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別添

                                     基安化発第0921001号
                                       平成16年9月21日

 
別記の関係団体の長 殿

                               厚生労働省労働基準局安全衛生部
                                      化学物質対策課長


           アーク溶接作業における一酸化炭素中毒の防止について


 安全衛生行政の推進につきましては、平素より御理解、御協力をいただき厚く御礼申し上げます。
 さて、化学物質による健康障害の発生は後を絶たず、中でも一酸化炭素中毒災害は大きな割合を占めて
いることから、第10次の労働災害防止計画においてもその撲滅を目標の一つに掲げているところでありま
す。
 アーク溶接作業におきましても、アーク熱による炭酸ガスの熱分解や溶接面での炭素の燃焼により一酸
化炭素が発生することが知られており、特に炭酸ガスをシールドガスとして用いるアーク溶接においては
より多くの一酸化炭素が発生するとされており、通風の不十分な場所における作業では発生した一酸化炭
素が蓄積し作業者に健康障害の発生するおそれがある旨の研究結果が発表されております。
 また、別紙のとおり、平成10年には炭酸ガスアーク溶接作業における一酸化炭素中毒が発生したほか、
平成14年には炭酸ガスアーク溶接よりも一酸化炭素の発生量が少ないとみられる被覆アーク溶接作業にお
いて一酸化炭素中毒の疑いがあると診断された事例、平成15年には通風が不十分な屋内作業場での炭酸ガ
スアーク溶接作業において一酸化炭素中毒が発生しております。
 もとより、タンク、ボイラー又は反応塔の内部その他通風が不十分な場所(以下「タンク内等」という。)
において炭酸ガス、アルゴン等の不活性ガスを使用したアーク溶接を行う際には、酸素欠乏症等防止規則
(昭和47年労働省令第42号。以下「酸欠則」という。)第21条第1項の規定により換気又は空気呼吸器等の呼
吸用保護具の使用が義務づけられているところではありますが、被覆アーク溶接も含め、これらに一酸化炭
素中毒防止の観点を加えた下記事項について会員事業場に周知徹底していただくようお願いいたします。


                       記


1 タンク内等においてアーク溶接を行い、又は通風が不十分な屋内作業場においてアーク溶接を行う場合
 には、換気を行うことにより作業場所の空気中の一酸化炭素濃度を日本産業衛生学会で示されている許容
 濃度である50ppm以下に保つこと。
  なお、換気を行うことが困難な場合にあっては、労働者に一酸化炭素用防じん機能付き防毒マスク、酸
 素呼吸器、空気呼吸器又は送気マスクを使用させること。

2 アーク溶接作業のうち、タンク内等において炭酸ガス、アルゴン又はヘリウムをシールドガスとして使
 用するアーク溶接を行う場合には、酸欠則第21条第1項第1号の規定に基づき、作業場所の空気中の酸素濃
 度を18%以上に保つように換気するとともに、一酸化炭素濃度を日本産業衛生学会で示されている許容濃
 度である50ppm以下に保つこと。
  なお、タンク内等の換気を行うことが困難な場合にあっては、酸欠則第21条第1項第2号の規定に基づき、
 労働者に酸素呼吸器、空気呼吸器又は送気マスクを使用させること。

3 アーク溶接に関する特別教育については、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第4条
 「アーク溶接等の業務に係る特別教育」が規定されているところであり、一酸化炭素中毒及び酸素欠乏症
 の防止に関する事項についても災害防止に関する学科教育の中で教育を実施すること。
  また、アーク溶接に関する特別教育を既に修了した労働者のうち、タンク内等においてアーク溶接を行
 い、又は通風が不十分な屋内作業場においてアーク溶接を行う者に対しても、一酸化炭素中毒及び酸素欠
 乏症の防止に関する事項について、災害事例を含めた再教育を行うよう努めること。