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改正履歴
今般、船舶職員法の一部を改正する法律(昭和49年2月26日法律第3号)が制定、公布され、5月26日
から施行された。
今回の改正の概要は、別紙のとおりであるが、今回の改正のうち、労働安全衛生法の適用を受ける水上
労働者(すなわち、船員法の適用を受ける労働者以外の水上労働者)について問題と考えられる点は、記
の1のとおりである。
ついては、これらの者に係る労働災害を防止するためには、監督指導に努める必要があり、これが監督
指導に際しては、関係行政機関との連携を図るとともに、記の2に掲げる事項に留意すること。
なお、参考として、労働安全衛生法と船員法との適用関係表を添付するので、業務の運用に資されたい。
記
1.問題点
労働安全衛生法第115条第2項及び船員法第1条に基づき労働安全衛生法の適用を受ける船舶で湖、
川又は港のみを航行する船舶のうち、総トン数5トン以上20トン未満のもの(特に、はしけをえい航す
る引船にはこれに該当するものが多い)については、従前までは船舶職員法第18条第1項及び同法別表
第1に基づき船長及び機関長が乗り込む必要があったものが、同法の改正により昭和49年5月26日以降
は新資格の海技従事者が乗り組む場合、船長のみでよいこととされた。このため、該当船舶においては、
船長・人に業務遂行上の負担がかかることとなり、ひいては労働災害の発生も考えられる。
2.留意事項
(1) 同一人により操舵及び機関の運転ができる遠隔操縦装置を有しない小型船舶については、引き続
き機関長を乗り組ませること。
(2) 被えいはしけをえい航する総トン数5トン以上20トン未満の引船については、同一人により操舵
及び機関の運転ができる遠隔操縦装置を有する場合であっても、機関を常時監視するための補助者
を乗り組ませる等の適切な措置を講ずること。
(3) 港内を航行する通船等旅客を運送する船舶については、補助者を乗り組ませる等の適切な措置を
講ずること。
(備 考)
上記(1)及び(2)の「同一人により操舵及び機関の運送ができる遠隔操縦装置」とは、次のすべての構
造装置を備えたものをいう。
イ 機関の運送状況を操舵室(席)で監視できる計器(主機又はプロペラ軸の回転計)
ロ 操舵室(席)において主機及び可変ピッチプロペラを操作(主機の始動を含む)できる構造装置
ハ 操舵室(席)において機関の潤滑油圧力低下を知り得る警報装置
別紙
船舶職員法の一部を改正する法律の概要
(1) 総トン数5トン未満の船舶であって旅客運送の用に供しないものについても船舶職員法を適用する。
(2) 総トン数20トン未満の小型船舶について、船舶に乗り組ますべき船舶職員について整備を図るとと
もに、現在の小型船舶操縦士の資格は廃止し、新たに、船舶職員の資格としてその総トン数及び航行す
る区域に応じ一級小型船舶操縦士、二級小型船舶操縦士、三級小型船舶操縦士及び四級小型船舶操縦士
の資格を設ける。
(3) 新たに設けることとした資格に対応する試験の実施に関する事務を申請により運輸大臣が指定した
者(小型船舶操縦士試験機関)に行わせる。
(4) 新法への移行が円滑に行われるよう必要な経過規定を設ける。
すなわち、
(イ) 現在免許を必要としない総トン数5トン未満の旅客運送の用に供しない船舶については、法施行
後1年6月間(昭和50年11月25日まで)は免許を義務づけない。
(ロ) 総トン数5トン未満の船舶(旅客運送の用に供しない船舶に限る)において現在業として又はそ
の営む事業のため船長の職務を行っている者には、海運局長の認定により免許を与える。
(ハ) 現在小型船舶操縦士又はこれより上級の免許を受けている者には、法施行後10年間は講習又は
認定によって新しい一級小型船舶操縦士の免許を与える。
(ニ) 現在受けている小型船舶操縦士の免許は法施行後10年間はそのままでも有効である。
(ホ) 法施行後10年間は、法施行の際現に配乗表に定める資格を有していた者が乗り組む場合には、
旧配乗表による配乗でも適法である。
配乗表(別表)の新旧対照表(表)
(参考)労働安全衛生法の運用を受ける船舶と船舶職員法との適用関係表
(1) 旧船舶職員法(表)
(2) 新船舶職員法(表)