既設下水道管に新設下水道管を接続する下水道工事における災害
1 発生年月 平成16年10月
2 発生場所 東京都港区
3 発生状況(図)
本工事は、地域浸水対策として、既設下水道管につなげる下水道管の新設工事であり、シールドト
ンネルを掘削して構築するものである。
シールド機が既設下水道管に達し、接合が完了した後は、既設下水道管から下水が流入してこない
よう仕切として接合部分に鋼製の隔壁を設置した上で作業を行っていた。
災害発生当日は、台風接近の気象予報が報じられていたこともあり、既設下水道管からの漏水に備
えて、隔壁の設計水位である既設下水道管の管頂までの水位上昇を想定し、作業用機材を工事中の新
設下水道管上流側(発進立坑方向)に移動させた。
その後、被災者が新設下水道管内で排水施設を点検していたところ、台風による集中豪雨により溢
れた雨水が既設下水道管に流入し、既設下水道管付設の立坑中の水位も上昇したため、接合部分に設
置された鋼製の隔壁が水圧によって破壊し、被災者が濁流に巻き込まれて死亡した。
4 被災状況 死亡1名
5 隔壁破壊の原因
隔壁の設計水位を既設下水道管の管頂としたことにより、短期間の集中豪雨で水位が管頂を超えた
ために、水平断面積の小さい立坑中の水位が急上昇し、隔壁の耐力を超える水圧が隔壁に作用したこ
とが隔壁の破壊の原因と推定される。