安全衛生情報センター
平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、東京電力及び東北電力管内における電力の供給力が 大幅に減少しており、これによって生じた電力の需給ギャップは、夏に向けて再び悪化する見込みである ことから、5月13日に、政府の電力需給緊急対策本部(現:電力需給に関する検討会合)において「夏期の 電力需給対策について」が取りまとめられたところである。 これを受けて、夏期の節電に向けて労使の取組への対応について、平成23年5月13日付け基発0513第1号 「夏期の節電に向けた労使の取組への対応について」により、対応を示したところである。 これらを受けて、本年7月から9月までの期間、東京電力及び東北電力管内を中心に、夏期の節電に向け た取組が事業場においてなされるものと見込まれるところ、上記「夏期の電力需給対策について」に盛り 込まれた事務所の室内温度等に係る内容と、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号。以下「事務 所則」という。)の規定との関係等については、下記のとおりであるので、事業場への指導等に当たって は留意されたい。 なお、別添により、関係団体の長あてに通知していることを申し添える。
1 事務所の室内温度について (1) 電力需給緊急対策本部の対策においては、「今次の節電対策として、各企業がオフィスビル等の室 温設定を見直す場合にあっては、まず、室温を28度とすることについて、改めて強く推奨し、各需要 家の取組の徹底を図ることを基本とする。なお、需要家の自主的な行動として室温29度に引き上げる ことも考えられるところであり、その場合には、熱中症の発症の危険性や心身への負荷が高まらない よう十分な工夫を行い、適切な換気や扇風機の使用等により風通しを良くするなど室温環境への配慮 の徹底、作業強度の適切な管理などが行われるよう、需要家に十分に周知を図る。」とされている。 (2) 事務所の室温について、事務所則第5条第3項により、事務所に空気調和設備又は機械換気設備を 設けている場合は、室温が28度以下になるように努めることとされていることを踏まえ、上記対策に 基づく電力抑制のため室温を引き上げる場合には、まずは、28度とするよう努めること。さらに、電 力抑制のための事業者の自主的な取組として室温を29度に引き上げることも考えられるが、その場合 には、職場における熱中症を予防するため、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における 熱中症の予防について」に基づく熱中症予防対策を、当該事業場において講じること。 2 事務所の照度について (1) 電力需給緊急対策本部の対策においては、「オフィスビル等の照度については、幅を持って認め られているJISの照度基準の下限値を経済産業省において明確化、周知することにより、需要家の適 切な証明利用を促す。」とされている。 (2) 事務所の作業面の照度については、事務所則第10条に定めているところであるが、労働者の心身 の負担を軽減するため、電力抑制のための事務作業を行う際の照度を暗くする場合であっても、作業 の区分にかかわらず作業面の照度を300ルクス以上とすることが望ましいこと。 また、VDT(visual Display Terminals)作業を行う者については、平成14年4月5日付け基発第04 5001号「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」についても留意すること。 3 事務所の換気について (1) 電力需給緊急対策本部の対策においては、「オフィスビル等の換気については、建築物衛生法及 び労働安全衛生法上の室内CO2濃度基準を周知することで、過度な換気による過大な電力消費及び冷 房効率低下の抑制を促す。」とされている。 (2) 事務所の換気については、過度な換気による電力消費及び冷房効率低下の抑制を促すため、空気 調和設備又は機械換気設備の外気と環気の混合率を調整する場合は、室内の二酸化炭素の濃度を、事 務所則第5条第1項2号に示す二酸化炭素の含有率に適合するようにすること。 4 関係通達の整備 昭和46年8月23日付け基発第597号「事務所衛生基準規則の施行について」の記の4.第4条関係も(3)に ついては廃止する。