別添

林業の作業現場における緊急連絡体制の整備等のためのガイドライン

                                        基発第461号の3
                                        平成6年7月18日
                                     改正 基発0131第4号
                                        令和2年1月31日

1 目的
  本ガイドラインは、林業の作業現場における緊急時の連絡体制の整備・確立等を促進することにより、
 労働災害の発生時における被災労働者の早急な救護等を図ることを目的とする。

2 本ガイドラインの対象
  本ガイドラインは、伐木、造材、集材、造林等(以下「伐木等」という。)の作業を行う作業現場(以
 下「作業現場」という。)を有する林業の事業者に対して適用する。

3 緊急時における連絡体制等の整備
 (1) 緊急時における連絡の方法等の決定、周知
   事業者は、作業現場の位置、作業内容、作業方法、作業現場に持ち込む通信機器、作業現場で利用
  できる連絡の手段等を勘案し、あらかじめ、緊急時(労働災害の発生時、労働者の所在不明時等をいう。)
  に対処するため必要な次の事項について定めるとともに、その内容を関係労働者に周知させること。
   ア 移動体通信(携帯電話(スマートフォンを含む。)及びPHS(以下「携帯電話等」という。))又は
    無線通信(トランシーバーを含む。以下同じ。)による通信が可能である範囲
   イ 伐木等の作業を個々の労働者が行う場所(以下「作業場所」という。)における作業中の労働者
    相互の連絡の方法
   ウ 緊急時における作業場所と山土場、休憩場所、通信機器設置場所等連絡の際の拠点となる場所
    (以下「山土場等」という。)との連絡の方法
   エ 労働災害発生時における山土場等から事業場の事務所、消防機関等救急機関への連絡の方法
   オ 緊急車両の走行が可能である経路
   カ 労働災害発生時における被災労働者である傷病者(以下「傷病者」という。)が緊急車両に乗車
    することが可能である場所
   キ 傷病者の災害発生場所から山土場等への搬送の方法
   ク 傷病者の山土場等から医療機関までの搬送の方法
   ケ 作業現場に持ち込む傷病者の応急措置に必要な救急用具及び材料(以下「救急用品」という。)
    の内容等
 (2) 連絡責任者の選任
   事業者は、作業現場ごとに、連絡責任者を選任し、その氏名を関係労働者に周知させるとともに、
  連絡責任者に4の(1)、5の(1)並びに6の(2)及び(3)の事項を行わせること。
   なお、連絡責任者が作業現場を離れるとき等その職務を果たせなくなるときは、連絡責任者にその
  職務を行う代理者を指名させるようにすること。

4 作業開始前の連絡の方法の確認等
  事業者は、作業現場において伐木等の作業を行うときは、その作業を開始する前に次の事項を行うこ
 と。
 (1) 連絡責任者に緊急時における連絡の方法の確認をさせること。この場合次の事項に留意すること。
  ア 事業場の事務所、消防機関等救急機関の連絡先
  イ 最寄りの有線電話の設置位置
  ウ 木材の運搬に使用するトラックに通信機器が搭載されている場合は、当該通信機器の機能及び利
   用の可否
  エ 労働者が携帯電話等を携行する場合には、各々の当該携帯電話等の電話番号
 (2) 連絡の方法として、携帯電話等又は無線通信を使用する場合には、当該携帯電話等の端末又は無線
  通信の機器のバッテリーの充電状態及び故障の有無を確認し、異常がある場合はバッテリーの交換等
  必要な措置を講じること。
 (3) 作業現場に持ち込む救急用品の種類及び数量を確認し、不足がある場合は補充すること。

5 作業現場における安全の確認等
 (1) 事業者は、連絡責任者(代理者を含む。以下同じ。)に、作業現場において次の事項を行わせること。
  ア 事業場の事務所との連絡に、携帯電話等又は無線通信を使用する場合は、あらかじめ、作業現場
   から事業場の事務所へ当該携帯電話等又は無線通信による通信が可能である位置を確認しておくこ
   と。
  イ 関係労働者に対し、3の(1)のイにより定めた方法による労働者相互の連絡を行い、相互の安全を
   確認するよう指示すること。
  ウ 労働者が所在不明となった場合で労働災害等の可能性があるときは、直ちに捜索を実施すること。
 (2) 事業者は、労働者に、作業現場において次の事項を行わせること。
  ア 連絡責任者の指示に従って労働者相互の連絡を行い、相互の安全を確認すること。
  イ 労働者相互の連絡において応答がない場合、作業の進捗状況からみて不自然にチェーンソーの音
   がしなくなった場合等他の労働者に何らかの異常が発生したことが考えられる場合には、当該労働
   者の作業場所に行く等により異常の有無を確認すること。この場合、異常があれば直ちに連絡責任
   者に連絡をすること。

6 労働災害発生時の連絡等
  事業者は、労働災害が発生したときは、連絡責任者及び関係労働者に次の事項を行わせること。
 (1) 労働災害の発生を発見した労働者は、直ちに連絡責任者に被災の程度、救急車の必要の有無等を連
  絡すること。
 (2) 3の(1)のエにより定められた方法により、原則として連絡責任者が、事業場の事務所、消防機関等
  救急機関に所要の連絡を行うこと。なお、この場合必要に応じ消防機関等救急機関に応急措置、傷病
  者の搬送の方法等について指示を求めること。
 (3) 連絡責任者は、必要に応じ、当該現場の労働者に労働災害の発生を知らせるとともに、応急措置の
  実施、山土場等への傷病者の搬送等被災状況に応じた措置を講じること。

7 教育訓練の実施
  事業者は、関係労働者に対し、次の事項について教育訓練を行うこと。
 (1) 連絡体制
 (2) 携帯電話等の端末及び無線通信の通信機器の機能及び取扱いの方法
 (3) 携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
 (4) 作業場所における労働者相互の連絡の方法
 (5) 作業場所と山土場等との連絡の方法
 (6) 事業場の事務所、消防機関等救急機関に対する連絡の方法及び救急機関からの指示の受け方
 (7) 傷病者の搬送の方法
 (8) 応急措置の方法



解説(令和2年1月31日 基発0131第4号により廃止)

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