平成27年度リスク評価結果に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について

基安発1013第2号
平成27年10月13日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局安全衛生部長

平成27年度リスク評価結果に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底について

 「化学物質のリスク評価検討会」において、平成27年度リスク評価対象物質である、三酸化二アンチモ
ン、酸化チタン(ナノ粒子)、クメン、グルタルアルデヒド及び塩化アリルの5物質についてリスク評価(詳
細リスク評価又は初期リスク評価)を行い、その報告書が取りまとめられたところである。
 ついては、この報告書の内容を踏まえ、下記のとおり、関係事業者等に対し指導されたい。
 併せて、別添1により別紙の関係事業者団体等の長に対して傘下会員事業者への周知等を要請している
ので了知されたい。
 なお、上記の検討会報告書の概要及び今後の対応を別添2として添付しているが、報告書全文(本文及び
別冊)は厚生労働省のウェブサイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000093673.html)(化学物
質のリスク評価検討会(第1回))に掲載しているので、併せて了知されたい。
1 詳細リスク評価を行った物質について
 (1) 作業工程に共通して高いリスクが確認された物質について
  ① 三酸化二アンチモンについては、詳細リスク評価の結果、当該物質の計量、投入、袋詰め及び炉
   作業等、当該物質を製造し、又は取り扱う作業において、作業工程に共通して労働者に健康障害を
   発生させるリスク(以下単に「リスク」という。)が高いことが認められた。このため、今後予定し
   ている労働者の健康障害防止措置に係る検討結果を待たず、速やかに労働安全衛生法(昭和47年法
   律第57号。以下「法」という。)第28条の2第1項の規定に基づき、当該物質に関する危険性又は有
   害性等の調査を行い、その結果に基づき、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安
   衛則」という。)第576条第577条第593条及び第594条等の規定に基づく措置を講ずることによ
   り、リスクの低減に取り組むよう、関係事業者等に対し指導の徹底を図ること。その際、有害物ば
   く露作業報告のデータを適宜活用すること。
  ② 酸化チタン(ナノ粒子)については、当該物質を製造している事業場における充填又は袋詰めの作
   業において、作業工程に共通してリスクが高いことが確認されたことから、速やかに法第28条の2
   第1項の規定に基づき、当該物質に関する危険性又は有害性等の調査を行い、その結果に基づき、
   安衛則第576条第577条第593条及び第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスク
   の低減に取り組むよう、関係事業者等に対し指導の徹底を図ること。その際、有害物ばく露作業報
   告のデータを適宜活用すること。
    なお、今後は、現在リスク評価を行っている酸化チタン(ナノ粒子以外)の評価結果と併せて、両
   者の整合を図り、粒子の大きさと労働者の健康障害のリスクの関係を踏まえた健康障害防止措置等
   に係る検討を行うこととしているので了知されたい。

 (2) 一部の事業場で高いリスクが認められたものの作業工程に共通のリスクとは認められず、事業場で
  の適切な管理が必要とされた物質について
   グルタルアルデヒドについては、リスク評価の結果、一部の事業場の作業工程においてリスクが高
  いことが認められたものの、ばく露要因を解析したところ、当該物質を製造し又は取り扱う事業場の
  作業工程に共通のリスクとは認められなかった。しかしながら、当該物質は有害性の高い物質であり、
  かつ、事業場において適切な管理がなされていない場合にはリスクが高くなる可能性があることから、
  法第28条の2第1項の規定に基づき、当該物質に関する危険性又は有害性等の調査を行い、その結果に
  基づき、安衛則第576条第577条第593条及び第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、
  自主的なリスクの低減に取り組むよう、関係事業者等に対し指導すること。
   また、ばく露実態調査で高いリスクが認められた事業場については、当該物質の適切な管理を指導
  すること。

2 初期リスク評価を行った物質について
 (1) 高いリスクが認められたため、詳細リスク評価が必要とされた物質について
   塩化アリルについては、リスク評価の結果、一部の事業場の作業工程においてリスクが高いことが
  確認されたため、今後、引き続き詳細リスク評価のためのばく露実態調査を行い、その結果によりリ
  スクの高い作業工程を明らかにするとともに、当該作業工程に係るリスク低減措置について検討する
  こととしているが、当該物質は、有害性の高い物質であり、かつ、事業場において高いばく露が生じ
  る可能性があることから、今後実施する詳細リスク評価の結果を待たず、速やかに法第28条の2第1項
  の規定に基づき、当該物質に関する危険性又は有害性等の調査を行い、その結果に基づき、安衛則第
  576条第577条第593条及び第594条等の規定に基づく措置を講ずることにより、リスクの低減に
  取り組むよう、関係事業者等に対し指導の徹底を図ること。
   その際、有害物ばく露作業報告のデータを適宜活用すること。

 (2) リスクは低いものの引き続き適切な管理を行うべき物質について
   クメンについては、初期リスク評価の結果、事業場において一般的に適切な管理がなされている場
  合、リスクは低いことが確認された。ただし、当該物質は有害性の高い物質であることから、法第28
  条の2第1項の規定に基づき、当該物質に関する危険性又は有害性等の調査を行い、その結果に基づき、
  安衛則第576条第577条第593条及び第594条等に基づく措置を講ずるほか、事業者による自主的な
  管理を推進するよう、労働局等は関係事業者等に対し指導すること。その際、有害物ばく露作業報告
  のデータを適宜活用すること。



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