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別添2

小規模雑居ビルにおける関係法令の適用の概要


1 消防法
(1) 防火管理者(法第8条)
防火管理者の選任が必要な防火対象物は、次のとおり病院や工場、百貨店などの用途に応じ建物内に勤務する人や出入りする人の数(収容人員)によって、定められている。

○特定防火対象物で収容人員が30人以上のもの
劇場や百貨店、旅館、ホテル、病院など、不特定多数の人が出入りする特定防火対象物は、火災発生の際の危険も大きいため、収容人員が30人以上の場合に防火管理者を選任しなければならない。

○非特定防火対象物で収容人員が50人以上のもの
図書館や工場、駐車場、倉庫など特定防火対象物以外の防火対象物(非特定防火対象物)は、収容人員が50人以上の場合に防火管理者を選任しなければならない。

○防火管理者の行う業務
消防計画の作成
消火、通報及び避難訓練の実施
消防用設備等の点検及び整備
火気の使用又は取扱いに関する監督
避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
収容人員の管理
その他防火管理上必要な業務

(2) 共同防火管理(法第8条の2)
さまざまな事業所がテナントとして入居している雑居ビルなどでは、複数の管理権原者が共同で防火管理に当たらせることとし、各管理権原者が予め防火管理上必要なことがらを協議し、共同して防火管理をすすめていくことが、法第8条の2で義務づけられている。

○共同防火管理協議会
ビルの所有者などを代表とし、各テナントの社長等(管理権原者)によって構成された共同防火管理協議会を設置し、ビル全体の防火管理を共同で進めるための協議事項を定め、消防署へ届出ること。

○統括防火管理者
統括防火管理者は、共同防火管理協議事項に定めるビル全体の消防計画を作成し、各テナントの防火管理者は全体の消防計画に基づいて個々のテナントの役割に応じた消防計画を作成すること。

○共同防火管理協議事項
協議会の設置と運用 、代表者の選任、統括防火管理者の選任と権限の付与
避難施設などの維持管理 、ビル全体の消防計画作成
消防隊への情報提供と誘導 、火災発生時の自衛消防活動
自衛消防隊の組織と運営

(3) 消防用設備等の設置・維持(法第17条)
一定の規模以上の防火対象物は、その用途・規模・構造等に応じて、消防用設備等の設置・維持が義務づけられている。
具体的には、消防用設備等(「消火設備」「警報設備」「避難設備」「消防用水」及び「消火活動上必要な施設」に大別される。)のそれぞれの種類のものについて、防火対象物の用途ごとに、面積又は収容人員による規模、危険物の有無、建築物の構造及び階層に応じてそれぞれ一定の火災危険を想定して、その防火対象物又はその部分につきそれを設置すべき個数、箇所、設置方法、維持の方法などを定めている。
また、これらの設備等の工事又は整備は、消防設備士でなければ行ってはならないこととされている。(以下は例示)

○遊技場等(政令別表第1(二)項ロ)
消火器具(全部)、屋内消火栓設備(700m2:地階・無窓階150m2
スプリンクラー設備(6,000m2:地階・無窓階1,000m2
自動火災報知設備(300m2:地階・無窓階100m2
非常ベル(50人:地階・無窓階20人)、放送設備(300人)、誘導灯(全部)
避難器具(2階以上の階、地階で50人以上・1階段、2階以上で10人以上)

○飲食店(政令別表第1(三)項ロ)
消火器具(150m2:地階・無窓階50m2
屋内消火栓設備(700m2:地階・無窓階150m2
スプリンクラー設備(6,000m2:地階・無窓階1,000m2
自動火災報知設備(300m2:地階・無窓階100m2
非常ベル(50人:地階・無窓階20人)、放送設備(300人)、誘導灯(全部)
避難器具(2階以上の階、地階で50人以上・1階段、2階以上で10人以上)

(4) 消防用設備等の点検及び報告(法第17条の3の3)
消防用設備等の設置が義務付けられている防火対象物については、定期に(半年に1回)消防用設備等の点検を行い、その結果を、特定防火対象物は1年に1回、その他の防火対象物は3年に1回、消防長又は消防署長に報告しなければならない。
また、特定防火対象物で延べ面積1,000m2以上のもの及びその他の防火対象物で延べ面積が1,000m2以上のもののうち消防長又は消防署長が指定したものは、特定の資格を有する者(消防設備士又は消防設備点検資格者)が点検を行わなければならない。

2 建築基準法(施行令)(*新宿歌舞伎町「明星ビル」と同種の小規模ビルの場合)
(1) 階段の防火区画(第112条)
階段は、火災時の煙拡大防止等のため、耐火構造の壁及び防火設備(防火戸等)で区画しなければならない。また、その防火設備は、常時閉鎖状態のものか、火災時に煙感知器と連動して閉鎖するものとしなければならない。

(2) 二以上の避難経路の確保(第121条)
3〜5階が「キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー」の用途に該当する場 合には、各階の床面積にかかわらず、次のいずれかの基準に適合しなければならな い。
・2以上の直通階段を設けること
・屋外避難階段等を設置し、かつ、避難上有効なバルコニー等を設けること

(3) 非常用進入口の設置(第126条の6、第126条の7)
3階以上の階には、消防隊による消火・救助活動のための、非常用の進入口又は これに代わる進入口を設けなければならない。