別添1

「胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影」に係る画像例及び読影における留意点等(平成24年3月29日 基発0329第2号により廃止)

1 「胸部正面エックス線写真により胸膜プラークと判断できる明らかな陰影」に係る画像例
 (1) 「両側又は片側の横隔膜に、太い線状又は斑状の石灰化陰影が認められ、肋横角の消失を伴わな
   いもの。」に係るもの―図1及び写真1、2
  図1 典型的な種々の横隔膜部石灰化像
  参考写真1 典型的石灰化胸膜プラークの一例
  両側横隔膜に太い線状の石灰化陰影が認められ、肋横角は消失していない。
 参考写真2 写真1の右拡大図
 (2) 「両側側胸壁の第6から第10肋骨内側に、石灰化の有無を問わず非対称性の限局性胸膜肥厚陰影が
   認められ、肋横角の消失を伴わないもの。」に係るもの―写真3、4
 参考写真3 側胸部にみられる非石灰化胸膜プラーク例
  両側側胸壁の第6から第10肋骨内側に、石灰化の有無を問わず非対称性の限局性胸膜肥厚陰影が認め
  られ、肋横角の消失を伴わない。
 参考写真4 写真3の右拡大図
2 胸部CT画像における胸膜プラークの広がりに関する計測方法
  胸部CT画像での胸膜プラークの広がりは、左右いずれか一側の胸部CT画像において最も広範囲に胸膜
 プラークが描出されたスライスを選択し、胸壁内側の長さを4等分し、胸膜プラークの広がりが1/4以
 上であるか否かを計測する。一側胸壁の範囲は、腹側は胸骨縁から背側は肋骨起始部に至るまでの胸壁
 内側とする(写真5)。胸膜プラークが複数ある場合(同一スライスで縦隔胸膜に認められる胸膜プラーク
 を含む。)は、各胸膜プラークの範囲を合計する(写真6)。
 参考写真5 胸膜プラークのCT画像における胸壁内側の拡がりの測定法
  胸壁内側の長さの4等分を示す。
 参考写真6 CT画像における胸膜プラークの広がりの実測例
  胸膜プラークの広がりが、同一スライスの胸壁内側の長さの1/4以上か否かを計測する。この例では、
 4個の胸膜プラーク(写真中に図示)を合計した範囲は1/4以上と判断される。
3 胸部画像の撮像条件及び胸膜プラークの読影における留意点
 (1) 胸部正面エックス線写真及び胸部CTの撮像条件について
   胸部正面エックス線写真は、じん肺健康診断における撮影条件(じん肺診査ハンドブック)に基づい
  て適切な条件のもとに撮影されたもので読影に供されるべきである。DR写真、CR写真については、「じ
  ん肺健康診断及びじん肺管理区分の決定におけるDR(FPD)写真及びCR写真の取扱い等について」の一部
  改正について(基安労発1216第1号、平成22年12月16日)及び「じん肺健康診断及びじん肺管理区分の
  決定におけるDR(FPD)写真及びCR写真の取扱い等について」の一部改正について(基安労発0926第3号、
  平成23年9月26日)に基づいて撮像されたものであること。
   胸部CTは、背臥位又は腹臥位で深吸気位にて撮像する。画像は、できれば5mm幅、5mm間隔が望まし
  い。機種にもよるが、おおむね肺野条件(window level−600〜−700HU、window幅1,000〜2,000HU)
  と縦隔条件(window leve10〜50HU、window幅300〜500HU)の範囲内で、使用する機器に応じた条件で
  表示する。胸膜プラークが疑われる場合には、可能な限り高分解能CT(HRCT)を行うのが望ましい。な
  お、早期の石綿肺の検出には腹臥位がよい。
 (2) 胸膜プラーク読影における留意点
   胸膜プラークは、石綿ばく露に起因する壁側胸膜の線維性組織の増生からなる変化で、限局性の平
  板状隆起を示す。通常は両側に多発するが、肺尖部や肋横角部近辺にはみられない。
   胸部正面エックス線写真で肋横角の消失がある場合には、結核性胸膜炎や膿胸などの胸膜疾患の後
  遺症の可能性がある。このため、肋横角の消失がある側では胸膜プラークの有無についての診断は行
  わない。
   胸部正面エックス線写真での側胸壁内側の胸膜肥厚所見については、胸筋による陰影、胸膜下脂肪
  組織による陰影、肋骨随伴陰影(肋間筋、脂肪組織)との鑑別が必要である。これらは、両側で左右対
  称性の陰影として描出される場合が多い。また、古い肋骨々折後の化骨像や胸壁腫瘍などが胸膜プラ
  ークと混同される場合がある。胸膜プラークによる側胸壁内側の胸膜肥厚は、限局性で左右の形状は
  非対称性であり、内部に石灰化を伴う場合もある。
   胸部CT画像上の胸膜プラークは、壁側胸膜の限局性肥厚を示す所見である。縦隔条件で肥厚の境界
  部が明らかで、かつ、肥厚部分の陰影濃度(CT値)が胸筋と比べて同等又はそれ以上であることが確認
  できるものとする。また、縦隔条件ばかりでなく肺野条件も用いて肺野の変化に伴う胸膜の肥厚でな
  いことを確認する。胸膜プラークと紛らわしい脂肪や肋間静脈の肥厚像を例示する(写真7,8)。
  参考写真7 胸膜プラークと見誤りやすいものの一例(脂肪)
  参考写真8 胸膜プラークと見誤りやすいものの一例(肋間静脈)




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