労働者健康確保事業助成事業の推進について
(平成9年3月21日 基発第185号より廃止) |
改正履歴
基発第171号
平成7年3月31日
我が国の人口の高齢化の進展及び高齢者の継続雇用の進展等から労働者の高齢化が急速に進展している。
高年齢労働者は若年労働者に比べて労働災害の発生率が高く、また、高血圧症、糖尿病等のいわゆる成
人病を有する者の割合も高い。高血圧症等の症状は労働者の従事する作業態様によって影響を受けること
もあり、職場における健康づくりが求められるところである。
このようなことから、昭和54年から「中高年齢労働者の健康づくり運動」を提唱し、昭和63年には労働
安全衛生法を改正して労働者の健康保持増進のための措置を継続的かつ計画的に講ずることを事業者の努
力義務とし、健康保持増進に係る指針及び労働者健康確保事業助成事業推進要綱(以下「推進要綱」とい
う。)を策定し、労働者一人一人の健康状態に応じた健康保持増進のための施策を推進し、一定の成果を
上げてきた。
この成果を基礎として、今般、健康な生活習慣をより一層定着させることなどを目的として、推進要綱
が平成7年3月22日付け発基第24号により改正<別添参照>されたところである。
ついては、今後この推進要綱に基づき、事業者等に所要の助成を行うこととなるが、貴職におかれても、
本事業の主旨を十分理解するとともに、下記事項に留意の上、労働者の健康の保持増進を図るための措置
の効果的な普及及び定着に努められたい。
なお、平成元年5月29日付け基発第276号は廃止する。
記
第1 人材養成研修事業
1 受講対象者
労働者の健康保持増進措置に従事している者及び従事することが予定されている者で、別表1に示
す受講資格に該当するものを受講対象者とする。
2 講習科目
研修の講習科目は、労働衛生行政、健康確保総論、健康測定、研究討議等とする。各講習科目の研
修時間については別途定めるものとする。
3 登録等
所定の科目を終了した者には、中央労働災害防止協会(以下「中央協会」という。)が修了証書を
交付し、研修修了者の申請に基づき中央協会において登録を行うとともに、登録証の交付を行う。
第2 健康測定等健康保持増進事業
1 健康保持増進事業の考え方
(1) 健康測定と運動指導等の健康指導については一連のものとして行われる必要があり、健康測定
又は健康指導が独立して行われるべきものではない。助成対象としても必要な健康指導の項目に
ついては別途定めるものとする。
(2) 健康測定とその結果に基づく健康指導の実施については年3回を限度として別途定める回数を
助成の対象とすることとする。
ただし、運動指導のうち指導に基づく運動実践については労働者一人につき年12回を限度とし
て助成対象とする。
2 健康測定の内容
健康測定の項目は、生活状況調査、医学的検査、運動機能検査等とする。なお、これらの項目の詳
細及び実施上の注意等については別途定めるものとする。
3 名簿登載機関
推進要綱に示す「中央協会に名簿記載された機関」とは、労働省と協議の上、別途定める規程に基
づいて中央協会が名簿登載した労働者健康保持増進サービス機関等(以下「名簿登載機関」という。)
とする。
4 交付の要件
助成の対象は、事業場単独で又は健康保持増進措置の一部若しくは全部を名簿登載機関に委託して、
健康保持増進のためのスタッフがチームとして健康測定及び健康指導を行う事業場とする。
この場合において、助成対象事業場が確保すべきスタッフ、施設及び設備の要件については、「労
働者健康保持増進サービス機関の認定基準」(平成元年3月23日付け基発第131号)を準用する。
5 助成金の類等
(1) 本事業における中小企業者とは、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者をいう。
(2) 助成の対象は事業場単位の事業者とし、助成率の算定は当該事業場の属する企業の規模に基づ
いて行うこととする。
(3) 健康測定及び健康指導に係る助成の限度額は別途定めるものとする。
ただし、1事業場に対する助成の限度額は年間1,500万円とする。
6 助成対象事業場
助成は原則として1企業について1事業場とする。
第3 健康測定用機器及び運動用機器等整備事業
1 健康測定用機器及びこれに附属する機器等
健康測定用機器とは、循環機能、血液検査、呼吸機能、運動機能等の健康測定の実施するために必
要な機器であって別表2に定めたものである。
また、これに附属する機器等としては、これらの機器に附属するコンピュータシステム、印刷機器
等がある。
2 運動用機器及びこれに附属する機器等
筋力、筋持久力、敏捷性、全身持久性等の維持及び向上を目的とした機器であって別表2に定めた
ものとする。
また、これに附属する機器等としては、これらの機器に附属するコンピュータシステム、印刷機器
等がある。
3 共同事業者集団
共同事業者集団の要件は次のとおりとする。
(1) 複数の事業場の集団であること。
(2) 集団に係る規約を有すること。
(3) 事業の企画、立案及び運営に当たる運営委員会又は事務所を有すること。
(4) 健康保持増進のためのスタッフがチームとして健康測定及び健康指導を行うことができる施設
及び設備が確保されていること。
この場合において、スタッフ、施設及び設備の要件については「労働者健康保持増進サービス
機関の認定基準」を準用すること。
4 助成金の額
1機関当たりの助成の限度額は2,000万円とする。
第4 運営上の留意点
1 円滑な推進についての配慮
本事業の主旨は労働者の健康の保持増進に必要なスタッフ、施設、設備等の体制の整備を図ること
にあり、健康保持増進に関する措置の普及及び円滑な実施を増進することにある。労働本省、都道府
県労働基準局及び労働基準監督署は、中央協会、名簿登載機関等に対して本事業の定着に向けて指導
援助を行うこととし、その業務は次のとおりとする。
(1) 労働本省
イ 本事業の運用に関する方針の樹立と指導
ロ 本事業の普及
ハ 関係機関への指導、援助
(2) 都道府県労働基準局
イ 本事業の普及
ロ 関係業界団体等の育成
ハ 名簿登載機関の育成
(3) 労働基準監督署
管内の事業場への本事業の普及、指導
2 労働安全衛生融資の利用
労働者の健康保持増進措置の推進に当たっては、本事業に係る指導援助と併せて、労働安全衛生融
資による施設及び設備への融資についても、その積極的な利用の勧奨に努めること。
別添 労働者健康確保事業助成事業推進要綱
(平成7.3.22 発基第24号)
第1 目的
近年における人口の高齢化の進行、疾病構造の変化等により労働者の健康問題の重要性が高まってい
ることにかんがみ、事業場における健康教育等に関する指導員の確保等の事業に対して経費を補助する
ことにより、事業者が行う労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図る
ための措置(以下「健康保持増進措置」という。)の適切かつ有効な実施及び促進を図ることを目的と
する。
第2 補助制度
1 補助事業者
補助事業者は、中央労働災害防止協会(以下「中央協会」という。)とする。
2 補助対象事業の内容
国は、中央協会が実施する次の事業に必要な経費について、補助金を交付するものとする。
(1) 人材養成研修事業
イ 事業の対象となる研修の種類
[1] 健康測定研修
[2] ヘルスケア・トレーナー養成研修
[3] ヘルスケア・リーダー養成研修
[4] 心理相談員養成研修
[5] 産業栄養指導者養成研修
[6] 産業保健指導者養成研修
これらの研修の講習内容、受講資格については別途定めるものとする。
(2) 健康測定等健康保持増進事業
イ 事業の対象となる健康保持増進措置の種類
[1] 健康測定
[2] 運動指導
[3] 心理相談
[4] 栄養指導
[5] 保健指導
ロ 助成対象期間
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年9月1日付け健康保持増
進のための指針公示第1号)に基づき、労働者のための健康保持増進を行う事業者であって別
途定める要件を具備する事業者とする。
ただし、事業場が委託して行う健康保持増進措置については、中央協会に名簿登載された機
関(以下「名簿登載機関」という。)に委託して実施した場合に限り助成の対象とする。
ハ 助成金の額等
助成は予算の範囲内で行うものとし、中小企業者いついては上記イに掲げる事業に要する経
費のうち2/3を限度とし、それ以外の者についてはその経費のうち1/3を限度とする。
ただし、運動指導のうち指導に基づく運動実践については、中小企業者に対してその経費の
うち1/2を限度とする。
なお、中小企業者の範囲、一事業場当たりの限度額及び上記イに掲げる各事業ごとの限度額
及び助成回数は、別途定めるものとする。
ニ 助成期間
一事業場に対する助成期間は、3年間を限度とする。
(3) 健康測定用機器・運動用機器等整備事業
イ 事業の対象となる機器等の種類
[1] 健康測定用機器及びこれに附属する機器等
[2] 運動用機器及びこれに附属する機器等
ロ 助成対象機関
(イ) 労働者の健康の保持増進に寄与するものであって次の機関とする。
[1] 健康測定用機器及びこれに附属する機器等については、事業者が共同で健康保持増
進措置を行う集団(以下「共同事業者集団」という。)及び名簿登載機関とする。
[2] 運動用機器及びこれに附属する機器等については、共同事業者集団とする。
(ロ) 共同事業者集団の要件については別途定めるものとする。
ハ 助成金の額等
助成は予算の範囲内で行うものとし、その額は事業に要する経費の1/3を限度とする。
なお、一機関当たりの限度額は別途定めるものとする。
第3 中央協会、事業者及び名簿登載機関の業務
中央協会、事業者及び名簿登載機関は、本事業の円滑な運営を図るために、次の業務を実施するもの
とする。
1 中央協会の業務
(1) 労働者の健康確保を図るための方策についての検討
(2) 機関の名簿登載の実施
(3) 事業場に対する本事業の普及及び名簿登載機関の育成
(4) 労働者健康確保事業の実施結果のとりまとめ、分析及び活用並びに労働省労働基準局長への報
告
(5) 健康保持増進についての調査研究等の推進
(6) その他、本事業の円滑な推進に必要な事項
2 事業者の業務
(1) 衛生委員会等での審議
(2) 健康保持増進計画の策定及び推進
(3) 健康保持増進に関する人材の確保
(4) 健康保持増進に関する施設及び設備の確保
(5) 健康保持増進計画の推進状況及びその効果に関する評価
(6) その他、本事業の円滑な推進に必要な事項
3 名簿登載機関の業務
(1) 健康保持増進に関する人材の確保
(2) 健康保持増進に関する施設及び設備の確保
(3) 委託を受けた事業場との密接な連絡の確保
(4) 名簿登載機関である旨の事業への周知
(5) その他、本事業の円滑な推進に必要な事項
第4 実施時期
本事業は、平成7年4月1日より実施する。