労働安全衛生規則 第二編 安全基準 第一章 機械による危険の防止
(第百一条−第百五十一条) |
労働安全衛生規則
目次
〔旧規則との相違点〕
本編の構成は、法第四章の規定によったものであること。これに伴い保護具に関する規定は、関係章の
中において設けることとし、「薬傷等の防止」に関する規定は、第四章第八節に含めることとしたこと。
(昭四七・九・一八 基発第六〇一号の一)
第一節 一般基準
(原動機、回転軸等による危険の防止)
第百一条 事業者は、機械の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等の労働者に危険を及ぼすおそれ
のある部分には、覆(おお)い、囲い、スリーブ、踏切橋等を設けなければならない。
2 事業者は、回転軸、歯車、プーリー、フライホイール等に附属する止め具については、埋頭型のもの
を使用し、又は覆(おお)いを設けなければならない。
3 事業者は、ベルトの継目には、突出した止め具を使用してはならない。
4 事業者は、第一項の踏切橋には、高さが九十センチメートル以上の手すりを設けなければならない。
5 第一項の規定に基づき踏切橋の設備が設けられた作業場において作業に従事する者は、踏切橋を使用
しなければならない。
(ベルトの切断による危険の防止)
第百二条 事業者は、通路又は作業箇所の上にあるベルトで、プーリー間の距離が三メートル以上、幅が
十五センチメートル以上及び速度が毎秒十メートル以上であるものには、その下方に囲いを設けなけれ
ばならない。
(動力しや断装置)
第百三条 事業者は、機械ごとにスイツチ、クラツチ、ベルトシフター等の動力しや断装置を設けなけれ
ばならない。ただし、連続した一団の機械で、共通の動力しや断装置を有し、かつ、工程の途中で人力
による原材料の送給、取出し等の必要のないものは、この限りではない。
2 事業者は、前項の機械が切断、引抜き、圧縮、打抜き、曲げ又は絞りの加工をするものであるときは、
同項の動力しや断装置を当該加工の作業に従事する者がその作業位置を離れることなく操作できる位置
に設けなければならない。
3 事業者は、第一項の動力しや断装置については、容易に操作できるもので、かつ、接触、振動等のた
めに不意に機械が起動するおそれのないものとしなければならない。
(運転開始の合図)
第百四条 事業者は、機械の運転を開始する場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、
一定の合図を定め、合図をする者を指名して、関係労働者に対し合図を行なわせなければならない。
2 労働者は、前項の合図に従わなければならない。
(加工物等の飛来による危険の防止)
第百五条 事業者は、加工物等が切断し、又は欠損して飛来することにより労働者に危険を及ぼすおそれ
のあるときは、当該加工物等を飛散させる機械に覆(おお)い又は囲いを設けなければならない。ただし、
覆(おお)い又は囲いを設けることが作業の性質上困難な場合において、労働者に保護具を使用させたと
きは、この限りでない。
2 労働者は、前項ただし書の場合において、保護具の使用を命じられたときは、これを使用しなければ
ならない。
(切削屑の飛来等による危険の防止)
第百六条 事業者は、切削屑が飛来すること等により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該切
削屑を生ずる機械に覆(おお)い又は囲いを設けなければならない。ただし、覆(おお)い又は囲いを設け
ることが作業の性質上困難な場合において、労働者に保護具を使用させたときは、この限りでない。
2 労働者は、前項ただし書の場合において、保護具の使用を命じられたときは、これを使用しなければ
ならない。
(掃除等の場合の運転停止等)
第百七条 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合におい
て、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械
の運 転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じた
ときは、この限りではない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機
械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転すること
を防止するための措置を講じなければならない。
(刃部の掃除等の場合の運転停止等)
第百八条 事業者は、機械の刃部の掃除、検査、修理、取替え又は調整の作業を行うときは、機械の運転
を停止しなければならない。ただし、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限
りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機
械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転すること
を防止するための措置を講じなければならない。
3 事業者は、運転中の機械の刃部において切粉払いをし、又は切削剤を使用するときは、労働者にブラ
シその他の適当な用具を使用させなければならない。
4 労働者は、前項の用具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(ストローク端の覆い等)
第百八条の二 事業者は、研削盤又はプレーナーのテーブル、シエーパーのラム等のストローク端が労働
者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆い、囲い又は柵を設ける等当該危険を防止する措置を講じな
ければならない。
(巻取りロール等の危険の防止)
第百九条 事業者は、紙、布、ワイヤロープ等の巻取りロール、コイル巻等で労働者に危険を及ぼすおそ
れのあるものには、覆(おお)い、囲い等を設けなければならない。
(作業帽等の着用)
第百十条 事業者は、動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪又は被服が巻き込まれるおそれ
のあるときは、当該労働者に適当な作業帽又は作業服を着用させなければならない。
2 労働者は、前項の作業帽又は作業服の着用を命じられたときは、これらを着用しなければならない。
(手袋の使用禁止)
第百十一条 事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそ
れのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。
2 労働者は、前項の場合において、手袋の使用を禁止されたときは、これを使用してはならない。
第二節 工作機械
第百十二条 削除
(突出した加工覆(おお)い等)
第百十三条 事業者は、立旋盤、タレツト旋盤等から突出して回転している加工物が労働者に危険を及ぼ
すおそれのあるときは、覆(おお)い、囲い等を設けなければならない。
(帯のこ盤の歯等の覆(おお)い等)
第百十四条 事業者は、帯のこ盤(木材加工用帯のこ盤を除く。)の歯の切断に必要な部分以外の部分及
びのこ車には、覆(おお)い又は囲いを設けなければならない。
(丸のこ盤の歯の接触予防装置)
第百十五条 事業者は、丸のこ盤(木材加工用丸のこ盤を除く。)には、歯の接触予防装置を設けなけれ
ばならない。
(立旋盤等のテーブルへのとう乗の禁止)
第百十六条 事業者は、立旋盤、プレーナー等を使用する作業場において作業に従事する者を運転中の立
旋盤、プレーナー等のテーブルに乗せてはならない。ただし、テーブルに乗つた者又は操作盤に配置さ
れた者が、直ちに機械を停止することができるときは、この限りでない。
2 前項の作業場において作業に従事する者は、同項ただし書の場合を除き、運転中の立旋盤、プレーナ
ー等のテーブルに乗つてはならない。
(研削といしの覆(おお)い)
第百十七条 事業者は、回転中の研削といしが労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆(おお)いを
設けなければならない。ただし、直径が五十ミリメートル未満の研削といしについては、この限りでは
ない。
(研削といしの試運転)
第百十八条 事業者は、研削といしについては、その日の作業を開始する前には一分間以上、研削といし
を取り替えたときには三分間以上試運転をしなければならない。
(研削といしの最高使用周速度をこえる使用の禁止)
第百十九条 事業者は、研削といしについては、その最高使用周速度をこえて使用してはならない。
(研削といしの側面使用の禁止)
第百二十条 事業者は、側面を使用することを目的とする研削といし以外の研削といしの側面を使用して
はならない。
(バフの覆(おお)い)
第百二十一条 事業者は、バフ盤(布バフ、コルクバフ等を使用するバフ盤を除く。)のバフの研まに必
要な部分以外の部分には、覆(おお)いを設けなければならない。
第三節 木材加工用機械
(丸のこ盤の反ぱつ予防装置)
第百二十二条 事業者は、木材加工用丸のこ盤(横切用丸のこ盤その他反ぱつにより労働者に危険を及ぼ
すおそれのないものを除く。)には、割刃その他の反ぱつ予防装置を設けなければならない。
(丸のこ盤の歯の接触予防装置)
第百二十三条 事業者は、木材加工用丸のこ盤(製材用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤を除
く。)には、歯の接触予防装置を設けなければならない。
(帯のこ盤の歯及びのこ車の覆(おお)い等)
第百二十四条 事業者は、木材加工用帯のこ盤の歯の切断に必要な部分以外の部分及びのこ車には、覆(お
お)い又は囲いを設けなければならない。
(帯のこ盤の送りローラーの覆(おお)い等)
第百二十五条 事業者は、木材加工用帯のこ盤のスパイクつき送りローラー又はのこ歯形送りローラーに
は、送り側を除いて、接触予防装置又は覆(おお)いを設けなければならない。ただし、作業者がスパイ
クつき送りローラー又はのこ歯形送りローラーを停止することができる急停止装置が設けられているも
のについては、この限りでない。
(手押しかんな盤の刃の接触予防装置)
第百二十六条 事業者は、手押しかんな盤には、刃の接触予防装置を設けなければならない。
(面取り盤の刃の接触予防装置)
第百二十七条 事業者は、面取り盤(自動送り装置を有するものを除く。)には、刃の接触予防装置を設
けなければならない。ただし、接触予防装置を設けることが作業の性質上困難な場合において、労働者
に治具又は工具を使用させたときは、この限りでない。
2 労働者は、前項ただし書の場合において、治具又は工具の使用を命じられたときは、これらを使用し
なければならない。
(立入禁止)
第百二十八条 事業者は、自動送材車式帯のこ盤を使用する作業場において作業に従事する者が自動送材
車式帯のこ盤の送材車と歯との間に立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示すること
その他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該箇所が立入禁止で
ある旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
2 前項の作業場において作業に従事する者は、同項の規定により立ち入ることを禁止された箇所に立ち
入つてはならない。
(木材加工用機械作業主任者の選任)
第百二十九条 事業者は、令第六条第六号の作業については、木材加工用機械作業主任者技能講習を修了
した者のうちから、木材加工用機械作業主任者を選任しなければならない。
(木材加工用機械作業主任者の職務)
第百三十条 事業者は、木材加工用機械作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。
一 木材加工用機械を取り扱う作業を直接指揮すること。
二 木材加工用機械及びその安全装置を点検すること。
三 木材加工用機械及びその安全装置に異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
四 作業中、治具、工具等の使用状況を監視すること。
第三節の二 食品加工用機械
(切断機等の覆い等)
第百三十条の二 事業者は、食品加工用切断機又は食品加工用切削機の刃の切断又は切削に必要な部分以
外の部分には、覆い、囲い等を設けなければならない。
(切断機等に原材料を送給する場合における危険の防止)
第百三十条の三 事業者は、前条の機械(原材料の送給が自動的に行われる構造のものを除く。)に原材
料を送給する場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該機械の運転を停止し、又
は労働者に用具等を使用させなければならない。
2 労働者は、前項の用具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(切断機等から原材料を取り出す場合における危険の防止)
第百三十条の四 事業者は、第百三十条の二の機械(原材料の取出しが自動的に行われる構造のものを除
く。)から原材料を取り出す場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該機械の運
転を停止し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。
2 労働者は、前項の用具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(粉砕機等への転落等における危険の防止)
第百三十条の五 事業者は、食品加工用粉砕機又は食品加工用混合機の開口部から転落することにより労
働者に危険が生ずるおそれのあるときは、蓋、囲い、高さが九十センチメートル以上の柵等を設けなけ
ればならない。ただし、蓋、囲い、柵等を設けることが作業の性質上困難な場合において、墜落による
危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(以下「要求性能墜落制止用器具」という。)を使
用させる等転落の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の開口部から可動部分に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるとき
は、蓋、囲い等を設けなければならない。
3 労働者は、第一項ただし書の場合において、要求性能墜落制止用器具その他の命綱(以下「要求性能
墜落制止用器具等」という。)の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(粉砕機等に原材料を送給する場合における危険の防止)
第百三十条の六 事業者は、前条第一項の機械(原材料の送給が自動的に行われる構造のものを除く。)
に原材料を送給する場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該機械の運転を停止
し、又は労働者に用具等を使用させなければならない。
2 労働者は、前項の用具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(粉砕機等から内容物を取り出す場合における危険の防止)
第百三十条の七 事業者は、第百三十条の五第一項の機械(内容物の取出しが自動的に行われる構造のも
のを除く。)から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止し、又は労働者に用具等を使用させ
なければならない。
2 労働者は、前項の用具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
(ロール機の覆い等)
第百三十条の八 事業者は、食品加工用ロール機の労働者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、
囲い等を設けなければならない。
(成形機等による危険の防止)
第百三十条の九 事業者は、食品加工用成形機又は食品加工用圧縮機に労働者が身体の一部を挟まれるこ
と等により当該労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、覆い、囲い等を設けなければならない。
第四節 プレス機械及びシヤー
(プレス等による危険の防止)
第百三十一条 事業者は、プレス機械及びシヤー(以下「プレス等」という。)については、安全囲いを
設ける等当該プレス等を用いて作業を行う労働者の身体の一部が危険限界に入らないような措置を講じ
なければならない。ただし、スライド又は刃物による危険を防止するための機構を有するプレス等につ
いては、この限りでない。
2 事業者は、作業の性質上、前項の規定によることが困難なときは、当該プレス等を用いて作業を行う
労働者の安全を確保するため、次に定めるところに適合する安全装置(手払い式安全装置を除く。)を
取り付ける等必要な措置を講じなければならない。
一 プレス等の種類、圧力能力、毎分ストローク数及びストローク長さ並びに作業の方法に応じた性能
を有するものであること。
二 両手操作式の安全装置及び感応式の安全装置にあつては、プレス等の停止性能に応じた性能を有す
るものであること。
三 プレスブレーキ用レーザー式安全装置にあつては、プレスブレーキのスライドの速度を毎秒十ミリ
メートル以下とすることができ、かつ、当該速度でスライドを作動させるときはスライドを作動させ
るための操作部を操作している間のみスライドを作動させる性能を有するものであること。
3 第二項の措置は、行程の切替えスイツチ、操作の切替えスイツチ若しくは操作ステーシヨンの切替え
スイツチ又は安全装置の切替えスイツチを備えるプレス等については、当該切替えスイツチが切り替え
られたいかなる状態においても講じられているものでなければならない。
(スライドの下降による危険の防止)
第百三十一条の二 事業者は、動力プレスの金型の取付け、取外し又は調整の作業を行う場合において、
当該作業に従事する労働者の身体の一部が危険限界に入るときは、スライドが不意に下降することによ
る労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全ブロツク等を使用させる等の措置を
講じさせなければならない。
2 前項の作業に従事する労働者は、同項の安全ブロツクを使用する等の措置を講じなければならない。
(金型の調整)
第百三十一条の三 事業者は、プレス機械の金型の調整のためスライドを作動させるときは、寸動機構を
有するものにあつては寸動により、寸動機構を有するもの以外のものにあつては手回しにより行わなけ
ればならない。
(クラツチ等の機能の保持)
第百三十二条 事業者は、プレス等のクラツチ、ブレーキその他制御のために必要な部分の機能を常に有
効な状態に保持しなければならない。
(プレス機械作業主任者の選任)
第百三十三条 事業者は、令第六条第七号の作業については、プレス機械作業主任者技能講習を修了した
者のうちから、プレス機械作業主任者を選任しなければならない。
(プレス機械作業主任者の職務)
第百三十四条 事業者は、プレス機械作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。
一 プレス機械及びその安全装置を点検すること。
二 プレス機械及びその安全装置に異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
三 プレス機械及びその安全装置に切替えキースイツチを設けたときは、当該キーを保管すること。
四 金型の取付け、取はずし及び調整の作業を直接指揮すること。
(切替えキースイツチのキーの保管等)
第百三十四条の二 事業者は、動力プレスによる作業のうち令第六条第七号の作業以外の作業を行う場合
において、動力プレス及びその安全装置に切替えキースイツチを設けたときは、当該キーを保管する者
を定め、その者に当該キーを保管させなければならない。
(定期自主検査)
第百三十四条の三 事業者は、動力プレスについては、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について
自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない動力プレスの当該使用しない
期間においては、この限りでない。
一 クランクシヤフト、フライホイールその他動力伝達装置の異常の有無
二 クラツチ、ブレーキその他制御系統の異常の有無
三 一行程一停止機構、急停止機構及び非常停止装置の異常の有無
四 スライド、コネクチングロツドその他スライド関係の異常の有無
五 電磁弁、圧力調整弁その他空圧系統の異常の有無
六 電磁弁、油圧ポンプその他油圧系統の異常の有無
七 リミツトスイツチ、リレーその他電気系統の異常の有無
八 ダイクツシヨン及びその附属機器の異常の有無
九 スライドによる危険を防止するための機構の異常の有無
2 事業者は、前項ただし書の動力プレスについては、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる
事項について自主検査を行わなければならない。
第百三十五条 事業者は、動力により駆動されるシヤーについては、一年以内ごとに一回、定期に、次の
事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しないシヤーの当該使
用しない期間においては、この限りでない。
一 クラツチ及びブレーキの異常の有無
二 スライド機構の異常の有無
三 一行程一停止機構、急停止機構及び非常停止装置の異常の有無
四 電磁弁、減圧弁及び圧力計の異常の有無
五 配線及び開閉器の異常の有無
2 事業者は、前項ただし書のシヤーについては、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項
について自主検査を行わなければならない。
(定期自主検査の記録)
第百三十五条の二 事業者は、前二条の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存
しなければならない。
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
(特定自主検査)
第百三十五条の三 動力プレスに係る法第四十五条第二項の厚生労働省令で定める自主検査(以下「特定
自主検査」という。)は、第百三十四条の三に規定する自主検査とする。
2 動力プレスに係る法第四十五条第二項の厚生労働省令で定める資格を有する労働者は、次の各号のいず
れかに該当する者とする。
一 次のいずれかに該当する者で、厚生労働大臣が定める研修を修了したもの
イ 学校教育法による大学又は高等専門学校において工学に関する学科を専攻して卒業した者(大学
改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該学科を専攻した者に限る。)若し
くはこれと同等以上の学力を有すると認められる者又は当該学科を専攻して専門職大学前期課程を
修了した者を含む。第百五十一条の二十四第二項第一号イにおいて同じ。)で、動力プレスの点検
若しくは整備の業務に二年以上従事し、又は動力プレスの設計若しくは工作の業務に五年以上従事
した経験を有するもの
ロ 学校教育法による高等学校又は中等教育学校において工学に関する学科を専攻して卒業した者で、
動力プレスの点検若しくは整備の業務に四年以上従事し、又は動力プレスの設計若しくは工作の業
務に七年以上従事した経験を有するもの
ハ 動力プレスの点検若しくは整備の業務に七年以上従事し、又は動力プレスの設計若しくは工作の
業務に十年以上従事した経験を有する者
二 法別表第十八号第二号に掲げるプレス機械作業主任者技能講習を修了した者で、動力プレスによる作
業に十年以上従事した経験を有するもの
二 その他厚生労働大臣が定める者
3 動力プレスに係る特定自主検査を法第四十五条第二項の検査事業者(以下「検査業者」という。)に
実施させた場合における前条の規定の適用については、同条第五号中「検査を実施した者の氏名」とあ
るのは、「検査業者の名称」とする。
4 事業者は、動力プレスに係る特定自主検査を行つたときは、当該動力プレスの見やすい箇所に、特定
自主検査を行つた年月を明らかにすることができる検査標章をはり付けなければならない。
(作業開始前の点検)
第百三十六条 事業者は、プレス等を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項
について点検を行わなければならない。
一 クラツチ及びブレーキの機能
二 クランクシヤフト、フライホイール、スライド、コネクチングロツド及びコネクチンスクリユーの
ボルトのゆるみの有無
三 一行程一停止機構、急停止機構及び非常停止装置の機能
四 スライド又は刃物による危険を防止するための機構の機能
五 プレス機械にあつては、金型及びボルスターの状態
六 シヤーにあつては、刃物及びテーブルの状態
(プレス等の補修)
第百三十七条 事業者は、第百三十四条の三若しくは第百三十五条の自主検査又は前条の点検を行つた場
合において、異常を認めたときは、補修その他の必要な措置を講じなければならない。
第五節 遠心機械
(ふたの取付け)
第百三十八条 事業者は、遠心機械には、ふたを設けなければならない。
(内容物を取り出す場合の運転停止)
第百三十九条 事業者は、遠心機械(内容物の取出しが自動的に行なわれる構造のものを除く。)から内
容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止しなければならない。
(最高使用回転数をこえる使用の禁止)
第百四十条 事業者は、遠心機械については、その最高使用回転数をこえて使用してはならない。
(定期自主検査)
第百四十一条 事業者は、動力により駆動される遠心機械については、一年以内ごとに一回、定期に、次
の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しない遠心機械の
当該使用しない期間においては、この限りでない。
一 回転体の異常の有無
二 主軸の軸受部の異常の有無
三 ブレーキの異常の有無
四 外わくの異常の有無
五 前各号に掲げる部分のボルトのゆるみの有無
2 事業者は、前項ただし書の遠心機械については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事
項について自主検査を行なわなければならない。
3 事業者は、前二項の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければなら
ない。
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
4 事業者は、第一項又は第二項の自主検査を行なつた場合において、異常を認めたときは、補修その他
の必要な措置を講じなければならない。
第六節 粉砕機及び混合機
(転落等の危険の防止)
第百四十二条 事業者は、粉砕機又は混合機(第百三十条の五第一項の機械を除く。)の開口部から転落
することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、蓋、囲い、高さが九十センチメートル以上
の柵等を設けなければならない。ただし、蓋、囲い、柵等を設けることが作業の性質上困難な場合にお
いて、要求性能墜落制止用器具を使用させる等転落の危険を防止するための措置を講じたときは、この
限りではない。
2 事業者は、前項の開口部から可動部分に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるとき
は、蓋、囲い等を設けなければならない。
3 労働者は、第一項ただし書の場合において、要求性能墜落制止用器具等の使用を命じられたときは、
これを使用しなければならない。
(内容物を取り出す場合の運転停止)
第百四十三条 事業者は、粉砕機又は混合機(第百三十条の五第一項の機械及び内容物の取出しが自動的
に行われる構造のものを除く。)から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止しなければなら
ない。ただし、当該機械の運転を停止して内容物を取り出すことが作業の性質上困難な場合において、
労働者に用具を使用させたときは、この限りでない。
2 労働者は、前項ただし書の場合において、用具の使用を命じられたときは、これを使用しなければな
らない。
第七節 ロール機等
(紙等を通すロール機の囲い等)
第百四十四条 事業者は、紙、布、金属箔(はく)等を通すロール機の労働者に危険を及ぼすおそれのある
部分には、囲い、ガイドロール等を設けなければならない。
(機械のシヤツトルガード)
第百四十五条 事業者は、シヤツトルを有する機械には、シヤツトルガードを設けなければならない。
(伸線機の引抜きブロツク等の覆(おお)い等)
第百四十六条 事業者は、伸線機の引抜きブロツク又はより線機のケージで労働者に危険を及ぼすおそれ
のあるものには、覆(おお)い、囲い等を設けなければならない。
(射出成形機等による危険の防止)
第百四十七条 事業者は、射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等(第百三十条の九及び本章第四節の機械
を除く。)に労働者が身体の一部を挟まれるおそれのあるときは、戸、両手操作式による起動装置その
他の安全装置を設けなければならない。
2 前項の戸は、閉じなければ機械が作動しない構造のものでなければならない。
(扇風機による危険の防止)
第百四十八条 事業者は、扇風機の羽根で労働者に危険を及ぼすおそれのあるものには、網又は囲いを設
けなければならない。
第八節 高速回転体
(回転試験中の危険防止)
第百四十九条 事業者は、高速回転体(タービンローター、遠心分離機のバスケツト等の回転体で、周速
度が毎秒二十五メートルをこえるものをいう。以下この節において同じ。)の回転試験を行なうときは、
高速回転体の破壊による危険を防止するため、専用の堅固な建設物内又は堅固な障壁等で隔離された場
所で行なわなければならない。ただし、次条の高速回転体以外の高速回転体の回転試験を行なう場合に
おいて、試験設備に堅固な覆(おお)いを設ける等当該高速回転体の破壊による危険を防止するための措
置を講じたときは、この限りではない。
(回転軸の非破壊検査)
第百五十条 事業者は、高速回転体(回転軸の重量が一トンをこえ、かつ、回転軸の周速度が毎秒百二十
メートルをこえるものに限る。)の回転試験を行なうときは、あらかじめ、その回転軸について、材質、
形状等に応じた種類の非破壊検査を行ない、破壊の原因となるおそれのある欠陥のないことを確認しな
ければならない。
(回転試験の実施方法)
第百五十条の二 事業者は、前条の高速回転体の回転試験を行うときは、遠隔操作の方法による等その制
御、測定等の作業を行う労働者に当該高速回転体の破壊による危険を及ぼすおそれのない方法によつて
行わなければならない。
第九節 産業用ロボツト
(教示等)
第百五十条の三 事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において当該産業用ロボットについて教示等の
作業を行うときは、当該産業用ロボットの不意の作動による危険又は当該産業用ロボットの誤操作によ
る危険を防止するため、次の措置を講じなければならない。ただし、第一号及び第二号の措置について
は、産業用ロボットの駆動源を遮断して作業を行うときは、この限りでない。
一 次の事項について規程を定め、これにより作業を行わせること。
イ 産業用ロボットの操作の方法及び手順
ロ 作業中のマニプレータの速度
ハ 複数の労働者に作業を行わせる場合における合図の方法
ニ 異常時における措置
ホ 異常時に産業用ロボットの運転を停止した後、これを再起動させるときの措置
ヘ その他産業用ロボットの不意の作動による危険又は産業用ロボットの誤操作による危険を防止す
るために必要な措置
二 作業に従事している者又は当該者を監視する者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止する
ことができるようにするための措置を講ずること。
三 作業を行つている間産業用ロボットの起動スイッチ等に作業中である旨を表示する等作業に従事し
ている者以外の者が当該起動スイッチ等を操作することを防止するための措置を講ずること。
(運転中の危険の防止)
第百五十条の四 事業者は、産業用ロボツトを運転する場合(教示等のために産業用ロボツトを運転する
場合及び産業用ロボツトの運転中に次条に規定する作業を行わなければならない場合において産業用ロ
ボツトを運転するときを除く。)において、当該産業用ロボツトに接触することにより労働者に危険が
生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなけ
ればならない。
(検査等)
第百五十条の五 事業者は、産業用ロボットの可動範囲内において当該産業用ロボットの検査、修理、調
整(教示等に該当するものを除く。)、掃除若しくは給油又はこれらの結果の確認の作業を行うときは、
当該産業用ロボットの運転を停止するとともに、当該作業を行つている間当該産業用ロボットの起動ス
イッチに錠をかけ、当該産業用ロボットの起動スイッチに作業中である旨を表示する等当該作業に従事
している者以外の者が当該起動スイッチを操作することを防止するための措置を講じなければならない。
ただし、産業用ロボットの運転中に作業を行わなければならない場合において、当該産業用ロボットの
不意の作動による危険又は当該産業用ロボットの誤操作による危険を防止するため、次の措置を講じた
ときは、この限りでない。
一 次の事項について規程を定め、これにより作業を行わせること。
イ 産業用ロボットの操作の方法及び手順
ロ 複数の労働者に作業を行わせる場合における合図の方法
ハ 異常時における措置
ニ 異常時に産業用ロボットの運転を停止した後、これを再起動させるときの措置
ホ その他産業用ロボットの不意の作動による危険又は産業用ロボットの誤操作による危険を防止す
るために必要な措置
二 作業に従事している者又は当該者を監視する者が異常時に直ちに産業用ロボットの運転を停止する
ことができるようにするための措置を講ずること。
三 作業を行つている間産業用ロボットの運転状態を切り替えるためのスイッチ等に作業中である旨を
表示する等作業に従事している者以外の者が当該スイッチ等を操作することを防止するための措置を
講ずること。
(点検)
第百五十一条 事業者は、産業用ロボツトの可動範囲内において当該産業用ロボツトについて教示等(産
業用ロボツトの駆動源を遮断して行うものを除く。)の作業を行うときは、その作業を開始する前に、
次の事項について点検し、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。
一 外部電線の被覆又は外装の損傷の有無
二 マニプレータの作動の異常の有無
三 制動装置及び非常停止装置の機能