1. ホーム >
  2. 法令・通達(検索) >
  3. 法令・通達
別添

騒音障害防止のためのガイドライン

1 目的
  本ガイドラインは、労働安全衛生法令に基づく措置を含め、騒音障害防止対策を講ずることにより、
 騒音作業に従事する労働者の騒音障害を防止することを目的とする。

2 騒音作業
  本ガイドラインの対象とする騒音作業は、別表第1及び別表第2に掲げる作業場における業務とする。
  なお、別表第1及び別表第2に掲げる作業場以外の作業場であっても、騒音レベルが高いと思われる業
 務を行う場合には、本ガイドラインに基づく騒音障害防止対策と同様の対策を講ずることが望ましい。

3 事業者の責務
  別表第1又は別表第2に掲げる作業場を有する事業者(以下「事業者」という。)は、当該作業場につ
 いて、本ガイドラインに基づき適切な措置を講ずることにより、騒音レベルの低減化等に努めるものと
 する。

4 機械設備等製造業者の留意事項
  機械設備等製造業者は、騒音源となる機械設備等について、設計及び製造段階からの低騒音化に努め
 るとともに、騒音レベルに関する情報を公表することが望ましい。

5 労働衛生管理体制
 (1) 騒音障害防止対策の管理者の選任
   事業者は、衛生管理者、安全衛生推進者等から騒音障害防止対策の管理者(以下「管理者」という。)
  を選任し、本ガイドラインで定める事項に取り組ませること。
 (2) 元方事業者の責務
   建設工事現場等において、元方事業者は、関係請負人が本ガイドラインで定める事項を適切に実施
  できるよう、指導・援助を行うこと。

6 作業環境管理
 (1) 別表第1に掲げる作業場
  ア 事業者は、別紙1「作業環境測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、評価、措置及
   び記録を行うこと。
  イ 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、施設、設備、作業工程又は作業
   方法を変更した場合は、その都度、測定すること。
 (2) 別表第2に掲げる作業場
  ア 屋内作業場
   (ア) 事業者は、別紙1「作業環境測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、評価、措
     置及び記録を行うこと。
   (イ) 騒音源が移動する場合等においては、(ア)に代えて、別紙3「個人ばく露測定による等価騒
     音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことができる。
   (ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、第T管理区分に区分され
     ることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所については、
     当該定期に行う測定を省略することができる。
   (エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、
     測定を行うこと。
  イ 坑内の作業場
   (ア) 事業者は、別紙2「定点測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録
     を行うこと。
   (イ) 騒音源が移動する場合等においては、(ア)に代えて、別紙3「個人ばく露測定による等価騒
     音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことができる。
   (ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、等価騒音レベルが継続的
     に85dB未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。
   (エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、
     測定を行うこと。
  ウ 屋外作業場
   (ア) 事業者は、別紙2「定点測定による等価騒音レベルの測定」又は別紙3「個人ばく露測定に
     よる等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うこと。
   (イ) 地面の上に騒音源があって、周辺に建物や壁等がない場所については、(ア)に代えて、別
     紙4「等価騒音レベルの推計」に基づき、騒音レベルを推計し、その推計値を測定値とみなし
     て、措置及び記録を行うことができる。
   (ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、等価騒音レベルが継続的
     に85dB未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。
   (エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、
     測定を行うこと。

7 作業管理
 (1) 聴覚保護具の使用
  ア 事業者は、聴覚保護具については、日本産業規格(JIS)T8161-1 に規定する試験方法により測定
   された遮音値を目安に、必要かつ十分な遮音値のものを選定すること。
    なお、危険作業等において安全確保のために周囲の音を聞く必要がある場合や会話の必要がある
   場合は、遮音値が必要以上に大きい聴覚保護具を選定しないよう配慮すること。
  イ 事業者は、管理者に、労働者に対し聴覚保護具の正しい使用方法を指導させた上で、目視等によ
   り正しく使用されていることを確認すること。
 (2) 作業時間の管理
   事業者は、作業環境を改善するための措置を講じた結果、第T管理区分とならない場合又は等価騒
  音レベルが85dB未満とならない場合は、次の表を参考に、労働者が騒音作業に従事する時間の短縮を
  検討すること。
表 等価騒音レベル(A特性音圧レベル)による許容基準
等価騒音レベル(dB) 85 86 87 88 89 90 91 92
1日のばく露時間 8時間
00分
6時間
20分
5時間
02分
4時間
00分
3時間
10分
2時間
30分
2時間
00分
1時間
35分
等価騒音レベル(dB) 93 94 95 96 97 98 99 100
1日のばく露時間 1時間
15分
1時間
00分
0時間
47分
0時間
37分
0時間
30分
0時間
23分
0時間
18分
0時間
15分
  ※ 日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告(2022年度)」の中の、VI.騒音の許容基準にある、「表
   V1-2.騒音レベル(A特性音圧レベル)による許容基準」の一部抜粋

8 健康管理
 (1) 騒音健康診断
  ア 雇入時等健康診断
    事業者は、騒音作業に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの
   際に、次の項目について、医師による健康診断を行うこと。
   ① 既往歴の調査
   ② 業務歴の調査
   ③ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
   ④ オージオメータによる250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、
    6,000ヘルツ及び8,000ヘルツにおける聴力の検査
   ⑤ その他医師が必要と認める検査
  イ 定期健康診断
    事業者は、騒音作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、次の項目につい
   て、医師による健康診断を行うこと。ただし、第T管理区分に区分されることが継続している場所
   又は等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所において業務に従事する労働者については、
   省略することができる。
   ① 既往歴の調査
   ② 業務歴の調査
   ③ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
   ④ オージオメータによる1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査(1,000ヘルツにつ
    いては30dB、4,000ヘルツについては25dB及び30dBの音圧での検査)
    事業者は、上記の定期健康診断の結果、30dBの音圧での検査で異常が認められる者その他医師
   が必要と認める者については、次の項目について、医師による二次検査を行うこと。なお、雇入時
   等健康診断又は過去の二次検査の結果、前駆期の症状が認められる者及び聴力低下が認められる者
   については、上記④の選別聴力検査を省略して、二次検査を行うこととして差し支えない。
   ① オージオメータによる250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、
    6,000ヘルツ及び8,000ヘルツにおける聴力の検査
   ② その他医師が必要と認める検査
 (2) 騒音健康診断結果に基づく事後措置
   事業者は、健康診断の結果の評価に基づき、次に掲げる措置を講ずること。
  ア 前駆期の症状が認められる者及び軽度の聴力低下が認められる者に対しては、第U管理区分に区
   分された場所又は等価騒音レベルが85dB以上90dB未満である場所においても、聴覚保護具を使用
   させるほか、必要な措置
  イ 中等度以上の聴力低下が認められる者に対しては、聴覚保護具を使用させるほか、騒音作業に従
   事する時間の短縮、配置転換その他必要な措置
 (3) 騒音健康診断結果の記録及び報告
   事業者は、健康診断を実施したときは、その結果を記録し、5年間保存すること。
   また、定期健康診断については、実施後遅滞なく、その結果を所轄労働基準監督署長に報告するこ
  と。

9 労働衛生教育
 (1) 管理者に対する労働衛生教育
   事業者は、管理者を選任しようとするときは、当該者に対し、次の科目について労働衛生教育を行
  うこと。
  ① 騒音の人体に及ぼす影響
  ② 適正な作業環境の確保と維持管理
  ③ 聴覚保護具の使用及び作業方法の改善
  ④ 関係法令等
 (2) 騒音作業に従事する労働者に対する労働衛生教育
   事業者は、騒音作業に労働者を常時従事させようとするときは、当該労働者に対し、次の科目につ
  いて労働衛生教育を行うこと。ただし、第T管理区分に区分されることが継続している場所又は等価
  騒音レベルが継続的に85dB未満である場所において業務に従事する労働者については、当該教育を
  省略することができる。
  ① 騒音の人体に及ぼす影響
  ② 聴覚保護具の使用

10 計画の届出
  事業者は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第88条の規定に基づく計画の届出を行う場合にお
 いて、当該計画が別表第1又は別表第2に掲げる作業場に係るものであるときは、届出に騒音障害防止
 対策の概要を示す書面又は図面を添付すること。
	



騒音障害防止のためのガイドラインの解説