安全衛生情報センター
第2 本件疾病について 本件労働者らは、咳や呼吸困難を主訴に、あるいは自覚症状はないものの健康診断において異 常所見を指摘されたこと等を契機に医療機関を受診し、臨床所見等から間質性肺炎、肺障害など の肺疾患と診断されている。また、本件労働者らは、全員男性であり、いずれも若年で発症して いる。 本件労働者らの胸部画像所見では、肺の収縮性変化並びに牽引性気管支拡張、肺野のすりガラ ス陰影並びに小粒状影(多くは小葉中心性)、末梢気道閉塞によるエアートラッピングを思わせる 胸膜直下の気腔拡大とブラ形成、ブラ破綻が原因と思われる気胸併発、葉間を含む胸膜肥厚、な どの多様な所見が認められる。 当該所見は、これまで報告されている粉じんばく露に起因する肺疾患(様々なじん肺症)とは異 なる画像分布を示しており、多彩な病態を呈するものであるが、各症例とも亜急性の経過を辿っ ており、かつ、気道周囲の病変が主体であることから、本検討会では、本件症例を「呼吸器疾患」 と定義付けるのが妥当と考えた。
出典:「架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんの製造事業場で発生した肺障害の業務上 外に関する検討会」報告書(平成31年4月)