安全衛生情報センター
全国における労働災害の発生状況については、昨年は上半期に被災者数が大幅に増加したことから、8 月に労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策を行った結果、下半期においては災害は減少したものの、 通年では増加という結果となった。平成27年上半期は、平成26年下半期に引き続き災害は減少傾向にある ものの、第12次労働災害防止計画(以下「12次防」という。)の目標達成に向けて、更なる取組が必要であ る。 業務上疾病の被災状況を見ると、長期的には減少しているが、平成26年は前年と比較して業務上疾病に よる死傷者数が増加している。また、平成26年度の精神障害の労災支給決定件数が過去最多となるなど、 職場におけるメンタルヘルス対策や過重労働対策も重要な課題となっている。さらに、化学物質による眼 等の薬傷・やけどなど、保護眼鏡等の基本的な保護具の着用があれば予防できる重篤な災害も依然として 発生している。 このような状況を踏まえ、平成27年下半期については、下記項目を重点に取組を実施することとし、労 働災害防止団体、安全衛生関係団体、製造業ほか業種の各団体の長あて別添のとおり周知依頼をしている ので、これら団体等と連携しつつ、各局の実情に即した効果的な活動の展開を図られたい。
第1 業種横断対策 全国労働衛生週間・準備期間、過労死等防止啓発月間(11月)などの機会を捉え、1から4の事項を柱と して実施すること。また、上半期から重点として実施している5、6の事項についても引き続き取組を行 うこと。 1 腰痛予防対策 ア 社会福祉関係団体等を訪問し腰痛予防対策の周知や自主的な取組を依頼 イ 都道府県及び市区等の福祉・介護の担当部局との連携 ウ 製造業、陸上貨物運送事業、小売業に対する指導の際に、「職場における腰痛予防対策指針」の リーフレット(今後配布)を活用して指導 エ 中央労働災害防止協会が厚生労働省補助事業として実施している「中小規模事業場安全衛生サポ ート事業」(無償)の活用 2 化学物質対策 ア 化学物質のリスクアセスメントの義務化に向けた環境整備として化学メーカーなどにおけるSDS 交付状況の点検及びユーザー企業におけるSDS入手状況等の点検の実施 イ 化学物質による薬傷・やけど対策の周知等 3 過重労働・メンタルヘルス対策 (1) 過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進 ア 時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進及び労働時間等の設定の改善による仕事と生 活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進 イ 健康管理体制の整備、健康診断の実施等 ウ 長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等の実施 エ 小規模事業場における面接指導実施に当たっての産業保健総合支援センターの地域窓口の活用 (2) メンタルヘルス対策 ア 平成27年12月1日に施行される改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に係る取組へ の準備の指導 イ 労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進 4 安全衛生優良企業公表制度の推進 地域の安全衛生水準の向上を図るため、9月・10月・11月の3か月間を「安全衛生優良企業重点周知 啓発キャンペーン」期間として、地域における影響力の大きい企業に対して、制度の勧奨を図るなど、 制度の周知啓発、活用促進を行うこと。 ア 働き方・休み方改善ポータルサイトに取組事例が掲載されている企業への認定申請の検討要請 イ 今後、安全衛生関係表彰の取得可能性のある企業への認定申請の検討要請 ウ 上記のほか、地域に影響力のある企業に対して認定申請の検討要請 エ 安全衛生優良企業認定制度の周知と厚生労働省ホームページの安全衛生優良企業の自己診断サイ トの活用促進 5 転倒災害防止対策 リニューアル予定の特設サイト周知用リーフレット(8月中配布予定)や、職場のあんぜんサイトに ある災害事例等を活用した転倒災害防止に向けた取組の推進と定着に向けた指導 (4S活動、危険の「見える化」の推進、冬季における転倒対策の呼びかけ) 6 交通労働災害防止対策 ア 運輸交通業以外の業種に対する「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知用リーフレッ トを活用した安全対策の推進 イ 現場への行き帰り時等における事故防止の呼びかけの徹底 ウ 新聞配達員や建設現場等における交通誘導員の視認性向上を図るための反射材の着用等の促進 エ 警察と局署との一層緊密な連携体制の構築 第2 重点業種対策 第1の業種横断対策に加え、12次防の重点業種ごとに以下の取組を行うこと。 1 製造業対策 ア 機械の本質安全化を図るためのリーフレットを活用した指導 イ 荷役作業における労働災害防止対策(荷主事業主による安全対策) (ア) 「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく安全対策の推進 (イ) 荷役作業現場のチェックリスト(荷主等向け)の活用(9月中目途配布予定) ウ 重量物取扱い作業、立ち作業、座り作業での腰痛予防対策 エ 化学物質対策(再掲) オ メンタルヘルス対策(再掲) カ 暑熱期の熱中症の予防対策 2 建設業対策 ア 足場に係る改正労働安全衛生規則の円滑な施行による墜落・転落防止対策の徹底 イ 交通労働災害防止対策(再掲) ウ 暑熱期の熱中症の予防対策 3 陸上貨物運送事業対策 ア 荷役作業における労働災害防止対策 (ア) 「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく安全対策の推進 (イ) 荷役作業の安全対策化に向けて、荷主等による荷役作業に係る書面化の推進 イ 過重労働による健康障害防止対策(再掲) ウ メンタルヘルス対策(再掲) エ 重量物取扱い作業、車両運転等の作業での腰痛予防対策 4 第三次産業対策 (1) 小売業 ア 重量物取扱い作業、立ち作業での腰痛予防対策 イ 荷役作業における労働災害防止対策(荷主事業主による安全対策) (ア) 「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく安全対策の推進 (イ) 荷役作業現場のチェックリスト(荷主等向け)の活用(再掲) (2) 社会福祉施設 ア 介護作業での腰痛予防対策 イ メンタルヘルス対策(再掲) (3) 飲食店 ア バックヤードの作業に着目した4S活動やKY活動の普及 イ 業界団体や災防団体との連携による、学生アルバイトなど未熟練労働者に対する教育の充実 ウ 中央労働災害防止協会が厚生労働省補助事業として実施している「中小規模事業場安全衛生サポ ート事業」(無償)の活用第12次労働災害防止計画(PDF:500KB)