安全衛生情報センター
建設工事等の屋外作業において、移動式クレーン、くい打機、機械集材装置等(以下「移動式クレーン 等」という。)を送電線、配電線、電車用饋電線等(以下「送配電線類」という。)に近接する場所で使用 中に、その機体、ワイヤロープ等が送配電線類に接触して起こる感電災害が依然として跡を絶たない。加 えて、感電災害は死亡率が極めて高いこと、都市の過密化及び周辺地域の市街化の促進等により不意の停 電事態が惹起する社会的混乱の度合も増大していること等注目を要するところである。 ついては、この種災害の防止の徹底を図るため、関係事業場の監督指導に当たっては、労働安全衛生規 則第349条及び第570条第1項第6号に定める事項はもとより、下記の事項に留意の上、その万全を期せられ たい。
1 送配電線類に対して安全な離隔距離を保つこと。 移動式クレーン等の機体、ワイヤロープ等と送配電線類の充電部分との離隔距離を、次の表の左欄に 掲げる電路の電圧に応じ、それぞれ同表の右欄に定める値以上とするよう指導すること。
電路の電圧 | 離隔距離 |
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特別高圧 | 2m、ただし、60,000V以上は10,000V又はその端数を増すごとに20cm増し。 |
高圧 | 1.2m |
低圧 | 1m |
なお、移動式クレーン等の機体、ワイヤロープ等が目測上の誤差等により、この離隔距離内に入るこ とを防止するために、移動式クレーン等の行動範囲を規制するための木柵、移動式クレーンのジブ等の 行動範囲を制限するためのゲート等を設けることが望ましいこと。 2 監視責任者を配置すること。 移動式クレーン等を使用する作業について的確な作業指揮をとることができる監視責任者を当該作業 現場に配置し、安全な作業の遂行に努めること。 3 作業計画の事前打合せをすること。 この種作業の作業計画の作成に当たっては、事前に、電力会社等送配電線類の所有者と作業の日程、 方法、防護措置、監視の方法、送配電線類の所有者の立会い等について、十分打ち合わせるように努め ること。 4 関係作業者に対し、作業標準を周知徹底させること。 関係作業者に対して、感電の危険性を十分周知させるとともに、その作業標準を定め、これにより作 業が行われるよう必要な指導を行うこと。