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(別添2及び別添3の記以下)

1 オルト−トルイジン等に係る特殊健康診断について
 (1) 対象者(特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第39条第
   1項から第3項まで関係)
   事業者は、(ア)オルト−トルイジン及びこれを重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下
  「オルト−トルイジン等」という。)を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者(以下「オル
  ト−トルイジン等業務従事労働者」という。)及び(イ)これらの業務に常時従事させたことのある労
  働者で、現に使用しているもの(以下「オルト−トルイジン等配置転換後労働者」という。)に対し、
  特化則第39条第1項及び第2項に基づき特殊健康診断(いわゆる「一次健康診断」)を実施しなければな
  らないこと。
   また、事業者は、これらの者に対する特殊健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を
  訴える者その他異常の疑いがある者で、医師が必要と認めるものに対し、特殊健康診断(いわゆる
  「二次健康診断」)を行わなければならないこと。

 (2) 実施頻度(特化則第39条第1項及び第2項関係)
   オルト−トルイジン等業務従事労働者に対しては、雇入れの際又は当該業務への配置替えの際及び
  その後6月以内ごとに1回、定期に、特殊健康診断を実施しなければならないこと。
   また、オルト−トルイジン等配置転換後労働者に対しては、6月以内ごとに1回、定期に、特殊健康
  診断を実施しなければならないこと。

 (3) 検査項目(特化則別表第3及び別表第4関係)
   オルト−トルイジン等に係る特殊健康診断の項目は別表1のとおり。
   なお、オルト−トルイジンについては、ヒトに対する尿路系の障害(腫瘍等)、溶血性貧血、メトヘ
  モグロビン血症等を引き起こす可能性が指摘されたことを踏まえ、これらの健康障害を予防・早期発
  見するための項目を規定していること。

 (4) 各検査項目の趣旨等
  ア 特化則別表第3(いわゆる「一次健康診断」)関係
   ① 「業務の経歴の調査」は、オルト−トルイジン等を製造し、又は取り扱う業務について聴取す
    るものであり、オルト−トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるものに限る
    ものであること。
     ただし、オルト−トルイジン等配置転換後労働者がオルト−トルイジン改正省令の施行日以降
    に初めて受ける健康診断が、法第66条第2項後段に規定する配置転換後健康診断に当たる場合に
    は、当該健康診断の際に「業務の経歴の調査」を行うことが望ましいこと。
   ② 「作業条件の簡易な調査」は、労働者のオルト−トルイジンへのばく露状況の概要を把握する
    ため、前回の特殊健康診断以降の作業条件の変化、環境中のオルト−トルイジンの濃度に関する
    情報、作業時間、ばく露の頻度、オルト−トルイジンの蒸気の発散源からの距離、保護具の使用
    状況等について、医師が主に当該労働者から聴取することにより調査するものであること。この
    うち、環境中のオルト−トルイジンの濃度に関する情報の収集については、当該労働者から聴取
    する方法のほか、衛生管理者等から作業環境測定の結果等をあらかじめ聴取する方法があること。
     なお、この項目については、オルト−トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断にお
    けるものに限るものであるが、オルト−トルイジン等配置転換後労働者への取扱いについては、
    上記@と同様であること。
   ③ 「オルト−トルイジンによる頭重、頭痛、めまい、倦(けん)怠感、疲労感、顔面蒼(そう)白、
    チアノーゼ、心悸(き)亢(こう)進、尿の着色、血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の
    既往歴の有無の査」は、オルト−トルイジンにより生じるこれらの症状の既往歴の有無の検査を
    いうこと。このうち「既往歴」とは、雇入れの際又は配置替えの際の健康診断にあってはその時
    までの症状を、定期の健康診断にあっては前回の健康診断以降の症状をいうこと。
     また、喫煙は尿路系腫瘍の原因の一つであることや、喫煙によりオルト−トルイジンにばく露
    することが知られていることから、オルト−トルイジンによる健康影響やばく露状況の評価の参
    考とするため、喫煙歴についても聴取することが望ましい。
     なお、これらの症状のうち「頭重、頭痛、めまい、倦(けん)怠感、疲労感、顔面蒼(そう)白、
    チアノーゼ、心悸(き)亢(こう)進、尿の着色」等の急性の疾患に係る症状については、オルト−
    トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるものに限るものであること。
   ④ 「頭重、頭痛、めまい、倦(けん)怠感、疲労感、顔面蒼(そう)白、チアノーゼ、心悸(き)亢
    (こう)進、尿の着色、血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査」は、オルト
    −トルイジンにより生じるこれらの症状の有無の検査をいうこと。
     なお、これらの症状のうち「頭重、頭痛、めまい、倦(けん)怠感、疲労感、顔面蒼(そう)白、
    チアノーゼ、心悸(き)亢(こう)進、尿の着色」等の急性の疾患に係る症状については、オルト−
    トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるものに限るものであること。
   ⑤ 「尿中の潜血検査」は、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)等の尿路系の障害(腫瘍等)及び溶血性貧
    血を把握するための検査であり、試験紙法によるものをさすこと。
   ⑥ 「尿中のオルト−トルイジンの量の検査」は、医師が必要と認める場合に行う検査であり、オ
    ルト−トルイジンのばく露状況を把握するための検査であること。
     なお、オルト−トルイジンは経皮吸収性があり、作業環境測定のみでは労働者のばく露状況の
    把握が不十分であることから、この項目についても、作業条件の簡易な調査、他覚症状及び自覚
    症状の有無の検査等の結果を踏まえて、できるだけ実施することが望ましいこと。
     また、オルト−トルイジンの体外への排泄速度を考慮すると、尿の採取時期は、連続する作業
    日のうちの後半の作業日の作業終了時に行うことが望ましいこと。
     さらに、この項目については、オルト−トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断に
    おけるものに限るものであること。
   ⑦ 「尿沈渣(さ)検鏡の検査」と「尿沈渣(さ)のパパニコラ法による細胞診の検査」は、医師が必
    要と認める場合に行う検査であり、いずれも尿路系の障害(腫瘍等)を把握するために行う検査で
    あること。
  イ 特化則別表第4(いわゆる「二次健康診断」)関係
   ① 「作業条件の調査」は、労働者のオルト−トルイジンへのばく露状況の詳細について、当該労
    働者、衛生管理者、作業主任者等の関係者から聴取することにより調査するものであること。
     なお、この項目は、オルト−トルイジン等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるもの
    に限るものであること。
   ② 「膀胱(ぼうこう)鏡検査」と「腹部の超音波による検査、尿路造影検査等の画像検査」は、医
    師が必要と認める場合に行う検査であり、いずれも尿路系腫瘍を把握するための検査であること。
     なお、膀胱(ぼうこう)鏡検査は内視鏡検査の一種であり、膀胱(ぼうこう)鏡には軟性のものと
    硬性のものがあるところ、いわゆるファイバースコープは、軟性の膀胱(ぼうこう)鏡をさしてお
    り、膀胱(ぼうこう)鏡検査にはファイバースコープによる検査が含まれること。
     また、画像検査には、腹部の超音波による検査や尿路造影検査のほか、造影剤を用いないエッ
    クス線撮影による検査等があり、さらに、尿路造影検査の撮影方法としては、エックス線直接撮
    影やコンピュータ断層撮影(CT)があること。
   ③ 「赤血球数、網状赤血球数、メトヘモグロビンの量等の赤血球系の血液検査」は、医師が必要
    と認める場合に行う検査であり、オルト−トルイジンによる溶血性貧血、メトヘモグロビン血症
    等の血液学的異常を把握するための検査であること。
     なお、これらの症状は急性のものであることから、この項目は、オルト−トルイジン等業務従
    事労働者に対して行う健康診断におけるものに限るものであること。
  ウ 「医師が必要と認める場合」に行う検査項目の実施の要否の判断についてオルト−トルイジンに
   ついては、一次健康診断及び二次健康診断のそれぞれにおける項目に「医師が必要と認める場合」
   に行う検査項目を規定したが、それぞれの検査項目の実施の要否は、次により医師が判断すること。
   また、この場合の「医師」は、健康診断を実施する医師、事業場の産業医、産業医の選任義務のな
   い労働者数50人未満の事業場において健康管理を行う医師等があること。
   ① 一次健康診断における「医師が必要と認める場合」に行う検査項目一次健康診断における必須
    項目(業務の経歴の調査、作業条件の簡易な調査、他覚症状及び自覚症状の既往歴の有無の検査、
    他覚症状及び自覚症状の有無の検査等)の結果、前回までの当該物質に係る健康診断の結果等を
    踏まえて、当該検査項目の実施の要否を判断すること。
   ② 二次健康診断における「医師が必要と認める場合」に行う検査項目一次健康診断の結果、前回
    までの当該物質に係る健康診断の結果等を踏まえて、当該検査項目の実施の要否を判断すること。

 (5) 健康診断の結果の記録(特化則40条関係)
   事業者は、「特定化学物質健康診断個人票」(特化則様式第2号)を作成し、これを30年間保管しな
  ければならないこととなっているが、事業者の依頼により、健康診断を実施した者が個人票を作成し
  ても差し支えないこと。
 (6) 施行期日
   平成29年1月1日から施行していること。

2 MOCA等に係る特殊健康診断について
 (1) 対象者(特化則第39条第1項から第3項まで関係)
   事業者は、(ア)MOCA及びこれを重量の1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「MOCA等」とい
  う。)を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者(以下「MOCA等業務従事労働者」という。)
  及び(イ)これらの業務に常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているもの(以下「MOCA等
  配置転換後労働者」という。)に対し、特化則第39条第1項及び第2項に基づき特殊健康診断(いわゆる
  「一次健康診断」)を実施しなければならないこと。
   また、事業者は、これらの者に対する特殊健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を
  訴える者その他異常の疑いがある者で、医師が必要と認めるものに対し、特殊健康診断(いわゆる
  「二次健康診断」)を行わなければならないこと。

 (2) 実施頻度(特化則第39条関係)
   MOCA等業務従事労働者に対しては、雇入れの際又は当該業務への配置替えの際及びその後6月以内
  ごとに1回、定期に、特殊健康診断を実施しなければならないこと。
   また、MOCA等配置転換後労働者に対しては、6月以内ごとに1回、定期に、特殊健康診断を実施しな
  ければならないこと。
 (3) 検査項目(特化則別表第3及び別表第4関係)
   MOCA等に係る特殊健康診断の項目は別表2のとおり。
   なお、MOCAに係る特殊健康診断の項目については、これまで、呼吸器系の障害(腫瘍等)、消化器系
  の障害、腎臓の障害等を予防・早期発見するための項目を規定してきたが、膀胱がん発症事案や、国
  際がん研究機関(IARC)等におけるMOCAはヒトに対して尿路系の障害(腫瘍等)を引き起こす可能性があ
  るとの指摘を踏まえて、健康診断項目について専門家による検討を行い、膀胱がん等の尿路系の障害
  (腫瘍等)を予防・早期発見するための項目を追加したものであること。
 (4) 各検査項目の趣旨等
  ア 別表第3(いわゆる「一次健康診断」)関係
    ① 「業務の経歴の調査」は、MOCA等を製造し、又は取り扱う業務について聴取するものである
     こと。
      なお、本項目はMOCA改正省令により、MOCA等業務従事労働者に対して行う健康診断における
     ものに限ることとしたものであること。
    ② 「作業条件の簡易な調査」は、労働者のMOCAへのばく露状況の概要を把握するため、前回の
     特殊健康診断以降の作業条件の変化、環境中のMOCAの濃度に関する情報、作業時間、ばく露の
     頻度、MOCAの蒸気等の発散源からの距離、保護具の使用状況等について、医師が主に当該労働
     者から聴取することにより調査するものであること。このうち、環境中のMOCAの濃度に関する
     情報の収集については、当該労働者から聴取する方法のほか、衛生管理者等から作業環境測定
     の結果等をあらかじめ聴取する方法があること。
      なお、本項目は、MOCA等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるものに限るものであ
     り、MOCA改正省令により追加した項目であること。
    ③ 「MOCAによる腹部の異常感、倦(けん)怠感、せき、たん、胸痛、血尿、頻尿、排尿痛等の他
     覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査」は、MOCAにより生じるこれらの症状の既往歴の有
     無の検査をいうこと。このうち「既往歴」とは、雇入れの際又は配置替えの際の健康診断にあ
     ってはその時までの症状を、定期の健康診断にあっては前回の健康診断以降の症状をいうこと。
      また、喫煙は尿路系腫瘍の原因の一つであることから、MOCAによる健康影響やばく露状況の
     評価の参考とするため、喫煙歴についても聴取することが望ましいこと。
      なお、これらの症状のうち、「頻尿」及び「排尿痛」は、MOCA改正省令により追加したもの
     であること。
    ④ 「腹部の異常感、倦(けん)怠感、せき、たん、胸痛、血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は
     自覚症状の有無の検査」は、MOCAにより生じるこれらの症状の有無の検査をいうこと。
      なお、これらの症状のうち、「頻尿」及び「排尿痛」は、MOCA改正省令により追加したもの
     であること。
    ⑤ 「尿中の潜血検査」は、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)等の尿路系の障害(腫瘍等)を把握する
     ための検査であり、試験紙法によるものをさすこと。
      なお、本項目は、MOCA改正省令により追加した項目であること。
    ⑥ 「尿中のMOCAの量の測定」は、医師が必要と認める場合に行う、MOCAのばく露状況を把握す
     るための検査であること。
      なお、MOCAは経皮吸収性があり、作業環境測定のみでは労働者のばく露状況の把握が不十分
     であることから、本項目についても、作業条件の簡易な調査、他覚症状及び自覚症状の有無の
     検査等の結果を踏まえて、できるだけ実施することが望ましいこと。
      また、MOCAの体外への排泄速度を考慮すると、尿の採取時期は、連続する作業日のうちの最
     終日の作業終了時に行うことが望ましいこと。
      さらに、本項目は、MOCA等業務従事労働者に対して行う健康診断におけるものに限るもので
     あり、MOCA改正省令により追加した項目であること。
    ⑦ 「尿沈渣(さ)検鏡の検査」及び「尿沈渣(さ)のパパニコラ法による細胞診の検査」は、いず
     れも医師が必要と認める場合に行う、尿路系の障害(腫瘍等)を把握するために行う検査である
     こと。
      なお、本項目は、MOCA改正省令により追加した項目であること。
    ⑧ 「肝機能検査」は、肝臓の障害を把握するために行うものであり、血清グルタミックオキサ
     ロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GP
     T)及び血清ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP)の検査等があること。
      なお、本項目は、これまで一次健康診断の必須項目であったが、MOCA改正省令により、一次
     健康診断において医師が必要と認める場合に行う項目に変更されたこと。
    ⑨ 「腎機能検査」は、腎臓の障害を把握するために行うものであり、尿中蛋白量、尿中糖量、
     尿比重、血清クレアチニン量等の検査があること。
      なお、本項目は、これまで二次健康診断において医師が必要と認める場合に行う項目であっ
     たが、MOCA改正省令により、一次健康診断において医師が必要と認める場合に行う項目に変更
     したものであること。
  イ 別表第4(いわゆる「二次健康診断」)関係
    ① 「作業条件の調査」は、労働者のMOCAへのばく露状況の詳細について、当該労働者、衛生管
     理者、作業主任者等の関係者から聴取することにより調査するものであること。
      なお、本項目は、MOCA改正省令により、MOCA等業務従事労働者に対して行う健康診断におけ
     るものに限ることとしたものであること。
    ② 「膀胱(ぼうこう)鏡検査」及び「腹部の超音波による検査、尿路造影検査等の画像検査」は、
     いずれも医師が必要と認める場合に行う、尿路系腫瘍を把握するための検査であること。
      なお、膀胱(ぼうこう)鏡検査は内視鏡検査の一種であり、膀胱(ぼうこう)鏡には軟性のもの
     と硬性のものが存在するところ、いわゆるファイバースコープは、軟性の膀胱(ぼうこう)鏡を
     さしており、膀胱(ぼうこう)鏡検査にはファイバースコープによる検査が含まれること。
      また、画像検査には、腹部の超音波による検査や尿路造影検査のほか、造影剤を用いないエ
     ックス線撮影による検査等があり、さらに、尿路造影検査の撮影方法としては、エックス線直
     接撮影やコンピュータ断層撮影(CT)があること。
      さらに、本項目は、MOCA改正省令により追加した項目であること。
    ③ 「胸部のエックス線直接撮影若しくは特殊なエックス線撮影による検査、喀痰の細胞診又は
     気管支鏡検査」は、いずれも医師が必要と認める場合に行う、呼吸器系の障害(腫瘍等)を把握
     するための検査であること。
      また、これらのうち、「特殊なエックス線撮影による検査」は、コンピュータ断層撮影(CT)
     による検査等をいうこと。
  ウ 「医師が必要と認める場合」に行う検査項目の実施の要否の判断について
    MOCAについては、一次健康診断及び二次健康診断のそれぞれにおける項目に「医師が必要と認め
   る場合」に行う検査項目を規定したが、それぞれの検査項目の実施の要否を判断する方法は、オル
   ト−トルイジン等に係る特殊健康診断と同様であること。

 (5) 健康診断の結果の記録(特化則40条関係)
   オルト−トルイジン等に係る特殊健康診断と同様であること。

 (6) 施行期日
   平成29年4月1日から施行すること。