお、②及び③には、中小規模事業場安全衛生サポート事業が活用できる場合もあることから、具体 的な取組み手法等を求める事業場又は、集団に対して、その活用を勧奨すること。別添1(PDF:103KB)