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 NTPは化学物質のがん原性試験を行うとともに、米国の各省庁が行っている化学物質の毒性研究をまとめ、がん原性物質の分類と米国の規制に関する年報の発行等を行っている。
 NTPテクニカルレポート(NTP technical report series No.490,1999)においては、ラット及びマウスを用いる吸入試験の結果、がん原性について証拠は認められないとされている。
 また、同テクニカルレポートにおけるグルタルアルデヒドの変異原性試験の結果については表1のとおりであり、グルタルアルデヒドはin vitro変異原性試験(培養細胞等を用い、生体外で行われる試験)である微生物を用いる復帰突然変異試験並びにほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験、姉妹染色分体交換試験及び染色体異常試験において変異原性を示したが、in vivo変異原性試験(実験動物に化学物質等を投与し、生体内で行われる試験)の結果は一般的に陰性であったと評価されている。
 なお、平成8年度及び9年度に我が国労働省が実施した微生物を用いる変異原性試験及びほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験はin vitro試験であり、結果は表2のとおりである。

表1 NTPにおけるグルタルアルデヒドに係る変異原性試験の要約
変異原性試験の種類 試験結果
微生物(ネズミチフス菌)を用いる復帰突然変異試験(in vitro) TA100,TA102,TA104の菌株において代謝活性化の有無によらず陽性
マウスリンパ球を用いる遺伝子突然変異試験 (in vitro) 代謝活性化しない場合に陽性
チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いる姉妹染色分体交換試験(in vitro) 代謝活性化の有無によらず陽性
チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いる染色体異常試験(in vitro) 代謝活性化しない場合に弱い陽性
マウスの骨髄細胞を用いる染色体異常試験(in vivo) 陽性
ショウジョウバエを用いる伴性劣性致死試験 (in vivo) 陰性
マウス骨髄の赤血球を用いる小核試験(in vivo) 疑陽性(1回投与) 陰性(3回投与)
マウス末梢血の赤血球を用いる小核試験(in vivo) 陰性

表2 労働省におけるグルタルアルデヒドに係る変異原性試験の要約
変異原性試験の種類 試験結果
微生物(ネズミチフス菌及び大腸菌)を用いる復帰突然変異試験(in vitro) TA98の菌株において代謝活性化しない場合に陽性 (比活性8.21×102revertants/mg)
チャイニーズハムスターの肺由来繊維芽細胞を用いる染色体異常試験(in vitro) 代謝活性化しない場合に陽性 (D20値0.00058 mg/ml)
注1)比活性とは、被験物質単位用量当たりについて、微生物のDNA(デオキシリボ核酸)に対し突然変異を誘発する程度を表したものである。
注2)D20値とは、細胞の20%に染色体異常を誘発する被験物質の濃度を表したものである。