有料道路自動料金収受システム(ETC)使用レーンでの料金収受業務等
における労働災害の防止について
基発第1207001号
平成17年12月7日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
有料道路自動料金収受システム(ETC)使用レーン
での料金収受業務等における労働災害の防止について
有料道路自動車料金収受システム(ETC)は、有料道路利用者の利便性の向上や料金所に起因する渋
滞の緩和・解消等を可能とするシステムとして平成13年3月に一般運用が開始されて以来、利用率は着実
に向上している。平成17年10月時点での国土交通省による調査では、全国のETC利用率は50%を突破し
ており、国土交通省においては、平成18年春までにETC利用率約70%を目標に、引き続きその普及促進
に努めることとしている。
一方、ETC使用レーン内で異常処理業務などを行う料金収受員が通過車両により被災する交通労働災
害が続発しており、去る9月22日にも東京都内の高速道路料金所において料金収受員が死亡するなど、平
成14年以降4人が死亡し、20人が負傷している。今後、ETCの更なる普及に伴い、これらの災害の一層
の増加が懸念される。
ついては、各都道府県労働局長におかれては、ETCレーンにおける通過車両との接触による労働災害
防止対策の推進を図るため、下記により、所管内の高速道路会社、地方道路公社(以下「高速道路会社等」
という。)及び料金収受業務等を受託している会社の代表者に対して指導等を実施されたい。
なお、国土交通省に対しては、別添のとおり要請を行っていることを申し添える。
記
1 別紙1の高速道路会社等の本社を所管する労働局にあっては、別紙2により、その代表者あて12月21日
までに指導を実施するとともに、概ね2か月後に報告を徹すること。併せて、高速道路会社等から提出
された報告の写しを本省安全課に送付すること。
なお、提出された報告において、対策の実施が複数年にわたる場合は、その実施について当該高速
道路会社等を継続的に指導すること。
2 別紙1の高速道会社等が料金収受業務等を委託している会社の本社を所管する会社の本社を所管する
労働局にあっては、別紙3により、その代表者あて12月21日までに指導を実施するとともに、概ね2か月
後に報告を徹すること。
別紙2
番 号
日 付
各高速道路会社等 代表者 あて
都道府県労働局長
有料道路自動料金収受システム(ETC)使用レーン
での料金収受業務等における労働災害の防止について
標記については、ETC使用レーン内で異常処理業務などを行う料金収受員が通過車両により被災する
交通労働災害が続発しており、去る9月22日にも東京都内の高速道路料金所において料金収受員が死亡す
るなど、平成14年以降4人が死亡し、20人が負傷しています。今後、ETCの普及率の向上に伴い、同様
の災害の増加が懸念されます。
ETCレーンにおいては、車が停止することなく当該レーンを通過するものであることから、労働災害
防止に当たっては、安全通路の確保をはじめとした施設面の対策が必要不可欠です。
つきましては、今後のETCレーンにおける車との接触による労働災害の防止のため、下記事項につい
て実施されるようお願いします。
なお、本件に関して講じる措置内容について、○月○日までに本職あて報告書を提出されるよう併せて
お願いします。
おって、国土交通省に対しては、別添のとおり別途要請を行っておりますことを申し添えます。
記
1 現状
(1) 高速道路会社及び地方道路公社(以下「高速道路会社等」という。)においては、ETCを使用し
ている料金所において、地下通路等の安全通路の確保のほか、収受員に対するマニュアルの作成と安
全講習、車線横断警告バーの設置を計画的に実施しているが、これら対策が実施された料金所におい
ても災害が発生している。また、経年的にみても災害件数の減少傾向は見られない状況にあり、これ
ら対策の効果は十分とはいえない状況にあること。
(2) 本年発生した死亡災害のように、ETC・一般混在レーンにおいては、一般車がいない場合にはE
TC対応車がスビードを上げて進入するおそれがあり、また、開閉バーが設置されていない場合もあ
ることから、混在レーンは専用レーンと同等以上の危険性があると認識する必要があること。
2 具体的実施事項
ETCにおける収受員の交通労働災害を防止するため、ETCレーン(専用及び混在を含む。以下同じ。)
において、以下の措置を講ずること。
(1) ETCに異常が発生した場合の対処等のため、労働者が異常が発生した場所に安全に到達できるよ
うにするため、以下の措置を講ずること。
ア 地下通路、屋上連絡通路等による安全通路を確保し、ETCレーンを横切ることなく異常箇所に
到達できるようにするとともに、柵等により、労働者がETCレーンに容易に立ち入れないように
する設備的措置を実施すること。
イ 設備の構造上の制約等により、アによる措置が実施困難な場合、アイランド(料金収受ブース及
び各種機器の設置された区画)からETCレーンに立ち入る際に、[1]信号、誘導表示等をブース
内で切り替え可能とするとともに、[2]遠隔操作等により当該ETCレーンの車両の通行を物理的
に遮断できる設備的対策を講じること。
ウ ア又はイの措置を実施した上で、ETCに異常が発生した場合の対処等のためのマニュアルを整
備するとともに、安全教育を実施し、収受員に周知徹底すること。
(2) 上記(1)の措置が直ちに実施できない場合は、年次計画を作成し、(1)の措置を実施できる時期を明
確にした上で計画的に実施すること。その上で、(1)の措置が実施されるまでの間、以下の対策を実
施すること。
ア アイランドからETCレーンに立ち入る際に、信号を赤信号へ、誘導表示内容を「閉鎖」等に切
り替えること。
イ アイランドからETCレーンに立ち入れる箇所を限定した上で、当該箇所にそれを開放しなけれ
ばETCレーンに立ち入れない横棒・ロープ等の設備的措置を講ずること。
ウ 上記(1)ウのマニュアルに加え、上記(2)のア及びイの措置を講ずるための実施事項及びETCレ
ーンを横切る際の注意事項を定めたマニュアルを整備するとともに、安全教育を実施し、収受員に
周知徹底すること。
(3) 料金収受業務を外部業者に委託する場合は、受託業者が上記2の(1)ウのマニュアル作成及び安全教
育を適切に実施できるよう、受託業者に対し、資料の提供など必要な指導援助を行うこと。
別紙3
番 号
日 付
料金収受業務受託会社 代表者 あて
都道府県労働局長
有料道路自動料金収受システム(ETC)使用レーン
での料金収受業務等における労働災害の防止について
標記については、ETC使用レーン内で異常処理業務などを行う料金収受員が通過車両により被災する
交通労働災害が続発しており、去る9月22日にも東京都内の高速道路料金所において料金収受員が死亡す
るなど、平成14年以降4人が死亡し、20人が負傷しています。今後、ETCの普及率の向上に伴い、同様
の災害の増加が懸念されます。
つきましては、今後のETCレーンにおける車との接触による労働災害の防止のため、下記事項につい
て実施されるようお願いします。
なお、本件に関して講じる措置内容について、○月○日までに本職あて報告書を提出されるよう併せて
お願いします。
おって、高速道路会社及び地方道路公社(以下「高速道路会社等という。)には、別添のとおり別途要
請を行っておりますことを申し添えます。
記
1 現状
(1) 各高速道路会社等においては、ETCを使用している料金所において、地下通路等の安全通路の確
保のほか、収受員に対するマニュアルの作成と安全講習、車線横断警告バーの設置を計画的に実施し
ているが、これら対策が実施された料金所においても災害が発生している。また、経年的にみても災
害件数の減少傾向は見られない状況にあり、これら対策の効果は十分とはいえない状況にあること。
(2) 本年発生した死亡災害のように、ETC・一般混在レーンにおいては、一般車がいない場合にはE
TC対応車がスビードを上げて進入するおそれがあり、また、開閉バーが設置されていない場合もあ
ることから、混在レーンは専用レーンと同等以上の危険性があると認識する必要があること。
2 具体的実施事項
ETCにおける収受員の交通労働災害を防止するため、ETCレーン(専用及び混在を含む。以下同じ。)
において、以下の措置を講ずること。
(1) ETCレーンを横切らなくてすむように、高速道路会社等が実施する連絡通路等の設置やETCレ
ーンでの車の通行を物理的に遮断するための設備的対応を踏まえ、ETCに異常が発生した場合の対
処等のためのマニュアルを整備するとともに、安全教育を実施し、収受員に周知徹底すること。
(2) 連絡通路等の施設が整備されるまでの間、高速道路会社等が実施する措置を踏まえ、ETCレーン
にやむを得ず立ち入らざるを得ない場合は、上記(1)のマニュアルに加え、信号の操作等ETCレー
ンを横切る前に実施する事項及びレーンを横切る際の注意事項を定めたマニュアルを整備するととも
に、安全教育を実施し、収受員に周知徹底すること。
別添
基発第1207002号
平成17年12月7日
国土交通省道路局長 殿
厚生労働省労働基準局長
有料道路自動料金収受システム(ETC)使用レーンでの
料金収受業務等における労働災害の防止について(要請)
標記については、各高速道路会社等料金所におけるETC使用レーン内で異常処理業務などを行う料金
収受員が通過車両により交通労働災害に被災する災害が続発しており、去る9月22日にも東京都内の高速
道路料金所において料金収受員が死亡するなど、平成14年以降4人が死亡し、20人が負傷しています。今
後、ETCの普及率の向上に伴い、同様の災害の増加が懸念されます。
ETCレーンにおいては、車が停止することなく当該レーンを通過するものであることから、労働災害
防止に当たっては、安全通路の確保をはじめとした施設面の対策が必要不可欠です。
このため、別添(略)のとおり、都道府県労働局長に対して、管内の各高速道路会社等の代表者等に対
して指導を実施するよう指示したところです。つきましては、今後のETCレーンにおける車との接触に
よる労働災害の防止のため、各高速道路会社等が別添の別紙2の措置を実施するに当たっての必要な指導
及び料金徴収施設の設置に係る技術基準の見直し等を実施していただきますようお願いします。
(参考)ETCレーンに関連する労働災害発生状況