安全衛生情報センター
第10次の労働災害防止計画(以下「計画」という。)の策定については、平成15年3月24日付け厚生労 働省発基安第0324001号により、厚生労働事務次官から通達されたところである。 本計画は、我が国において、今後5年間にわたる労働災害防止を進めるために実施すべき主要な対策等 を示したものであるので、貴職においては、下記の事項に留意の上、その計画的かつ効果的な推進を図ら れたい。 なお、関係府省、都道府県、労働災害防止団体及び事業者団体等に対し、それぞれ別添1〜3のとおり要 請を行ったので申し添える。
1 計画の主眼 本計画は、次の事項を基本方針に掲げ中長期的な安全衛生行政の指針として策定したものであること。 (1) 死亡災害の撲滅 死亡災害については、平成10年に2,000人を割り、着実な減少傾向を続けているが、今なお年千 人台後半にとどまっている状況にかんがみ、建設業を始めとする死亡災害の多発している業種にお ける労働災害防止対策の徹底を図ること。 (2) 中小企業における安全衛生の確保 中小企業においては、労働安全衛生関係法令に規定された最低基準としての労働災害防止措置の 履行確保を図るとともに、自主的な安全衛生活動等に対して適切な支援を推進すること。 (3) 業務上の心身の負担の増大等に対応した労働衛生対策の推進 社会経済システムが大きく変化し、経営環境の厳しさが増す中で、業務の質的、量的な変化によ る心身の負担の増加が懸念されていることから、職場においてより積極的に労働者の健康の確保を 図ること。 (4) リスクを低減させる安全衛生管理手法の展開等 労働者の安全と健康の確保は最も優先されるべき事項のひとつであり、そのためには企業内にお いて、「安全文化」を根付かせ自律的な安全衛生対策が推進される仕組みを確立する必要があり、 さらにリスクの低減が基本であることから、労働安全衛生マネジメントシステムの事業場への導入 を図ること。機械設備についても、リスクの低減、情報の伝達という仕組みの普及を図ること。 2 計画の目標についての考え方 (1) 本計画の3の(1)については、労働災害による死亡者数を単に年間1,500人を割ることではなく、 可能な限りの減少を目指すという趣旨であること。 (2) 本計画の3の(2)については、第9次の計画の実績を踏まえ、減少傾向が鈍化する中において、 一層の減少を目指す趣旨で設定したものであること。また、20%以上減少とは、第9次の計画期間 である5年間に発生した休業4日以上の死傷災害の総件数と本計画の期間中に発生する休業4日以上 の死傷災害の総件数を比較するものであること。 3 計画の推進に当たっての取組 (1) 労働災害防止対策を推進するための計画(以下「推進計画」という。)の策定 本計画の趣旨を踏まえ、管内における労働災害の動向、社会経済情勢、行政目標の推進状況等 の実情に即した推進計画を策定し、その実効を期すこと。 なお、本計画に基づく具体的な業種別労働災害防止対策について別紙のとおり示すこととする ので、当該推進計画の策定等に際して参考とすること。 (2) 労働災害防止団体等に対する協力要請等の実施 労働災害防止団体、関係事業者団体及び関係行政機関に対し、本計画において示す労働災害防 止対策が積極的かつ効果的に展開されるよう要請し、当該団体等を通じて、事業者の自主的労働 災害防止活動の促進を図ること。 (3) 国民一般の安全衛生意識の高揚 労働災害防止対策を効果的かつ効率的に推進するためには、国民一般の理解が必要であること から、引き続き、労働災害防止団体、関係行政機関、事業者団体等広範な構成員からなる労働災 害防止連絡協議会の活動の促進を図るほか、あらゆる機会を通じ、また、あらゆる手法を講じて、 幅広く労働災害防止の重要性を訴え、各方面の協力を求めていくこと。 別紙(PDF:25KB) 別添1 別添2 別添3