安全衛生情報センター
労働安全衛生規則及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部を 改正する省令(平成23年厚生労働省令第119号。以下「改正省令」という。)、衛生管理者規程の一部を改 正する告示(平成23年厚生労働省告示第387号。以下「改正衛生管理者告示」という。)及び昭和56年労働 省告示第55号(労働安全衛生規則第24条の8の規定に基づく厚生労働大臣の定める研修)の一部を改正する 告示(平成23年厚生労働省告示第388号。以下「改正研修告示」という。)が平成23年9月30日に公布され、 同年10月1日から施行されることとされたところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下記の とおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。
第1 改正の趣旨 改正省令、改正衛生管理者告示及び改正研修告示は、「独立行政法人・政府系公益法人等の抜本改 革に向けた当面の進め方」(平成22年6月18日)等を受け、安全衛生部が所掌する登録、指定制度等につ いて見直しを行った結果を踏まえ、行政の一層の透明性、効率性、厳格性を確保する観点から所要の 改正を行ったものである。 第2 改正の要点 1 登録衛生工学衛生管理者講習機関の新設(改正省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働 省令第32号。以下「安衛則」という。)別表第4及び労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録 及び指定に関する省令(昭和47年労働省令第44号。以下「登録省令」という。)第1条の2の2以下新設並 びに改正衛生管理者告示による改正後の衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号。以下「管理者告 示」という。)第3条、第4条及び第4条の2関係) 衛生工学衛生管理者免許を受けるための要件である講習(以下「講習」という。)について、以下の とおり所要の改正を行ったこと。 (1) 当該講習の実施者について、改正前の衛生管理者規程において「都道府県労働局長又は都道府県 労働局長が指定する者」と規定していたところを、安衛則において「都道府県労働局長又は都道府 県労働局長の登録を受けた者」と規定し、登録制度を新たに創設する。 (2) 登録に当たっての基本的な事項、都道府県労働局長に対する報告、法令に違反した場合の登録の 取消し等に係る規定を新たに登録省令に規定する。 2 指定保存交付機関の新設(登録省令第25条の3の2以下新設関係) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第77条第1項の登録を受けて技能 講習又は教習を行う者(以下「登録教習機関」という。)から引き渡された帳簿の保存及び登録教習機 関が業務を廃止した場合等の技能講習修了証の交付の実施者について、改正前の安衛則及び登録省令 において「厚生労働大臣が指定する機関」と規定し、法令上規定されていなかった、指定に当たって の基本的な事項、厚生労働大臣に対する報告、法令に違反した場合の指定の取消し等に係る規定を新 たに登録省令に規定する等、所要の改正を行ったこと。 3 ずい道等における救護に関する技術的事項を管理する者の選任に必要な研修を行う機関に係る指定 制度の廃止(改正研修告示関係) ずい道等における救護に関する技術的事項を管理する者の選任に必要な研修(以下「ずい道等救護技 術管理者研修」という。)の実施者について、改正前の昭和56年労働省告示第55号労働安全衛生規則第 24条の8の規定に基づき厚生労働大臣の定める研修を定める告示において「厚生労働省労働基準局長が 指定する者」と規定していたところを、指定制を廃止し、改正後の当該告示(以下「研修告示」という。) に定める要件を満たす者は全てずい道等救護技術管理者研修を実施する者とすることとする等、所要 の改正を行ったこと。 4 その他 その他所要の規定を整備したこと。 第3 細部事項 1 改正省令関係 (1) 登録衛生工学衛生管理者講習機関 ア 登録(登録省令第1条の2関係) 登録省令第1条の2第2項の規定により、申請者が法人である場合は、その定款又は寄付行為を申 請書に添付することとされているが、財団法人から寄付行為が提出された場合は、一般社団法人 及び一般財団法人に関する法律及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の 整備等に関する法律(平成18年法律第50号)第40条の規定に基づき、当該法人の定款とみなして差 し支えないこと。 イ 登録基準(登録省令第1条の2の2の2関係) (ア) 衛生工学衛生管理者講習の講習科目の範囲及び時間は、管理者告示第3条第1号の規定による こととするものであること。 (イ) 第2号の表下欄の「労働衛生に関する実務」には、労働者の健康障害の予防及び健康の保持増 進を図るための管理、指導及び教育並びに労働衛生の観点からの環境の改善に関する設計施工 及び環境の保持の業務があること。 ウ 業務規程(登録省令第1条の2の2の6関係) (ア) 第1項第6号に規定する修了証の発行に関する事項については、当該修了証の発行及び再発行 に関する手続に関することが明らかになっているものであること。 (イ) 第1項第8号に規定する衛生工学衛生管理者講習の実施に関する計画に関する事項については、 衛生工学衛生管理者講習の実施時期、会場、受講者数、講師等が明らかになっているものであ ること。 エ 経過措置(附則第2条関係) (ア) 平成23年10月1日の時点において、講習を行っている者は、平成24年3月31日までの間、安衛 則別表第4衛生工学衛生管理者免許の項第1号に基づく都道府県労働局長の登録を受けた者とみ なされるものであること。 (イ) 平成23年9月30日までに、(ア)の講習を修了した者は、衛生工学衛生管理者講習を修了した者 とみなされるものであること。 (2) 指定保存交付機関 ア 指定(登録省令第25条の3の2関係) (ア) 技能講習帳簿の一元的かつ、継続的な管理の観点から、申請者は法人に限られることとした ものであること。 (イ) 申請に当たっては、定款又は寄付行為を添付することとされているが、財団法人から寄付行 為が提出された場合は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益財団法人の認定 等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第40条の規定に基づき、当該法人 の定款とみなして差し支えないこと。 イ 指定基準(登録省令第25条の3の3関係) 第1項第2号に規定する技術的な基礎が、保存交付業務の適正かつ確実な実施に足るものについ ては、次のいずれにも該当する場合が含まれるものであること。 (ア) 過去に3年間以上、電子計算機を用いた大量の個人データの入力、保存、出力等の処理を行っ た実績を有するとともに、そのデータをもとにした証明書等の発行を行った実績を有すること。 (イ) 安衛法に関する理解があり、免許、技能講習等法令上の資格に関する深い知識を有すること。 ウ 変更の届出(登録省令第25条の3の6関係) 変更の届出は、機関の名称等を変更しようとする日の概ね2週間前までに行うこと。 エ 業務規程(登録省令第25条の3の7関係) (ア) 第1項第1号に規定する保存交付業務の実施方法に関する事項については、技能講習帳簿の保 存に関する業務並びに技能講習修了証の交付に関する業務に関する以下の手続に関することが 明らかになっていること。 a 保存交付業務を行う時間及び休日に関する事項 b 保存交付業務を行う場所に関する事項 c 登録教習機関からの帳簿の引受け方法に関する事項 d 技能講習修了証明書の様式 e 技能講習修了証明書の発行及び再交付手続に関する事項 (イ) 第1項第4号に規定する保存交付業務に関し必要な事項については、次の事項を含めたものに ついて定める必要があること。 a 第25条の3の5第2項に規定する照会への対応に関する事項 b 関係法令等の遵守に関する事項 c 内部監査に関する事項 d 登録教習機関から引き渡された技能講習帳簿の滅失及び当該帳簿に含まれる事項の漏えい等 の防止に関する事項 e 保存交付業務に関して知り得た秘密の保持に関する事項 (ウ) 指定の申請を行う際に、業務規程届出書を同時に提出しても差し支えないものであること。 (エ) 業務規程の変更の届出は、変更後の業務規程に基づく保存交付業務を開始する日の概ね2週間 前までに行うこと。 オ 勧告(登録省令第25条の3の9関係) 本条に規定する保存交付業務に関し必要な措置については、技能講習帳簿の保存方法の改善、 修了証明書の発行及び再交付に係る事務処理手続の改善等が含まれるものであること。 カ 業務の休廃止(登録省令第25条の3の10関係) 指定保存交付機関は、本条の規定に基づき業務の休止をしている場合であっても、指定の更新 の手続は必要であること。 キ 指定の取消し等(登録省令第25条の3の11関係) 本条の規定により、指定を取り消し又は業務の停止を命ずるときは、あらかじめ、当該処分を 受けるべき者にその理由を通知し、弁明及び証拠の提出の機会を与えるものとすること。 ク 厚生労働大臣による保存交付業務の実施(登録省令第25条の3の15関係) (ア) 本条に規定する引継ぎについては、保存交付機関が保存する技能講習帳簿等の書類等が、国 が実施することとなる保存交付業務に必要となることから、厚生労働大臣に書類等を引き継ぐ ものであること。 (イ) 第2項第1号の書類については、業務規程に基づき保存している保存交付業務に関する書類が あること。 (ウ) 第2項第2号に規定する厚生労働大臣が必要と認める事項については、保存交付業務及び保存 交付業務に関する書類等の円滑かつ適切な引継ぎのために厚生労働大臣が指定した「引継方法」、 「引継時期」等が含まれるものであること。 2 管理者告示及び研修告示関係 (1) 管理者告示関係 管理者告示第3条に規定する衛生工学衛生管理者講習の時間は、必要最低限の時間数を示したもの であること。 (2) ずい道等救護技術管理者研修関係 ア 研修科目等(研修告示第1号関係) (ア) 受講者数 ずい道等救護技術管理者研修は概ね30人以内を1単位として行うこととし、実技研修について は、1班当たり6人程度に分けて実施すること。 (イ) 修了証の交付 ずい道等救護技術管理者研修を修了した者に対し、修了証を発行すること。 (ウ) 第1号ロに掲げる実技研修の具体的実施方法 a 救護に関し必要な機械等の取扱い (a)「空気呼吸器及び酸素呼吸器」の「点検」については、目視による点検だけでなく、「分解 点検」、「気密点検」についても実施すること。 (b)「空気呼吸器及び酸素呼吸器」の「取扱い」については、実際にこれらを受講生に装着させ た上で実施すること。 (c)「携帯用照明器具」の「取扱い」については、下記dに掲げる設備内において、停電等が発 生した状態を再現し、「携帯用照明器具」のみを使用しながら救護及び避難を行うこと。 b 空気呼吸器等を装着しての実技 (a)「メタン、硫化水素、一酸化炭素及び酸素の濃度の測定」については、それぞれの気体の測 定に応じた機器を用いて実施すること。 (b)「坑外及び坑内における移動」及び「安全な通路の確保」、「安全な救護の方法」について は、下記dに掲げる設備内において、発煙筒の使用や障害物の配置、傾斜や段差の設置等ずい 道等の坑内において爆発・火災等が発生した状況を再現した上で実施すること。 c 救急処置 (a)「応急手当て」については、「骨折」、「出血」、「火傷」等ずい道等の坑内において想定 される災害に応じた応急手当ての方法について、受講生全員に三角巾等の用具等を用いた手順 を実演させること。 (b)「救急そ生の方法」については、ダミー人形、AED等を用い、受講生全員に救急そ生の手順 を実演させること。 d 実技研修に用いる設備 ずい道等救護技術管理者研修は、爆発、火災等が発生した場合における救護活動時の二次災 害防止の観点から実施するものであることから、実技研修に用いる設備については、実際に作 業を行うずい道等の坑内を模した設備とし、「外部の光を遮断できる構造」、「十分な移動距 離」が確保できる構造を有すること。 (エ) ずい道等救護技術管理者研修を実施した者による報告等 ずい道等救護技術管理者研修を実施しようとする者は、毎事業年度、当該年度中における研 修の実施予定日を当該事業年度開始前に厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長あて報告す ること。 また、ずい道等救護技術管理者研修を実施した場合には、毎事業年度終了後3箇月以内に、実 施科目、講師の氏名及び条件、実施回数並びに修了者数について、厚生労働省労働基準局安全 衛生部安全課長あて報告すること。 なお、ずい道等救護技術管理者研修を実施した者は、修了者の氏名、生年月日、受講科目、 講師名及び修了年月日を記載した帳簿を備え、これを保存しておくこと。 (オ) 研修科目の免除 研修科目の一部免除を受けることができる者として、鉱山保安規則(平成6年通商産業省令第 13号)第56条第1項第15号及び第16号の作業に係る同条第3項の有資格者である者若しくは同項 の有資格であった者を明示したこと。 (カ) その他 上記(ウ)に掲げる実技研修の中には、特殊環境下において実施するものも含まれるため、研 修受講時における受講者の負傷等に十分に留意するとともに、必要に応じ、受講者を傷害保険 に加入させること。 イ 講師の要件(研修告示第2号関係) 第2号に規定する学科研修及び実技研修を適切に行うために必要な能力を有する講師について は、次の表の左欄に掲げる科目に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる条件のいずれかに適合する 者又はこれと同等以上の知識経験を有する者であること。
科目 | 条件 |
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仕事の危険性に関する知識 |
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救護に関し必要な機械等に関する知識 |
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救護の安全に関する知識 |
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関係法令 |
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救護に関し必要な機械等の取扱い |
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空気呼吸器等を装着しての実技 |
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救急処置 |
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第4 その他(関係通達の廃止及び一部改正) 1 以下の通達の全部を廃止する。 ア 平成16年2月18日付け基発第0218008号「登録製造時等検査機関等に関する規則第24条第1項ただ し書及び第25条の指定について」 イ 平成16年3月31日付け基発第0331001号「登録製造時等検査機関等に関する規則第24条第1項ただ し書及び第25条の厚生労働大臣が指定する機関の指定等について」 2 昭和47年11月15日付け基発第727号「衛生管理者規程ならびに労働衛生関係の免許試験規程および 各種技能講習規程の運用について」を以下のとおり改正する。 ア 第1の2(1)を次のように改める。 第1号の表の「労働基準法」の項の「範囲」の「これに基づく命令中の関係条項」とは、次のもの をいうこと。 [1] 事業附属寄宿舎規程(昭和22年労働省令第7号)中の労働衛生関係条項 [2] 年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号)中の労働衛生関係条項 [3] 建設業附属寄宿舎規程(昭和42年労働省令第27号)中の労働衛生関係条項 [4] 女性労働基準規則(昭和61年労働省令第3号)中の労働衛生関係条項 イ 第1の2(2)を次のように改める。 第1号の表の「労働安全衛生法(関係法令を含む。)」の項の「範囲」の「これらに基づく命令中の 関係条項」とは、次のものをいうこと。 [1] 安衛則第1編第2章、第3章、第4章、第5章及び第6章、第3編並びに第4編中の労働衛生関係条 項 [2] 有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号) [3] 鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号) [4] 四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号) [5] 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号) [6] 高気圧作業安全衛生規則(昭和47年労働省令第40号)中の労働衛生関係条項 [7] 電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号) [8] 酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号) [9] 事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号) [10]機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)中の労働衛生関係条項 [11]粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号) [12]石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号) ウ 第1の2(3)から(6)を削る。 エ 別添第1号、別添第2号及び別添第3号を削る。