資料1 木材による気管支ぜん息等の発生状況 (昭和44年12月1日現在)
番号 |
発生 |
都道府県名 |
取扱い木材名 |
発生状況 |
発生状況の説明 |
備考 |
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対象者 |
有症者 |
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1 |
昭和35年 10月 |
長野 (木會地方) |
ネズコ (カンバス枠、ゲタ等の製造) |
60名 (16工場) |
44名 |
1 昭和35年10月頃、ネズコ加工従事者にぜん息様患者が発生していることを確認。大学に研究を依頼した。 2 くしゃみ、カゼをひいたような感じ、鼻漏、鼻閉等の自覚症状を訴えている者が44名(70%)あり、そのうちぜん息等を認める重症者は3名(5%)確認された。なお過去6年間で気管支喘息発作のため、5名が他業務に転換した。 3 作業 (1) 帯鋸、丸鋸等による切断 (2) 電気カンナ(ブレナ)による加工 (3) カンバス枠の縁の切込み 4 作業環境 (1) 大型ストーブによる暖房(冬期) (2) 窓を開放(夏期) 5 局排、保護具 (1) 粉じん排除装置の設置は1工場のみ (2) 作業者はガーゼマスクを使用 |
1 信州大学、公衆衛生教室調査 2 粉じん測定773/ 全浮遊じんあい中径1μ以下が90% 3 鼻汁内好酸球(+)ネズコ取扱者63.8% 闊葉樹取扱者5.2% 4 ネズコ侵出液による皮内反応陽性者 ネズコ取扱者61.0% 一般住民40.6%(有意差あり) |
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2 |
昭和39年 7月 |
埼玉 | 米杉 (網戸、雨戸の製造) |
不明 | 1 |
30才の主婦 | 1 南部正典氏、埼玉比企医師会報(44・3・30) 2 他に10数例を診察(同氏) |
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1 37年2月 | 米杉を材料とする建具工場に就職 | ||||||||
10月 |
咳嗽、呼吸困難を訴える。 | ||||||||
2 38年7月 | 気管支ぜん息で入院 | ||||||||
3 39年12月 | 子宮外妊娠で入院、この間発作なし | ||||||||
4 40年11月 | 連続的発作 | ||||||||
12月 |
発作を起し、病院で死亡 | ||||||||
3 |
昭和43年 | 群馬 | 米杉、ラワン (家具、建具の製造) |
93 |
14 |
1 木工業者93例の調査の結果ラワン及び米杉が主であるぜん息様呼吸困難発作を訴える者がいた。これらの患者は、皮内反応の成績等から木材をアレルゲンとするアレルギー性ぜん息であると考えられる。 2 発症までのこれら木材取扱年数は0.5年〜15年である。 |
群大第一内科、青木氏(アレルギー第17巻 43年6月号)の報告 | ||
4 |
昭和43年 | 静岡 (静岡安倍川東岸) |
クワ | 1 |
27才の男子 1 10年前より木工となり、8年前よりタンスその他にクワの薄板をはり、木目をつけ、仕上げる作業に従事していた。 2 4年前よりしばしばぜん息発作をみる。 3 クワ材エキスによる皮内反応で陽性、同剤による減感作療法を実施 |
国立静岡病院、中村氏(アレルギー第17巻 43年6月号)報告 | |||
5 |
昭和43年 | 秋田 (能代市) |
米杉 | 2 |
30才の男子 1 抗原抗体反応でアレルギー性が認められた。鼻水がでるほか、咳嗽のため多少呼吸困難を訴えている。工場の中にいる時にこの症状がでるが、工場外では出ない。しかし、就労日の夜にひどい咳嗽をすることがあると自訴。 病名……気管支ぜん息 2 34才の男子 米杉の臭いをかいだ日の夜又は翌朝、少量の痰があるほか、咳嗽がでる。 米杉の臭いをかがせた後の肺機能検査(1秒率)の結果、障害が認められた。 病名……気管支ぜん息 |
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6 |
昭和43年 | 広島 | リヨウブ (細工物、玩具の製造) |
264 |
数例 |
1 作業1例 ロクロ作業で、高速で回転する木材にノミをあてて削り、又はサンドペーパーをかけ研磨したりする作業 2 アレルギー性ぜん息症状は、リヨウブ材を用いる木工作業に従事した時にのみ発生 3 リヨウブ材抗原液による減感作療法が著効を示した。 |
「アレルギー」第15巻4月号41年及び同第17巻6月号43年 | ||
7 |
昭和43年〜44年 | 栃木 (鹿沼市) |
米杉 (木製品、家具の製造) |
1,028 |
64 (44年1月現在) |
1 主たる作業 (1) 製材作業 (2) 加工作業 (3) 組立作業 2 アンケート調査(3,000枚中 1,028回収) ぜん息既往者(米杉輸入前) 43名 44年1月現在の有症者 64名 ぜん息発作は夜中と早朝が高い。又午後から夜にかけて高い発生率を示す。冬に多い。 3 集団検診(44年5月) 〇 1,536名中、鼻アレルギー5.6%、ぜん息3.7%、ジンマシン3.8%、皮ふ炎3.1%、結膜炎5.2%、(日本人のぜん息出現率は1%内外、四日市3.5%) 〇 アレルギー素質率では症状のない群では5%、ぜん息、鼻アレルギー群では50%を示す。 〇 ぜん息様症状者には慢性気管支炎合併者多い。 |
国立予防衛生研究所石崎達氏他(昭和44年11月アレルギー学会発表) | ||
8 |
昭和43年 | 秋田 岩手 |
米杉 | 905 |
26 |
岩手県一ノ関、秋田県能代地区の米杉製材、加工事業場44,905人に対するアンケート調査の結果26人のぜん息患者が発見された。 | 岩手医大、光井教授(アレルギー学会、他で発表) | ||
9 |
昭和44年9月 | 秋田 | 米杉 (製材工場) |
1 |
1 42年1月 | 入社、仕わけ工(製材された材木を等級別に選別し、結束する作業) | 労働基準法施行規則第35条第38号に該当 | ||
2 43年4月 | 米杉を取り扱うようになる。この頃より、鼻づまり、くしゃみ、流涙がはげしい咳を訴える。 | ||||||||
3 44年1月 | 気管支ぜん息 | ||||||||
10 |
昭和44年 | 東京 (青梅) |
米杉 (電気カサの製造) |
48 |
12 |
1 事業場の依頼により地区の14事業場の48名について調査 2 自覚症(咳嗽、痰、鼻カタル、ぜん息)を訴えるもの12名(25%)。うち米杉エキスによる皮内反応で8名が陽性 3 14事業場のうち5事業場は転業 |
都衛生局学会で発表(44・11・20) | ||
11 |
昭和44年 | 福岡 | 米杉 | 5 |
3 |
1 昭和42年10月より現在まで米杉約40石を使用。特に昭和44年2月より3月の1ケ月間で約4〜5石を集中的に使用 | |||
2 | 〇症例1(30才、勤続1年6月) 44年3月末カゼで受診、ぜん息様症状を呈し始める。夏は軽くなるが飲酒・入浴により、ジンマシンが出るようになり、10月中頃ぜん息が悪化。注射、投薬をうけている。 |
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〇症例2(33才、勤続1年6月) 39年米杉を扱う事業場入社、間もなく風邪をひきこじれ気管支炎となり同時にジンマシン発生。現在は軽くなり、時に痰がきれなく息苦しいことがあり、首筋がかゆくなる。 |
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〇症例3(45才、勤続1年9月) 40年より米杉を扱い当時より喉の痛みあり、今春頃特に悪く毎日注射、現在は時々注射。 |